妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

縣千さん復帰の『双曲線上のカルテ』ライブ配信を観ました。

今日は、壽々(じゅじゅ)です。


昨日は、雪組公演『双曲線上のカルテ』
のライブ配信を視聴しました。


縣千さん、早く復帰できて良かったです
ね。ブルーレイ収録にも間に合いました。


☆組のオジサンと違って、若いからでし
ょうか。それとも、病気が違うのでしょ
うか。


そして、眞ノ宮るいさん、代役お疲れさ
までした。
縣千さんと比べてみたのですが、本役と
遜色のないランベルトでした。


前回の記事(↓)で和希そらさん演じる
フェルナンドが多発性骨髄腫だと盛大に
ネタバレしたのですが、その他の部分は、
少し、控えてはいたのですが、ライブ中
継、ライブ配信も終わったので、完全ネ
タバレします。


この作品は、観る人の置かれた環境によ
って、多少、感想が異なるかもしれませ
ん。(和希そらさんを褒めちぎるだけの
感想は別ですが)


ご自身や家族など、身近にがん患者など
の難病を抱える人にとっては、観るのが
つらいかもしれません。


第1幕に出て来る末期胃がん患者のピザ
屋の店主チェーザレ(桜路薫さん)も
フェルナンドから胃潰瘍と説明され、手
術を受けるのですが、がんであるとの疑
いを抱き、死ぬことへの恐怖に怯えます。


主人公のフェルナンドが、酒浸りになり、
女遊びをするのも、多発性骨髄腫による
死の恐怖から逃れるためです。


もし、フェルナンドのように、余命幾ば
くもないがんだと医者から告知されたら
どうでしょうか。
それでも、死にたくない、生きていたい
とやはり思うのでしょうか。


この作品は、そんな「死ぬ」という人間
として逃れることの出来ないことと、ど
う向き合うのか、「死ぬ」という告知を
受けて、その日まで、どう生きるのか、
そんなことについても考えさせられる作
品です。


さて、第2幕では、フェルナンドは、愛
してしまったモニカ(華純沙那)を、ス
イス国境に近い自分の故郷へ行かないか
と誘います。


飛行機に乗るのが初めてだから、怖いと
怯えるいうモニカ。この時、もう、何か
を予感していたのでしょうか。


スイスとの国境の山脈が見え、湖畔にあ
るその場所は、雪が降り、寒々としてい
ます。


フェルナンドは、モニカに、ボート乗り
場があるけど、冬は誰も利用しないこと。
それは、転覆すると、溺れるより先に凍
死して助からないからだということ、そ
して、湖の水深は400メートルあって、
湖底は倒木で覆われ死体も上がってこな
いことを説明します。


ただ、夏になるとその湖畔は、一面の向
日葵で覆われるとも。


もう一度、夏に来てみたいと言うモニカ
に、それを約束するフェルナンド。夏に
来れるはずもないのに。(で、良かった
かな?ちょっと、記憶が曖昧で)


そして、二人は、モニカの誕生日をフェ
ルナンドの家で祝います。隣同士に並ん
で座って、丁度、手術室のように。


フェルナンドは、モニカに、君のお母さ
んが初めて子供を産んだ日だと言います。
そうやって、命は繋がっていくのだと。


そして、フェルナンドは、モニカに向日
葵の花束をプレゼントします。君には、
薔薇よりも向日葵が似合うと言って。
(冬になんで、向日葵があるんだという
余計なことはいいません)


先にナポリへ帰ったモニカへフェルナン
ドの母親から電話がかかってきます。そ
の話を聞いたモニカは、その内容に、膝
から崩れ落ちてしまいます。


看護師長が電話を代わって聞いたそれは、
フェルナンドが湖で自殺したこと、遺体
は見つかっていないこと、家族とモニカ
宛に遺書が残されていた、というもので
した。


自分以外の他の人は、フェルナンドの病
気を知っていたのに、何故、自分だけが
知らされなかったのかと泣くモニカに、
ランベルトは「君だけを愛していたから
だ」と言います。


天国へと行ったフェルナンドを待ってい
たのは、先に胃がんで死んだピザ屋の店
主チェーザレでした。
チェザーレは、フェルナンドに二つの質
問をします。
それは、チェザーレの孫が祖母に訊いた
のと同じ「お前は自分自身の人生に喜び
を見出せたか?」と「お前は他人の人生
に喜びを与えたか?」というものでした。
どちらの質問にも、フェルナンドは「は
い」と答えるのです。


そして、5年後、一面の向日葵で埋め尽
くされたた湖畔に一組の親子連れの姿が
ありました。
それは、モニカと、フェルナンドとモニ
カとの間に生まれた男の子。


二人は、決して交わることのない「双曲
線」ではなく,一点で交わったのでしょう。


命を繋げていくことの大切さ、そんなこ
とも、この作品は語っているように思わ
れます。


チェーザレやフェルナンドが残した手紙
や遺書に託された想いは、胸を打ちます。


そして、アンニュイな雰囲気を漂わせな
がらも、患者の気持ちに寄り添って、懸
命な努力を惜しまない医師のフレデリッ
クを演じた和希そらさんの演技と歌は、
見事の一言に尽きます。


完全にネタバレのストーリーを書いてし
まいましたが、それでも、この作品は、
観る価値があるだろうと思います。