壽々の雑記帳

観劇のコメントや日々の出来事・時事問題などについて綴ります。

「コンプライアンスとは何か」について考えるー宝塚宙組問題④

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


宝塚宙組で起きた上級生による下級生へ
の「パワハラ」問題。


「パワハラ」とは何か、もっと言えば、
「コンプライアンス」とは何かについて
の理解が不足しているように思われます。


で、3回にわたって、「コンプライアン
ス」について検討してきましたが、その
まとめを今回はしたいと思います。


そもそも、「コンプライアンス」とは、
「希望・要求・命令・規則・法令・仕様
・規格要求・条件・方針などを遵守する
こと」
でした。


中でも、今の日本の社会では、「法令を
遵守すること」に加えて「社会倫理を遵
守すること」という意味で捉えられてい
るように思われます。


「企業倫理の遵守」では、企業だけの問
題になって、やや、範囲が狭くなってし
まいます。


例えば、「セクハラ」は、企業の中だけ
で起きることではないでしょう。


また、「コンプライアンス」を「社会規
範を遵守すること」とすると、「社会規
範」の中には、「法令」も入りますし、
「マナー」みたいなものも入ってしまっ
て、適切とは言えません。


今のところ、「社会倫理を遵守すること」
と理解するのが、私は、適切ではないか
と思います。


したがって、ある方のブログの記事の
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「コンプライアンスについて勘違いして
はならないのは、あくまでも社内ルール
や社員教育などの取り組みであって、法
令や法律ではないということです。」
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の部分は、「コンプライアンス」=「企
業倫理の遵守」と捉えている時点で、対
象とする範囲が狭すぎです。


また、「コンプライアンス」は、「遵守
すること」であって、遵守するための
「ルール」や「取り組み」ではありませ
ん。


「コンプライアンス」=「法令」でない
のは、当然でしょう。


なお、「「法令」や「法律」」の部分は、
「法令」の中には、「法律」も含まれる
ので、明らかに誤りです。
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全く関係のない第三者が、コンプライア
ンス違反だ!などと、指摘や糾弾する権
利はありません。
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「コンプライアンス」を「企業倫理の遵
守」と捉えるから、その企業に関係のな
い第三者が「指摘や糾弾する権利」がな
い、ということになるのです。


「コンプライアンス」違反を「社会倫理
遵守」違反と捉えれば、その「社会倫理」
に反している者が第三者からも指摘、糾
弾を受けるというのは、別に、おかしく
ないということになります。
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コンプライアンスの範囲を社内だけでな
く、社会規範にまで広げるのであれば、
当然のことに、糾弾する側のモラルも問
われるでしょう。
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なんで、糾弾する側に「モラル」が求め
られるのか、意味不明です。


例えば、ある町の町長がセクハラをして
いたとして、それを知った町民がその町
長を「セクハラだ!」と糾弾するのに、
その町民に「モラル」が求められるでし
ょうか?
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3のパワーハラスメントについては、遺
族側弁護士から不問と回答されました。
会見で遺族側弁護士さんが、ごちゃごち
ゃ仰って、言い方にこだわってらっしゃ
いましたが、要するに、パワハラがあっ
たとしても、それが自殺に直接影響した
かどうかは、問えないと判断した訳です。
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この人は、宝塚歌劇団と遺族側との合意
書の内容をきちんと読んだ上で、このよ
うな記事を書いているのでしょうか?


合意書には、こう書かれています。
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3. 合意内容の要旨は次のとおりである。
(1) 阪急・劇団は、被災者に対し、長時
間の活動を余儀なくさせ過重な負担を生
じさせたこと、及び、劇団内において、
4に要旨記載のとおり、厚生労働省指針
(令和2年厚労省告示第5号)が示す
「職場におけるパワーハラスメント」に
該当する様々な行為を行ったことによっ
て、被災者に多大な心理的負荷を与えた
ことを認め、劇団が経営陣の怠慢(現場
における活動への無理解や無配慮等)に
よって長年にわたり劇団員に様々な負担
を強いるような運営を続けてきたことが
かかる事態を引き起こしたものであって
全ての責任が劇団にあることを認め、か
つ被災者に対する安全配慮義務違反があ
ったことを認め、謝罪する。
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つまり、合意書で、宝塚歌劇団は、劇団
内において「パワハラ」があったこと、
それが、被災者の自殺の原因の一つであ
ったことを認め、謝罪したのです。


決して、遺族側代理人が「不問」とした
訳ではありません。


むしろ、宝塚歌劇団が「パワハラ」を認
めなかったがために、合意書締結までに
時間がかかったのです。
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ご遺族側が謝罪を受け入れないと発表し
ておられるにもかかわらず、『謝罪が済
んでいない! 』などと、全くの部外者が
喚いているのは、ご遺族に対して迷惑こ
の上ないでしょう。ご遺族が線引きをさ
れたのに、なぜ部外者が勝手に、合意内
容を批判するのか?人の死を弄ぶにも程
があります。
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もう一度、上の合意書の最後を読んで下
さい。


宝塚歌劇団は、「謝罪する」と明確に書
いてあります。


そして、遺族側代理人の記者会見では、
パワハラ加害者10人のうち、7人までは、
手紙で謝罪した(謝罪する)と言ってい
ます。


「ご遺族側が謝罪を受け入れないと発表」
の部分は「ご遺族側が謝罪を受け入れる
と発表」の間違いでしょう。


「謝罪が済んでいない」のは、残りの3
人のことです。


「合意内容」を批判している訳ではあり
ません。


「情報漏洩」の話は、前回の記事に書き
ました。


私は、この「情報漏洩」を禁止した「誓
約書」と「外部漏らしはご法度」という
歌劇団のルールこそ、今回の事件の根源
にあると思っています。


「不適切にもほどがある!」というテレ
ビ番組がありました。


その中で、「コンプライアンス」の「コ」
の字もない昭和の時代の不適切さを描く
と同時に「コンプライアンス」過剰の令
和の時代の不適切さも描いていました。


今の日本の社会は、「コンプライアンス」
に関しては、まだ、途上にあるのだと思
います。


その中で「コンプライアンス」に関して
間違った理解をブログで発信することは、
害でしかありません。


今回、宝塚宙組で起きた事件を契機に、
私たちは、今一度、「コンプライアンス」
とは何か、「コンプライアンス」に対し
てどう行動するのかを考えるべきではな
いでしょうか?


なお、最初の記事に誤記があったので修正
しました。
他にも、誤字・誤記があれば、何卒、ご容
赦願います。(よくやらかすので)