壽々の雑記帳

観劇のコメントや日々の出来事・時事問題などについて綴ります。

小学校の給食で、うずらの卵を「よく噛んで食べる指導をする」は「正論」か?(シニア雑記)

今日は、壽々(じゅじゅ)です。


ねとらぼの記事にアイドルグループのメ
ンバーの一人がXに投稿した記事が反響
を呼んでいるようです。


まず、事実を確認しましょう。
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今年の2月26日、福岡県みやま市の市立
小1年の男児(7)が給食の食材を喉につ
まらせ、搬送先の病院で亡くなった。
 男児の喉からは、献立のみそおでんに入
っていたウズラの卵が見つかったという。
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この死亡事故を受けて、各地の小学校で、
学校給食での使用を見合わせる動きが起
こり、ウズラの出荷が減少した結果倉庫
に在庫が積み上がっているというニュー
スに対してのコメントの投稿です。


この方は、「うずらの卵を使用中止にす
るのではなく、よく噛んで食べる指導を
する。これではだめなんでしょうか?」
とXで私見を述べています。


この投稿に対して、「ど正論!!」「それ
でいいはずだよ」「本当にそう思う」と
手放しで賛同するコメントが寄せられて
いるとのことです。


本当に、「よく噛んで食べる指導をする」
が「正論」なのでしょうか?


まず、家庭と学校とでは分けて考える必
要があると思います。


家庭では、うずらの卵を小学生が喉に詰
まらせても、それは親(保護者)の責任
でしょう。


それこそ、「よく噛んで食べる指導をす
る」必要があると思います。


また、家庭であれば、小さな子供が窒息
しやすい食物を避けることもできます。


ただ、今回の死亡事故は、小学校の給食
という場で起きたことです。


給食の食材が原因で死亡事故が起きれば、
責任を問われるのは、学校側、特に担任
の教師です。


40人近い児童のいる教室で、教師が「よ
く噛んで食べる指導」をしたとしても、
それが、全員に徹底されるでしょうか?


もし、死亡事故が起きれば、親が裁判を
提起する可能性もあります。


もちろん、リスクのある食品は、うずら
の卵だけではないでしょう。


食パンが喉に詰まるというケースもある
でしょう。


ただ、どこかで線引きをしないと、給食
そのものを廃止することになりかねませ
ん。


これについては、日本小児学会のこの記
事が参考になります。
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(略)
②食品側の要因(窒息を起こしやすい食
品)
 食品側の要因としては、表面の滑らか
さ、粘着性、弾力性、固さ、噛み切りに
くさ、大きさ、形状などがあります。以
下に危険な食品の例を挙げます。


(1)丸くてつるっとしているもの
× ブドウ、ミニトマト、さくらんぼ、ピ
ーナッツ、球形の個装チーズ、うずらの
、 ソーセージ、こんにゃく、白玉団子、
あめ、ラムネなど
 表面がつるっとしている食品は、うま
く噛めない上に口の中で滑りやすく、ふ
としたときに丸飲みしてしまうことがあ
ります。さらに、丸い形状はのどにはま
り込んで気道を塞ぎやすいため、窒息に
つながる危険性があります。


(2)粘着性が高く、唾液を吸収して飲
み込みづらいもの
× 餅、ごはんやパン類
 粘着性が高い食品は、一口にたくさん
詰め込んだり、よく噛まずに飲み込んだ
りすると、口の中に貼り付いて取れにく
くなり、気道を塞ぐ危険性があります。
特に、餅は強く噛む力が必要かつ粘着性
が非常に高い食品の代表例です。また、
パンは口の中で水分(唾液)を吸収する
と粘着性が高まります。過去には、中学
生がパン食い競争で窒息死した事例もあ
ります。


(3)固くて噛み切りにくいもの
× リンゴ、生のにんじん、水菜、イカな

 十分に小さくならないままのどに送り
込まれると、窒息につながることがあり
ます。
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さすがに、ごはんやパン類を給食から外
すと食べるものがなくなってしまいます
が、これは、牛乳などの水分を取れば、
済む話です。


後のものは、給食の材料から外すか、多
少手間でも、小さく切って、提供すれば
いいのではないのでしょうか?


今回と同様の事故は、過去にも起きてい
ます。


次の犠牲者を出さないためにも、何が最
適解かを考えることこそが必要ではない
でしょうか?


産経新聞にもこのような記事が載ってい
ます。
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平成27年にも大阪市で当時小学1年生だ
った女子児童が給食のウズラの卵が原因
とみられる窒息で死亡している。子供の
事故予防に取り組むNPO法人「Saf
e Kids Japan」の理事長で
小児科医の山中龍宏さんは、「小学1年
生は、まだ歯が生え変わる時期で、歯が
ない状態で噛み切れず、そのまま喉頭に
入り込んでしまうリスクもある」と指摘
する。のみ込む力も発達していない小学
1~2年生には、卵を切って与えるか、給
食に出さないことが重要だと言及した。
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うずらの卵の生産者には気の毒というほ
かありませんが、まず、子供の命を守る
ことが大事だと思います。


寄せられたコメントの中には、「指導し
ても詰まらせる子が万一にでも居たら指
導不足とかなんとか責任問われるリスク
取るより、うずら使わない方がーって判
断なんだろうね」というのもあります。


こちらの方が「正論」のように思えるの
ですが……。