国際ボクシング協会(IBA)と国際オリンピック委員会(IOC)の確執が原因か?ーパリ五輪女子ボクシング性別騒動。③
今日は、壽々(じゅじゅ)です。
ようやく、真相が見え始めたという感じ
がします。
今回のボクシング女子競技の出場資格に
関する論争の原因には、国際オリンピッ
ク委員会(IOC)と国際ボクシング協会
(IBA)の確執があるように思われます。
まず、BBCNEWSの記事に従って、時系
列に経緯をみていきたいと思います。
(なお、個人名を伏せるなど、一部記事
の修正・補足をしています)
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①2019年、IOCは、IBAに運営上の問題
や汚職疑惑があるとして、資格停止処
分を科す。
②2023年3月、ボクシング世界選手権の
女子大会がインドで開催された。
③今回のパリ五輪にも出場しているアル
ジェリア選手と台湾選手がそれぞれ、
ウェルター級とフェザー級で出場。
④アルジェリア選手は、中国選手との決
勝戦の数時間前、ジェンダー適格性資
格検査で不合格だったと、IBAが発表。
⑤台湾選手は、IBAから銅メダルを剥奪
された。
⑥IBAは、両選手について、「IBAの規定
で定められた、女子大会への参加資格
を満たしていない」と説明。
⑦2023年6月、IOCは、IBAの運営体制に
懸念があるとして、IBAからボクシン
グの世界統括団体としての地位を剥奪。
⑧2024年7月31日、IBAは、「世界選手権
での決定は「競技の公正さと完全さを
維持するため」と発表。
なお、IBAは「2人はテストステロンの
検査は受けなかったが、それとは別に
認められた検査を受けた。検査の具体
的な内容は秘密とする。この検査は、
両選手が必要な資格基準を満たさず、
他の女子競技者よりも優位性があるこ
とを決定的に示すものだった」と説明。
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ここからは、JCASTニュースの記事に
なります。
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①(アルジェリア選手は)23年に行われ
た世界選手権のDNA検査で、XY染色体
を持っていることが判明し、出場権を
剥奪された。
②本来ならば、国際ボクシング協会(IB
A)がボクシング競技を運営するはず
だったが、同協会の組織内のスキャン
ダルなどで運営から外された。このよ
うな経緯で、今大会(パリ五輪)のボ
クシング競技はIOCが運営している。
③2024年8月1日、国際オリンピック委員
会(IOC)は「すべての人は差別なく
スポーツをする権利がある」「これま
でのオリンピックボクシング競技と同
様に、選手の性別と年齢はパスポート
に基づいている」などの声明を発表。
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ここからは、KYODOの記事になります。
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①2024年8月5日、IBAのクレムリフ会長
(ロシア)は、オンラインで記者会見
し、2人のテストステロン値が男性並み
に高く、昨年の世界選手権の性別検査
で不合格となったと強調。
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こちらは、産經新聞の記事です。
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①(アルジェリア選手と台湾選手が)と
もに国際ボクシング協会(IBA)が主
催する昨年の世界選手権大会では、D
NAを調べる性別適格性検査で男性の
身体的特徴を示す「XY染色体」が確
認されたとして不合格になっていた。
②性別決定は、X型とY型に分けられる性
染色体の組合わせにかかわる。男性は、
「XY」、女性は「XX」となる。ただ、
性分化疾患(DSD)などの生まれつき
この枠組みに含まれない場合があり、
染色体だけで性別を判断しきれないケ
ースもある。
③スポーツとジェンダーを専攻する中京
大スポーツ科学部の來田教授は「筋力
に影響を与えるホルモンや染色体など
が、競技の優劣を決める要素に、どの
ように影響しているのか科学的に検証
する必要がある」「必要な科学的証拠
が出そろていないのが現状だ」と説明
した。
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最後は、Wedgeの記事です。
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①2選手に関しては、国際ボクシング連盟
(IBA)が「染色体の結果、2人は不適
格であることが分かった」などとして
女子選手の出場資格がないと主張。
②(世界選手権)大会の運営主体だった
IBAが、(アルジェリア選手が)男性
のXY性染色体を持つ選手の女子競技
出場を禁じる規定に違反していたこと
を理由に失格とした。IBAは同じく、
台湾選手が世界選手権で獲得した銅メ
ダルも検査結果を理由に剥奪している。
③IBAは、8月5日に記者会見を開き、失
格の根拠は、性染色体検査によるもの
だと発表。2選手のテストステロン値
が男性並みに高いとして「男性」と断
言。ただし、主張の根拠となるデータ
を「公開できない」とした。
④一方で、IOCは、女性ボクサーでテス
トステロン値が高めの選手が多いこと
を根拠に、五輪前にこの検査を行って
いない。
⑤ロシアが主導するIBAと、パリ五輪で
もロシアを国として出場を認めなかっ
たIOCという国際関係の構図が見え隠
れする。
⑥インターネット上では、一連の経緯か
らアルジェリア選手らへの誹謗中傷が
後を絶たない。外見を揶揄し、強さの
要因を「性別」に求めた無責任な投稿
があふれている。性自認が身体的性と
一致しないトランスジェンダーと誤解
した投稿も目立つ。
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以上をまとめると、こういうことになり
そうです。
①2023年の世界選手権で、IBAはアルジ
ェリア選手をジェンダー適格性検査で
不合格とした。
また、台湾選手は、銅メダルを剥奪さ
れた。
②報道では、両選手がDNAを調べる性別
適性検査で男性の身体的特徴を示す
「XY染色体」が確認されたとして不合
格になったと報じられた。
③IBAは今年の7月31日、「2人はテスト
ステロンの検査は受けなかったが、そ
れとは別に認められた検査を受けた。
検査の具体的な内容は秘密とする。こ
の検査は、 両選手が必要な資格基準
を満たさず、他の女子競技者よりも優
位性があることを決定的に示すものだ
った」と説明した。
④今年の8月1日のBBCとのインタビュー
でも、IBAは、XY染色体が両選手に確
認されたと述べた。
⑤ところが、IBAは、パリ五輪の準々決
勝後の8月5日に記者会見を開き、(世
界選手権での)両選手の失格の根拠は、
性染色体検査によるもので、両選手の
テストステロン値が男性並みに高いと
して「男性」と断言した。
一方で、IBMは主張の根拠となるデー
タを「公開できない」とした。
⑥一方で、IOCは、女性ボクサーでテス
トステロン値が高めの選手が多いこと
を根拠に、五輪前にこの検査を行って
いなかった。
⑦2023年6月、IOCは、IBAの運営体制に
懸念があるとして、IBAからボクシン
グの世界統括団体としての地位を剥奪
されている。したがって、IBAは、パリ
五輪のボクシング競技において、選手
の出場資格について意見を述べる立場
にな い。
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つまり、IOCとIBAの間に政治的確執が
あって(IBAはロシアが主導している。
IOCはロシアをパリ五輪で国としての
出場を認めなかった)、それが原因で、
今回のパリ五輪での両選手の出場資格
と出場を認めたIOCの対応への批判を、
IBAが作り出したと言って良さそうです。
だから、「検査の具体的な内容は秘密」
であって「主張の根拠となるデータは公
開できない」のだと思います。
勘ぐれば、IBAによるデマだとも言えそう
です。
それに乗っかちゃって、両選手を批判し
た著名人の方々の頭の中はどうなってい
るのでしょうか?
なお、アルジェリア選手は、SNSで誹謗
中傷を受けたとして、フランス当局に刑
事告訴したそうですから、今後、どうな
るのか見ものですネ。
※女性も副腎や卵巣でテストステロンを
分泌しています。血中テストステロン
値で比べると、男性の5~10%(1/10
~1/20)と言われています(共に健常
成人の場合)
だそうです。