壽々の雑記帳

観劇のコメントや日々の出来事・時事問題などについて綴ります。

これは見応えあり!!美園さくらさん出演の『DEATH TAKES A HOLIDAY』を観劇しました。

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


「見応えあり」と言っても、今日が千秋
楽なんですけどね。


何で、もっと早いタイミングでチケット
を取らなかったのか、と思いましたが、
多分、他の日は落ちたんでしょうね。


結構、チケット難だったみたいで。


ですから、できれば再演、もっとできれ
ば、DVD化希望です。


こんなお話です。
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 これは、人類が史上未曽有の"死"に取り
憑かれた第一次世界大戦の悪夢から覚め、
"狂乱"の1920年代が始まって間も無い頃の
物語……
 深夜、イタリア北部の山道を"飛ばして"
走る一台の車があった。
 乗っているのはランベルティ公爵一家。
一人娘グラツィアの婚約をヴェニスで祝
った帰りなのだ。だが一家を乗せた車を
悲劇が襲う。突如現れた"闇"にハンドルを
取られた車がスピンし、グラツィアは夜
の闇へと投げ出されてしまうのだった……!
 ……大事故に遭ったにもかかわらず、
まるで何事も無かったかのようにグラツ
ィアは無事だった。
 彼女の無事に安堵する一同。しかし、
グラツィアは、自身に"何かが"起こった
と感じていた。
 同じ夜遅く、死神がランベルティ公爵
の元を訪ねる。
 一人孤独に、死せる魂を"あちら側"へと
導き続ける事に疲れ果てた死神は、二日
間の休暇を公爵一家と共に過ごす事にし
たのだが……!
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ということで、ストーリーは、2023年に
宝塚歌劇団月組公演で上演されたものと
ほぼ同じです。


また、演出も生田大和氏と宝塚版と同じ
です。


ただ、違うのは、今回、再演であるとい
うことと、(宝塚から見て)外部公演で
あるということです。


そもそも、月組公演のこの作品が好きだ
ったということに加え、宝塚歌劇団退団
後の初舞台の美園さくらさんを観るとい
うのが今回の観劇の主目的だったのです
が、観劇して魅了されたのは、主演の死
神役の小瀧望氏でした。

最初は、死神の姿で歌うのですが、やや、
低音での歌声の歌唱力のレベルの高さに
度肝を抜かれました。サーキになってか
らの歌が本来の小瀧望氏の音程なのでし
ょうが、その安定した歌声は双眼鏡で観
るか、それとも、目を瞑ってその歌をじ
っくり聴くか、悩む程でした。

死神であるが故に、人間の感情を知らず、
ほとんど感情を表に表さないサーキが、
様々な人と触れ合うことによって、グラ
ツィアへの愛に葛藤していく演技力も素
晴らしいものがありました。

WEST.のメンバーですから、踊れるのは
当然だとは思いますが、踊る場面は少な
くて、ただ、第2幕のタップダンスの場
面は相当練習したとは思いますが、圧巻
でした。

ミュージカルの舞台でも十分やっていけ
る力量があると思います。

美薗さくらさんは、久し振りの舞台だと
思うのですが、更に、歌に磨きがかかっ
たように思います。

純真で、むしろ、世間知らずで、ひたむ
きにサーキを愛するグラツィアを演じて、
好演でした。

第一幕の最後で二人が歌う歌も、曲も良
かったですが、二人のデュエットが最高
でした。

なお、この洞窟の恋人のエピソードが丁
寧に表現されているからこそ、最後の二
人の選択に説得力があるのだと思います。


「何故、人は死を恐れるのか」という死
神の疑問に始まり、生きることの意味、
愛とは何か、大切な人を喪うということ
はどういうことなのか、と、テーマは重
いのですが、コメディを交えながら、25
分間の休憩を挟んでの165分という上演
時間は、決して長くはないと思います。


特に、所々に挿入される登場人物たちの
エピソードは、観る人によってそれぞれ
でしょうが、中でも、医師のダリオと、
彼が傍に付き添うエヴァンジェリーナと
の二人の愛には、私にとって、より切実
な分だけ、胸に迫るものがありました。


なお、この作品と『エリザベート』のよ
うな作品とを比べるのは、宝塚ファンの
悪い癖だと思います。


ただ、死神(サーキ)が最後に着る衣装
は、多分、意識したのでしょうが、ちょ
っと宝塚男役風でした。