壽々の雑記帳

観劇のコメントや日々の出来事・時事問題などについて綴ります。

見応えあり!!縣千さん主演『FORMOSA!!』観劇コメント

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


昨日は、縣千さん主演『FORMOSA!!』
を観に、シアター・ドラマシティまで
遠征してきました。


ところが、何と、私の乗る新幹線のぞみ
が、新横浜と小田原間で起きたトラブル
により、約20分遅れて名古屋駅に到着し、
そのまま、約20分遅れで新大阪駅に到着
しました。


新幹線を予約する時、少し、早く着きす
ぎかな、と思ったのですが、早くしてお
いて良かったです。


最近の新幹線はどうも信用できない。


シアター・ドラマシティの入り口から入
ると変なカエルの着ぐるみがいました。


そう言えば、今回は、ぴあ貸切公演で、
カエルはぴあのマスコットなんですね。

席は、16列目だったんですが、右前の女
の人の頭で舞台中央から少し右のあたり
がほとんど見えませんでした。残念。


さて、まず、ストーリー紹介です。
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 18世紀初頭ー遥か彼方、東洋に浮かぶ
島・フォルモサー、それは西洋人にとっ
て未知なる土地。しかしフォルモサ人を
名乗る謎の男"ジョルジュ・サルマナザー
ル"(縣千)の出現によって、その印象が
一変する。


 偽修道士としてヨーロッパを放浪して
いたジャン(縣千)は、旅の途中でイギ
リス国教会牧師で詐欺師のイネス(華世
京)と出会う。自身を日本人だと騙り日
銭を稼いでいたジャンだが、イネスにそ
の嘘を暴かれ手を組むことに。二人はロ
ンドン主教を騙して多額の施しを受ける
という一攫千金を企み、イギリスへ渡る。
イネスの指示に従い架空の国・フォルモ
サを創り上げ"ジョルジュ・サルマナザー
ル"を騙り始めたジャンは、ロンドンの知
識階級のコーヒーハウスへ出入りし、類
まれなるペテンの才能を発揮していく。
空想から生み出したフォルモサ風俗を堂
々と語り、疑う人々からの質問にも矛盾
なく答えるサルマナザールは、海の彼方
から来た信心深いフォルモサ人修道士と
して社交界の信頼を獲得、その存在をロ
ンドン主教にまで知らしめていくのだっ
た。


 ある日、サルマナザールは一人の令嬢、
シェリル(音彩唯)と出会う。イギリス
中が夢中になる異邦人との出会いに心と
きめかすシェリルは、サルマナザールと
地理学者である父オリバー(久城あす)
を引き合わす。だがオリバーは、サルマ
ナザールの嘘を見抜いてしまう。学者に
なれるほどの知識を持つ君が何故ペテン
師まがいのことをしているのか、と問わ
れたサルマナザールは、答えに詰まる…。


 遂にロンドン主教(天月翼)との謁見
が叶い、策略通りに事が運んだサルマナ
ザールに、イネスが更なる金儲けの計画
を持ち掛ける。それは偽書「フォルモサ
誌」を作ることだった。名声が高まるに
つれ、自身の生きる道に迷いが生じ始め
たサルマナザール。やがて「フォルモサ
誌」を作ることに協力を申し出たシェリ
ルにある決意を伝えるのだがー
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(以下、ネタバレあり)


公演プログラムの演出家の熊倉飛鳥氏の
コメントに、こんなことが書かれていま
す。
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(略)
 この度お目見えする「忘れられた天才」
は、自ら台湾人を名乗り、そして究極の
偽書「台湾誌」を著したジョルジュ・サル
マナザールです。
 18世紀初頭にイギリスで大ブームとなっ
た『台湾誌』。台湾の文化や風習を詳細に
語ったこの本に、アジア事情に疎いロンド
ンっ子たちは大いに熱狂したそうです。
そこに書かれていることが全て、サルマナ
ザールの騙る空想だとも知らずに……。
(略)
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つまり、この作品は、実在したジョルジ
ュ・サルマナザールを(国は台湾を架空
の島国フォルモサに変えてはいますが、)
描いた作品です。


アン女王(在位:1702年4月23日 - 1707
年4月30日)が出てきますから、その頃の
話だということが分かります。


日本で言えば、徳川綱吉(在職:1680年
 - 1709年)の時代に相当します。


この頃のイギリスは、作品の冒頭にも出
て来るようにフランスと戦争をしていま
した。


長引く戦争に国民だけでなく、女王も厭
戦感に囚われています。


だからこそ、サルマナザールの語る遥か
彼方の東洋の島国の作り話にロンドンの
人々は熱狂したのではないでしょうか?
そこには、彼らの知らない遠い東の島国
の夢物語が語られていましたから。


さて、現代において、人々が熱狂できる
ような夢ってなんでしょうか?現代人は
夢を失くしてしまったようにも思われま
す。


この作品は、そんな現代を生きる私たち
に、空想の世界の持つ意味、夢を持つこ
との意味、想像力を持つことの大切さを
教えてくれるような気がします。


そんなサルマナザールですが、遂に、ア
ン女王(妃華ゆきの)との謁見が叶い、
ナイトの称号まで与えられることになり
ます。


その儀式の最中に待ったを掛けたのが、
天文学者のエドモンド・ハレー(蒼波黎
也)です。(ハレー彗星の出現を予言し
た人です)


「フォルモサの地下の家屋は1日にどの
程度煙突から日が差し込むか」と、正解
の存在する質問を投げかけたのです。


答えに窮したサルマナザールは、全ては
嘘であったことを告白します。


(ここで暗転)


ポルトガルに逃げたイネスの元にジャン
から遺書が届きます。ジャンは、告白後、
銃で自殺していたのです。


ところが、これも嘘でした。


ジャンは、元のみすぼらしい姿に戻った
ものの、ある作家のゴーストライターを
しています。


ジャンは、傍にいるシェリルにその物語
の内容を聞かせます。


そこには、小人の国や巨人の国、そして
馬の国まで出ています。


ジャンの空想力が、『ガリバー旅行記』
という傑作空想小説に結実したという終
わり方をします。なお、ガリバーの名前
がレミュエル・ガリバー(風雅奏)です。


で、ジャンとシェリルは、今後、どうな
るのか?は、観客の想像力に委ねていま
す。


縣千さんの架空の国フォルモサについて
語る時の見事なセリフ回しと嘘をつき続
けることに対して苦悩する演技に注目で
す。


音彩唯さんは、相変わらずの美声を聴か
せてくれます。


そして、華世京さんは、今回は、悪役で
すね。その悪役振りにも注目です。


なお、余談ですが、「フォルモサ」とは、
台湾の別称で、ポルトガル語で「美しい
島」という意味です。