なるほど、これはいい作品だ。星組公演『にぎたつの海に月出づ』千秋楽ライブ配信視聴ー最後は「星組パッション!!」!!
今晩は、壽々(じゅじゅ)です。
今日は、極美慎さん主演星組宝塚バウホ
ール公演『にぎたつの海に月出づ』千秋
楽ライブ配信を視聴しました。
公演を観劇した幸運な方のブログでは、
なんとなく、評判がよさそう。
期待しながら、配信を見ましたが、確か
に、これはいい作品です。
なんで、バウでいい作品が出来て、大劇
場で出来ないんだろう?って思っちゃい
ますが。
とりあえず、公演プログラムから、こん
なストーリーです。
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「熟田津に 船乗りせむと月待てば 潮
もかなひぬ 今は漕ぎ出でな」
時は飛鳥時代。朝鮮では、百済が新羅
に攻められていた。大和の女帝・斉明天
皇(詩ちづる)は、滅亡の危機に瀕した
百済を救うため、援軍を出すことを決意
する。世に言う「白村江の戦い」だが、
大和軍は惨敗したのであった。彼女はな
ぜ戦うことを選んだのか……。
遡ること数十年前。百済人の青年・智
積(極美慎)は、留学生として大和にや
ってきた。推古天皇(瑠璃花夏)に拝謁
するために小墾田宮を訪れた智積は、大
和の娘・寶皇女(詩ちづる)と出会う。
何かに怯え、震える娘を智積は忘れられ
ずにいた。
百済人である観勒僧正(悠真倫)のも
と、智積は同じく百済人の留学生・覚従
(碧海さりお)とともに学堂を開き、書
を教え始める。智積は、学堂で書生に混
じり文机に向かう娘が、小墾田宮で出会
った寶であることに気付く。彼女こそ、
のちの斉明天皇。幼い息子を亡くし夫と
離縁した寶は、深い悲しみを抱えつつも、
自らが仕える推古天皇の役に立つため、
懸命に学んでいた。そんな寶に智積は、
惹かれ、やがて、二人は愛を育んでいく。
しかし、歴史の渦は二人を放ってはおか
なかった。
百済を利用して勢力をのばそうとする
蘇我蝦夷と入鹿、蘇我から国を守ろうと
する推古天皇、ひそかに寶を想う田村皇
子ーさまざまな思惑によって、智積と寶
は引き裂かれてゆく。
愛する人を奪われた智積は、何を思い、
どう生きるのか。
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日本史を学んだ人なら誰もが知っている
であろう「白村江の戦い」。
圧倒的な戦力差があったであろう大和・
百済連合軍と唐・新羅連合軍が戦い、大
和・百済連合軍が完敗したこの戦い。
何故に、大和はこの無謀とも思える戦い
を始めたのか?
その原因を、一組の男女の恋物語に求め
たのが本作品です。(もちろん、フィク
ションです)
冒頭に、「白村江の戦い」の場面は出て
きますが、そこだけです。
作品は、その戦いに向かって流れていく
歴史の渦の中で、智積と寶の恋物語を、
ひたすら、語り続けていきます。
田村皇子の横恋慕。蘇我蝦夷・入鹿の大
和を自分の権力下に置こうとする陰謀。
百済第一主義の観勒僧正。
様々な障壁に妨げられながらも、智積は、
ひたすら、寶と智積と寶の間にうまれた
子(後の天智天皇)のことを想い続けま
す。
その智積の真っ直ぐな正義感と寶に対す
るひたむきな恋を、余計な描写を加える
ことなく、ひたすらに描いているこそ、
この作品は、観る者の心に響くのでしょ
う。(語り手は、覚従にぶん投げていま
す)
しかも、エンディングは、悲恋に終わる
という「宝塚ファン」が喜びそうな結末
を用意してくれています。
さて、今回は、バウ公演ですから、普段、
新人公演を観ない私には、ようやく、名
前と顔が結びついたという若手が数多く
登場しました。
平松結有という若き演出家の才能と星組
若手メンバーがガッツリ組んだこの作品。
見応えありです。
最後は、極美慎さんの「星組パッション!!」
で締めました。