妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

格差社会が双子に悲劇をもたらす、一路真輝さん出演ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』を観劇しました。

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


4月22日(金)は、ミュージカル『ブラッ
ド・ブラザーズ』を観に、大阪のシアター
・ドラマシティへ行ってきました。


上(梅田芸術劇場メインホール)では、
何をやっているのかと思ったら、『千と
千尋の神隠し』でした。
帝国劇場で1回観劇しているのですが、
あんなに良かったらもう1回観劇しておけ
ば良かったかな、と思っています。
ただ、チケット代と交通費を考えると、
そう何回もは無理だし……。


で、今回は下(シアター・ドラマシティ)
でやっていた『ブラッド・ブラザーズ』
の話です。


公演解説は以下のとおりです。


血のつながりこそ絆。片割れと知らずに
友情を育んだ双子、その数奇で切ない人
間ドラマ


1983年ロンドン・ウエストエンドでの初
演以来、世界中で愛されているミュージ
カル「ブラッド・ブラザーズ」。
甘美で躍動的な音楽が描くこのスリリン
グな作品はローレンス・オリヴィエ賞作
品賞に輝いたことでも知られている。
日本でも1991年以来、繰り返し上演され
てきた名作だ。


二卵性双生児として生まれた二人の男の
子。一人は裕福な家庭に引き取られ、も
う一人は実の母親と貧しさの中で暮らし
ていた。正反対の環境で育った二人はお
互いが双子であることを知らないまま、
人生を通して固い友情を育んでゆく。共
にいたずらをした無邪気な子供時代、恋
や夢に溢れたまばゆい青春の日々…。
血のつながりが生む数奇な人間模様は、
観る者を捉えて離さない!



演出 吉田鋼太郎 × 出演 柿澤勇人 ウ
エンツ瑛士 木南晴夏 で挑む不朽の名
作ミュージカル!


演出を手掛けるのは本作の日本初演のプ
ロダクションにも参加していた吉田鋼太
郎。
数奇な運命をたどる双子の兄弟・ミッキ
ーとエディを演じるのは、演出を担う吉
田とがっぷり四つに組んだ舞台『スルー
ス』で持ち前の危うさと醸し出す狂気で
評価を受けた柿澤勇人と、英国留学後も
映像分野を初めとした多彩な活躍で一層
注目を集めるウエンツ瑛士。そして、テ
レビドラマと映画を中心に活躍し、柿澤
と共演した『シティ・オブ・エンジェル
ズ』以来のミュージカル出演となる木南
晴夏が加わり、不朽の名作に新たな息吹
を与える。


主な出演者と配役は、以下のとおりです。


ミッキー          :柿澤勇人


エドワード         :ウエンツ瑛士


リンダ                    :木南晴夏


ライオンズ氏        :鈴木壮麻


サミー                    :内田朝陽


ナレーター            :伊礼彼方


ライオンズ夫人    :一路真輝


ジョンストン夫人:堀内敬子


ストーリーは、以下のとおりです。


ナレーターが語る、ある双子の数奇な話


ミセス・ジョンストンは7人の子持ち。新
たな妊娠を機に夫に逃げられ、借金取り
に追われ、その上お腹の赤ん坊は双子と
判明する。一方、彼女が仕えるミセス・
ライオンズは仕事で多忙な夫との間に子
供ができず悩んでいた。ミセス・ライオ
ンズはミセス・ジョンストンに双子の片
割れを欲しいと懇願。裕福な家庭の方が
幸せになれる、仕事のたびに会えると説
得し、それを信じたミセス・ジョンスト
ンは生まれた双子の一人を渡す。ところ
がミセス・ライオンズは赤ん坊をあやす
ミセス・ジョンストンに嫉妬し、無理矢
理くびにしてしまう。


異なる環境で育っていた二人は、7歳の時
に出会う。ヤンチャな兄サミーに憧れる
いたずらっ子ミッキーと、品の良いエド
ワード。二人は同じ生年月日であること
を喜び、義兄弟の誓いを交わす。母親た
ちは一緒に遊ぶことを嫌がったが、彼ら
の絆は固かった。ある日、ミッキーとエ
ドワード、ミッキーの幼馴染リンダが警
官をからかい、警察沙汰に。ライオンズ
家は二人を会わせないために転居を決め
る。別れを告げに訪れたエドワードに、
ミセス・ジョンストンは内緒でミッキー
と自分の写真が入ったロケットを渡す。
しばらくしてジョンストン家の取り壊し
が決まり、新天地で再出発することとな
る。


ミッキーとエドワードは14歳。ミッキー
はサミーやリンダと騒がしい毎日を送り、
エドワードは厳格な男子校に通っていた。
ある日、ミッキーがリンダのことで悩ん
でいると、そこに現れたのがエドワード。
なんと二人は近くに住んでいたのだ。そ
んな二人をミセス・ライオンズは遠くか
ら見ていた。口説き方を学ぶために映画
を見ることにした二人は、途中ミッキー
の家に立ち寄る。エドワードとの再会を
喜ぶミセス・ジョンストン。二人が去る
と、ミセス・ライオンズがやってくる…
…。


ミッキーとエドワード、リンダは自由で
無邪気、幸せな青春を謳歌した。18歳に
なると、エドワードは大学へと旅立ち、
ミッキーは工場で働きだした。リンダの
妊娠をきっかけにミッキーとリンダは結
婚。ところが不景気によりミッキーは仕
事を解雇され、探せども仕事は見つから
ない、エドワードは事情を知ってミッキ
ーにお金を渡そうとするが、ミッキーは
イラつき決別を告げる。


失業中のミッキーにサミーが強盗の見張
りを持ち掛けた。しかし、強盗は失敗、
サミーとミッキーは刑務所送りに。入所
中、ミッキーはうつ病でくすり漬けにな
り、出所後も薬を手放せない。リンダは
エドワードの支援を受けて生活を立て直
そうと努めるが、ミッキーは二人の仲を
疑い始める……。


さて、コメントです。


「ブラッド・ブラザーズ」は、最初は観
に行くつもりはなかったのですが、梅田
芸術劇場の3階にあるモニター画面で予告
編を見ていて、なんか観劇したくなって、
チケットを探したら、まだ、一般発売で
残っていたので、買うことにしました。


観に行って良かったです。


「ブラッド・ブラザーズ」ー血の繋がっ
た双子の兄弟というだけでなく、少年時
代に二人は兄弟であることを知らず、同
じ生年月日であることから、手のひらを
ナイフで切り、血を混ぜ合わせることに
より義兄弟としての誓いを交わします。


一方、二人の母親のミセス・ジョンスト
ンとミセス・ライオンズは、二人が双子
の兄弟であることを秘密にすべく、聖書
の上に手を置いて契約を交わします。
そのことが、二人の兄弟に悲劇を生むこ
とも知らずに……。


その悲劇の運命を暗に仄めかすのがナレ
ーター。真っ黒い服を着てたびたび登場
し、こんな歌を歌います「さあ、悪魔が
狙い定め、お前を追い詰める。すぐそこ
に来ている……。」


さて、結末は、エドワードとリンダの仲
を疑ったミッキーが拳銃を持ち出し、エ
ドワードを殺そうとします。
そこへ、ミセス・ジョンストンが現れ、
ミッキーを止めようとします。二人は本
当の兄弟なのだからと。
それを聞いたミッキーは、「なんで俺を
手放してくれなかった!俺がこいつにな
れたんだぞ!」
と叫んでエドワードを銃
で殺します。ミッキーは取り囲んでいた
警官に銃で撃たれて死にます。


二人は、同じ日に生まれ、同じ日に死ん
だのです。


ミッキーの最後の言葉(上の太字部分)
が心に突き刺さります。
この物語の舞台の1960年代のイギリス・
リバプールよりは、今の日本はかなりま
しにはなってきているとは思いますが、
それでも「親ガチャ」の言葉が示すよう
に貧困生活にあえぐ人は、まだ、数多く
いますし、貧困層から抜け出せる人もご
く一部です。


この作品は、そのような格差社会が生む
悲劇を鋭く描きます。


さて、劇場入場時にテーブルにチラシと
同じ絵柄のポストカードが置いてあった
ので、1枚貰ったら、この日は「緊急企
画!平日公演限定!非売品特製ポストカ
ードプレゼント!」の日だったようです。
ラッキー!!


しかも場内アナウンスで、公演終了後、
柿澤勇人・ウエンツ瑛士・木南晴夏の3人
によるアフタートークショーを実施する
とのこと。全然知らないでチケットを買
いました。
なるほど、満席の訳だ。


主役の二人を含めてそれぞれが素晴らし
い演技と歌でしたが、特に注目はこの二
人。


ミセス・ジョンストン役の堀内敬子さん
は、一番最初に舞台に一人出てきて歌い
始め、そしてラストのシーンでも歌うと
いう、この作品では一番歌う場面の多い
役。歌の迫力が素晴らしかったです。
貧しくても逞しく生き、そして、そばに
いるミッキーと離れて会うことのできな
いエドワードにも深い愛情を抱き続ける
母親役を見事に演じて深い感動を与えて
もらいました。


もう一人は、ナレーター役の伊礼彼方さ
ん。伊礼彼方さんがナレーター役では勿
体ないな、と思っていたら、歌う場面が
結構あって、美声を聞かせてくれました。
単なるナレーターではなく、物語の不吉
な展開を予感させる、そんな役回りです。
それがとっても伊礼彼方さんの雰囲気に
合っていて良かったです。
さらに、ナレーター以外の役でも出てき
て大活躍していました。


後は、一路真輝さんと鈴木壮麻さん。
歌うナンバーは、少ないのですが、さす
がの歌唱力。むしろお芝居の方で魅せて
くれました。


アフタートークショーでは、伊礼彼方さ
ん、呼ばれもしないで出てきて、結構し
ゃべって観客を笑わせていました。
本当はこんなキャラなんだ、って思いま
した。


アフタートークショーは、今回のカンパ
ニーの裏話の暴露ネタ。


内田朝陽さんが、福岡から東京へ帰る飛
行機の便で、搭乗間際になっても来ない
話やその飛行機の中でフライトの時間が
1時間しかないのに2時間半の映画を木南
晴夏さんが早送りで見て、ラストシーン
で号泣していたという話や福砂屋のカス
テラを楽屋に差し入れたら、一路真輝さ
んがザラメのところの紙まで食べてしま
ったという話など、爆笑ネタ満載でした。


愛知公演もあったんですね。