壽々の雑記帳

観劇のコメントや日々の出来事・時事問題などについて綴ります。

月組公演『応天の門』の主要登場人物について紹介③ー「在原業平」

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


今回は、『応天の門』の月組2番手の鳳
月杏さん演じる在原業平について、紹介
します。


まず、ウィキペディアの記事から引用し
ましょう。
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左近衛権少将。
都の守護を務める役目柄、都で起こる怪
奇事件の捜査に当たる。好色漢として有
名で、数々の貴婦人と浮名を流している
が、本人はかつて関係を持っていた高子
のことを忘れられないでいる。 白梅から
好意をもたれておりそれを度々利用して
いるが、宣来子からは警戒されている。
女性の香を聞くだけで誰のものか分かる
特技をもつ。根っからの人たらし。 血筋
としては平城天皇の孫であり、反藤原派
との宴会を度々ひらいている。
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菅原道真と比べると、随分、短いです。
菅原道真と同様に、ちょっと、解説をし
ます。


「都の守護を務める役目柄」とあります
が、原作の人物紹介では、在原業平は、
「検非違使(けびいし)(現在の警察)
を率いて都の安全を守る役職に就く。」
と書かれています、また、宝塚の作品紹
介にも、「検非違使の長・在原業平」と
書かれています。検非違使の長官は「別
当」といいますが、原作には業平が「別
当」であるという記載はありません。
ウィキペディアでも、実際の在原業平が
検非違使の別当であったという記述はあ
りません。
ただ、その母違いの兄弟だったとされる
大江音人という人物は、検非違使別当に
なっているので、業平=検非違使の長は、
この人物になぞらえた原作者の創作の可
能性があります。
そうでないとしても、推理小説によくあ
る警察が私立探偵に謎解きをしてもらう
という構図になっているのは、確かです。


原作の単行本の冒頭の人物紹介では、
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平城帝の血を引き、都中に名を馳せる歌
人。無類の女好きとしても知られる。検
非違使(現在の警察)を率いて都の安全
を守る役職に就く。
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と書かれています。
確かに、多くの女性と関係があって、原
作漫画の単行本第13巻の終わりの方に、
女性の所へ業平が出掛ける場面があるの
ですが、次々と断られて「これで7人目
だぞ」と言う所があります。つまり、少
なくとも7人の女性と関係があるという
ことです。


ところで、この話の時の業平の年齢です
が、原作では文章生である道真の20歳年
上ですから、40歳前後ということになり
ます。


「本人はかつて関係を持っていた高子
のこと忘れられないでいる。」とありま
すが、「関係を持っていた」は、ちょっ
と誤解される言葉で、原作に従い、正し
く言うと「駆け落ち未遂した」です。


「高子」というのは、藤原高子のことで、
左大臣藤原良房の姪で、清和帝に嫁ぐた
めに父親の良房によって屋敷に幽閉され
ている女性です。


「白梅」は、第4話、第5話の「都を賑わ
す玉虫の姫の事」で、道真、業平と出会
った森本の翁に仕えた女房で、森本の翁
の死後は、菅家に仕えています。業平の
ことを慕っています。


「宣来子」は、島田宣来子で、原作では、
道真の許嫁で、12歳ですが、配役に名前
がないので、宝塚の舞台には出てきませ
ん。実在の人物で、道真の正室となる人
です。
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「女性の香を聞く」の「香」は、「こう」
で、「嗅ぐ」ではなく「聞く」という言
い方をします。
古代・中世には今のようなお風呂がない
ので、「お香」は匂い消しに重宝されま
した。
貴族たちは古代の昔から、特に平安時代
になると盛んに、「お香」の聞き方を工
夫していきます。このとき、線香のよう
に直接点火することはあまりありません。
多くは香炉に灰と「たどん」(炭で作る
燃料)を入れ、その上に銀葉という雲母
の板をのせて、数ミリ角に薄く切った香
木を熱し、香りを周囲に拡散するのです。
あるいは衣服にたきしめる。
(この欄、原作の解説より)
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「人たらし」も余り使われない言葉だと
思います。本来は、「人をだますこと。
また、その人」という意味ですが、ここ
では、「多くの人に好かれる、とりこに
してしまう人」という意味で使われてい
るようです。「根っから」ですから、
「元々の」ということになりますが、道
真からは好かれているようには見えませ
ん。むしろ、面倒な事件を持ち込んでく
るので、嫌がられているような……。


「反藤原派との宴会を度々ひらいている」
と書いてありますが、原作に出てくるの
は、1回だけです。その宴会に道真を招
いて、道真が中座したことで、ちょっと
二人の仲が気まずくなる時があります。
その時に、「百鬼夜行」の事件が起きる
ので、この時は、業平ではなく、藤原常
行が業平の代わりに、道真と一緒に「百
鬼夜行」に出会うことになります。


このあたり、宝塚の舞台ではどうするの
でしょうか?
配役には、藤原常行(礼華はる)は載っ
ているので、出てくると思うのですが。


なお、在原業平は貴族ですから、基本は
移動は、牛車になるのですが、舞台上に
牛を登場させる訳にもいかないので、こ
のあたりも宝塚の舞台でどうするのか、
興味のあるところです。


↓「昭姫」と「菅原道真」の記事です。