妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

さすが名作!!上白石萌音さん、井上芳雄さん主演ミュージカル『ジェーン・エア』ライブ配信を視聴しました。

今日は、壽々(じゅじゅ)です。


東京芸術劇場プレイハウスで昨日の4月
2日まで上演され、梅田芸術劇場メイン
ホールで4月7日から上演されるミュージ
カル『ジェーン・エア』の東京芸術劇場
プレイハウス公演がライブ配信されたの
で、視聴しました。


主役のジェーン・エアは、上白石萌音さ
んと屋比久知奈さんの役替わりで、今回、
私が視聴したのは、上白石萌音さんのジ
ェーン・エア役版。


主なキャストは、以下の通りです。
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上白石萌音:ジェーン・エア
屋比久知奈:ヘレン・バーンズ
井上芳雄:エドワード・フェアファック
     ス・ロチェスター
春野寿美礼:ミセス・リード/レディ・
      イングラム
仙名彩世:ジェーンの母/ソフィ/ブラ
     ンチ・イングラム
樹里咲穂:ミス・スキャチャード/ベッ
     シィ
大澄賢也:リチャード・メイスン
春風ひとみ:ミセス・フェアファックス
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あらすじです。
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1840年代のイングランド。父母を亡くし
孤児となったジェーン・エアは、伯母の
ミセス・リードに引き取られるが、いじ
められ不遇な幼少期を送る。
率直な物言いで媚びることをしないジェ
ーンを伯母は目の敵にし、規則が厳しい
ことで知られるローウッド学院に彼女を
送ってしまう。
学院での理不尽な仕打ちに対し、怒りに
震えるジェーン。
そんな彼女に“赦す”ことを教えてくれた
のが、学院で生活を共にする、敬虔なキ
リスト教徒であるヘレン・バーンズだっ
た。
二人はかけがえのない友として深く結び
つくが、はやり病にかかったヘレンは若
くして天国へ旅立ってしまう。


8年後。
成長したジェーンはローウッド学院で教
師をしていたが、自由を求めて学院を離
れることに決める。
木々に囲まれた広大な屋敷、ソーンフィ
ールド・ホールに赴任したジェーンは、
主人のエドワード・フェアファックス・
ロチェスターの被後見人である少女、ア
デールの家庭教師となる。
ロチェスターは皮肉屋で風変わりな男だ
ったが、ジェーンは彼の孤独を察し、自
分と共通する何かを感じる。
ロチェスターもジェーンの聡明さ、率直
な物言いを好ましく感じるのだった。
やがて心を通わせていく二人。
だがこの屋敷には、夜になると聞こえて
くる不気味な声があった――。
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豪華実力派キャストが揃いました。


原作の『ジェーン・エア』は、シャーロ
ット・ブロンテの1847年刊の長編小説。
前から読みたいと思っていて、まだ、読
めていないのですが、こういうお話なん
ですね。


時代と場所は、1840年代のイングランド。
まだまだ、階級社会と女性に対する差別
が色濃く残っている時代。
その理不尽な社会で孤児となったジェー
ンが自らの強い意志と内に秘めた情熱と
で力強く生き抜いていく物語。
ただし、寄宿学校での親友であったヘレ
ン・バーンズの「生きるとは信じ、許す
こと」の言葉を胸に。


さて、幕が開いて(配信が始まって)、
画面に映し出されるのは、草木や十字架。
そこから、カメラが引いて、舞台上には
左右に観客席が……。
最初は、オーケストラボックスかとも思
いましたが、よく見ると、やはり、観客
席。
特別席なのでしょうか?ただ、あの席か
らだと舞台は良く見えると思いますが、
出演者の演技は、斜め後ろから見ること
になりそう。


最初に黒い服を着たジェーン・エア役の
上白石萌音さんが出てきて、歌を歌うの
かと思いきや、ここでの主役は、子供時
代のジェーン・エアを演じる三木美怜さ
ん。
本当に最近の子役は、上手いですよね。
ジェーン・エアが家庭教師で行ったロチ
ェスター家の家庭教師の相手のアデール
役の岡田悠李さんもちょっと生意気だけ
ど可愛らしくて、上手いです。


さて、孤児となって引き取られた伯母の
家で伯母のミセス・リード(春野寿美礼
さん)とその子供のジョン・リード(神
田恭兵さん)にいじめられるジェーン。
なんだか、『ハリー・ポッター』みたい。


と、続けていくと長くなるので、要点だ
けにします。


まず、この舞台の特徴は、一人の出演者
が何役も担っていること。


春野寿美礼さんは、先のミセス・リード
役に加えて、居丈高なレディ・イングラ
ム役の二役で、どちらも嫌な女。
「イヤミス」でなくて「イヤミセス」。


樹里咲穂さんは、寄宿学校の厳しい教師
役であるミス・スキャチャードと、ロチ
ェスター家の召使いのベッシィ役ともう
一つの役の三役。
といった具合。


もう一つの特徴は、アンサンブルが歌い
手だけでなく、語り手としての役割も担
っていて、代わるがわる登場して、物語
を語るということ。
ちょっと、新鮮な演出でした。


今回の脚本・演出は、『レ・ミゼラブル』
『ナイツ・テイル』『千と千尋の神隠し』
のジョン・ケアード氏。
音楽は、『ナイツ・テイル』でジョンと
タッグを組んだポール・ゴードン氏。
素晴らしい作品になりました。


上白石萌音さんと井上芳雄さんの並びは、
『ナイツ・テイル』以来。
本当は、生で観劇したかったのですが、
日程と予算の都合上、断念。
それでも、配信で視聴出来て良かったで
す。


これが観たかったという上白石萌音のジ
ェーン・エア。前回は、『千と千尋の神
隠し』だったので、ストレートプレイ。
したがって、歌はなし。
今回は、『ナイツ・テイル』以来の上白
石萌音さんの澄み切った清々しいとも言
える歌声が聞けました。心の中に強い信
念と情熱を秘めるジェーンの心の在り様
を歌い上げる、上白石萌音さんの歌が素
晴らしいです。
生で聴けたらもっと良かったんでしょう
ね。


一方の井上芳雄さん。今更、コメントも
ないのですが、上白石萌音が細くて小柄
なためか、やけに体格の良さが目立って
いました。貴族らしく堂々としてはいま
すが、どこか、繊細な心の持ち主。ジェ
ーンの真っ直ぐな行動や言葉に段々と惹
かれていくのが演技から伝わってきます。


歌の方は、いつもの高音で、なにか、山
口祐一郎さんに似てきたような(←褒め
ています)……。

そして、幽霊が出るという屋敷に秘めら
れたある秘密。ミステリー物としても上
質です。


最後に屋敷が火事になり、片腕を失い、
盲目となったロチェスターと結婚するジ
ェーン。
その後は、原作にはないようですが、二
人の間に子供が生まれて、ロチェスター
の片眼も少し視えるようになって、赤ん
坊を見つめる場面は感動的です。


ただ、階級社会と女性差別は、今の世界
でも日本においてさえも残っているよう
に思うのですが……。
この物語から200年近くが過ぎていても、
なお、です。


だからこそ、この作品が現代に生きる私
たちの心にも突き刺さるような普遍性を
持っているのではないでしょうか?
「生きることは信じ、許すこと」という
もう一つのこの作品のテーマと共に。