妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

内容詰め込み過ぎの宙組公演『カジノ・ロワイヤル』。

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


今回の公演の公演プログラムの小池修一
郎氏の解説を読むと、今回の作品に対す
る小池氏の意図が書かれています。


まず、究極の男役である真風涼帆さんに、
ジェームズ・ボンドというキャラクター
をやらせたかったということ。


しかも、イアン・フレミングの作品は、
日本の著作権法でパブリック・ドメイ
ン(公有)となっていたことです。
(つまり、何の支障もなく自由に改変
できる)


したがって、真風涼帆さんが過去に出演
した作品を思い起こさせる場面や設定が
あること。ロマノフ家はその一つでしょ
う。


次に、英国のジョージ5世がロマノフ家
の皇族救出のために戦艦マールバラを差
し向けたという史実を入れたいと思った
こと。


ですから、ジェームズ・ボンドの祖父を
その戦艦マールバラに乗船してマリア皇
太后を救出したという設定にしています。


ついでに、スイスの銀行の金庫の暗証番
号を解く鍵をこの戦艦マールバラを使っ
たアナグラムにして、ボンドであるから
こそ解けるようにした。


真風ボンドがアナグラムの組み合わせは、
1417万通りと即座に算出して、凄い、と思
ったのですが、よく考えると、文字数の
17に根拠不明の1万を掛けただけ。

実際に私が計算してみると、1兆通り以上
になるはず。


小池氏がどうやって、このアナグラムを
作ったのかは不明ですが、片方にカジノ
を連想させる「ギャンブラー」が入って
いて、もう片方に戦艦の名前のマールバ
ラが入っているという、実に凄いアナグ
ラム。これは、使ってみたかったでしょ
う。


さらに、敵役ル・シッフルを格上げして、
「世界制覇を目指すラスボスの役割を付
与した」こと。


実際には、ロシア帝国の再興を目指して、
自分がその皇帝の座に就くことしか考え
ていないように見えますが。


最後に、「世界中の文化が動き、ベトナ
ム戦争反対がベビーブーム世代の若者た
ちを連帯させ、パリに5月革命が起きた
歴史に残る年である」1968年という時代
設定にして、パリの学生運動をストーリ
ーに組み込んだこと。


そのために、ヒロインのデルフィーヌと
その恋人のミシェルは、学生運動の活動
家という設定にしてしまいました。


原作の舞台設定と登場人物は残しつつも、
以上の内容を詰め込んだために、「トン
デモ・ボンド」だけでなく、「トンデモ
・カジノ・ロワイヤル」になってしまっ
ています。


肝心の「バカラ」で、ボンドとル・シッ
フルが対決する場面では、どっちが勝っ
ているのか、全然分からないし……。


それらをつなぎ合わせて、一応、ストー
リーとしてまとめ上げた小池氏の演出の
手腕は、さすがですが、ちょっと、詰め
込み過ぎでは?


少し、まとまりの無さを感じてしまいま
す。何かまるでドタバタ劇をみているよ
うな……。


ところで、戦艦マールバラの積み荷は、
200トンだったはずですが、スイス銀行
の金庫の金の延べ棒は、500キロ。
残りの199,500キロはどこへ行った?