妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

ミュージカル『マイ・フェア・レディ』は、「気持ち悪い」か?

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


Yahoo!で「マイ・フェア・レディ」を
検索していたところ、面白い記事を見つ
けました。
Yahoo!知恵袋で、質問者が「マイ・フ
ェア・レディって気持ち悪い映画なんで
すか?」という質問に6人の方が回答し
ている、というものです。


まず、質問者は多分その知人から「マイ
・フェア・レディ」は気持ち悪い映画、
と聞いたので、そのような質問をしたの
だと思いますが、「気持ち悪い」だけで
は、一体、あの映画の何のどこが気持ち
悪いのかが分かりません。
したがって、回答者の回答もバラバラに
なりました。


回答者のうち、2人は主演のオードリー・
ヘップバーンに関するものだと受け止めて
回答しています。


1人は、「オードリー・ヘップバーンの
化粧が、受け付けない。」と回答してい
ます。
これは、個人的な好みの問題だと思いま
すが、そもそもオードリー・ヘップバ
ーンの「マイ・フェア・レディ」の画像
はインターネットにいっぱい出ているの
で、この回答は的外れでしょう。


もう一人は、「ヒロインの歌唱部分を
吹き替えにしているところ」としてい
ます。
しかし、吹き替えを「気持ち悪い」と
いうのは、少し違うように思われます。
確かに、映画ではオードリー・ヘップ
バーンの歌の部分はほとんどが(全部で
はありません)他の人の吹き替えで、
それを知ったヘップバーンは、ひどく
落胆したというエピソードが残ってい
ます。


舞台版では、ジュリー・アンドリュース
がイライザ役をやっていたのですが、
ジュリー・アンドリュースは映画には
出ていないことを理由に、映画女優の
オードリー・ヘップバーンを起用した
ようです。
確かに、オードリー・ヘップバーンで
なければ、この映画はあれほどヒット
しなかっただろうとは思います。


3人目は、「気持ち悪い映画では全然な
いです。」と言って、そのあとに「マイ
・フェア・レディ」について紹介。
ここまではいいのですが、その後に
「舞台版は徹頭徹尾上質なコメディだっ
たが、オードリーを主役にしたため、
後半がだれまくってしまった。」などの
コメントを追加。こういうのを「蛇足」
というのでしょうね。映画を褒めている
のか貶しているのか分からないコメント
が書かれています。
このコメントを読んで、質問者が映画を
観たくなるかどうかは甚だ疑問。
回答としては悪い事例だと思います。


4人目は、「今どきなストーリーではあ
りませんよね。」としています。確かに
古いミュージカルではありますが、いま
だに何度も再演されていることからも
それほど古臭さを感じるというものでも
ないと思います。
「シンデレラストーリー的な。」とも
書いていますが、この作品を「シンデレ
ラストーリー」と見ることは、ちょっと
違うように思います。


5人目は、ヒギンズ教授の「…女をモノ
扱いするごう慢さが不評です。」として
います。
確かに、ヒギンズはイライザに対して、
窓から放り出すと言ったり、どこかの
国の前首相の発言のような女性蔑視の歌
を歌います。そんなヒギンズに対して
観客の中には立腹される方もいるかも
しれません。
ただし、回答者は「ただし、教授が逆に
手懐けられてしまうオチを含め「男って
愚かだよね~」というテーマを理解せず
に批判するのは低能のやる事です。」
と書いています。
この作品のテーマが「男って愚かだよね
~」は、ちょっと違うと思いますが、
ヒギンズの傲慢さを「気持ち悪い」と
思ったということは、ありそうです。


最後の6人目は、映画のストーリーを
書いているのですが、質問者の「気持ち
悪い映画なんですか?」に何も答えてい
ないので、回答者として失格。


というような回答状況で、まあ、一番
まともなのは5人目ですかね。


最後に私の見解です。
質問者は多分、女性で、同じ女性の知人
から「気持ち悪い映画」と聞いたのだろ
うと思われます。
そうすると、女性があの映画のどこを
「気持ち悪い」と思うかです。


問題は、イライザ役のオードリー・ヘッ
プバーンにあるのではなく、ヒギンズ
教授役のレックス・ハリソンにあるので
はないかと思います。
『マイ・フェア・レディ』制作当時の
オードリー・ヘップバーンの年齢は、
34歳。
一方のレックス・ハリソンは55歳で年の
差21歳。
要するに、映画の画面の上で、若い女性
が20歳以上も年上のオヤジに恋をする
(多分結婚する)という結末になってい
るところが、映画を観る上で「気持ち悪
い」と思われたのではないかと思います。


ヒギンズ教授役は当時『アラビアのロレ
ンス』を撮り終わったばかりのピーター
・オトゥールにもオファーしたようです
が、出演料が高額過ぎて断念。
結局、舞台版にも出演していたレックス
・ハリソンにヒギンズ役は落ち着いた
という経緯があるようです。
ピーター・オトゥール(オードリー・
ヘップバーンより3歳年下)がヒギンズ役
だったら映画の印象は随分違ったと思うの
ですが……。