妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

「コンプライアンス」と「情報漏洩」の勘違いについて③ー宝塚宙組問題!!

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


前回②の続きになります。
==================
「残るは、1の情報漏洩です。
これは本当に大問題なんです。
遺族側弁護士さんが利用するつもりだっ
た『誓約書』というものがあります。
なんだかんだ仰ってましたが、早く言え
ば、劇団員のルールブックです。

==================
「ルールブック」をどのようにイメージ
されているのか分かりませんが、一般的
には、その職場の規則集です。


例えば、
・職場の基本ルール(出退勤のルール、
 残業の申請・報告手続き、仕事の進め
 方など)
・会社が禁止していること(ハラスメン
 ト行為
機密情報の流失行為、パソコ
 ン等の私的利用の禁止など)
・制度や定めのルール(短時間正社員制
 度、短時間勤務制度、休暇、休業、復
 職など)
・顧客への接遇・対応マナー
・企業理念、経営方針
などについて、分かりやすくまとめたも
のです。


一方、「誓約書」は、書面の作成者が提
出先に対して何らかの約束をし、それに
伴う義務を負担することを目的とするも  
のです。


続けます。
==================
その中で、劇団内の情報を外部に漏らす
ことは禁止されています。

また社会規範に照らしても、週刊文春な
どの雑誌への情報漏洩と、一方的な記事
の掲載には、倫理的に問題があります。
コンプライアンスとして考えるなら、情
報漏洩も記事掲載もどちらも問題行動で
す。

(略)
もし、この『誓約書』なるものが宝塚歌
劇というブランドを維持するために必要
なルールと考えれば、それを、第三者が
特殊と感じても、指摘や批判の対象には
なりません。

==================
普通、誓約書で情報を外部に漏らすこと
を禁じるのは、その企業・組織に重要な
技術上の秘密やノウハウなどが企業・組

織内にある場合です。


その場合は、保護する「秘密情報」を特
定する必要があります。


例えば、こんな書き方です。
==================
第1条 秘密情報の特定


本誓約書において「秘密情報」とは、以
下の情報を指すものとする。


営業秘密、ノウハウ、その他の会社が保
有する有用かつ非公知で、秘密として管
理された情報
会社の経営上の情報(経営戦略、経営方
針、価格決定に関する情報、取引先との
取引金額、業務提携等の情報)
会社の財務上、人事上、組織等に関する
情報
顧客情報等の個人情報
前各号のほか、会社が秘密情報として指
定した一切の情報
==================
このような、特定がないと、その秘密保
持誓約書は、無効とされる可能性があり
ます。


「宝塚歌劇というブランドを維持するた
めに必要な」情報とは何であるのかを誓
約書に明示する必要があります。


続けます。
==================
もし、内部告発をするんだ❗️という目的
であるならば、訴えるべき場所が違いま
す。
現に、超過勤務や過重労働については、
正規の手続きを経て労働基準監督署に訴
えられ、立ち入り調査が行われています。


イジメだ!体罰だ!というなら警察
職場でのパワハラは労働基準監督署
人権に関わることは法務省人権擁護局
という場所があります。
決して週刊文春の編集部ではありません。
==================
まず、歌劇団と劇団員の間の契約は、一
応、タレント契約ですから、労働基準法
の「サービス残業」や「超過勤務」の規
定は適用されません。


問題となるのは、「過重労働」ですが、
宝塚歌劇団は「正規の手続きを経て労働
基準監督署に訴えられ」た訳ではありま
せん。


そもそも、労働基準監督署に訴えるのに
「正規の手続き」というのが理解不能で
す。


普通は、内部告発によるものが多いと思
いますが、「誓約書」で「劇団内の情報
を外部に漏らすことは禁止されてい」る
とすれば、それさえもできないことにな
ります。


西宮労働基準監督署による立ち入り調査
が行われたのは、調査チームによる調査
報告書が公表(現在は、削除されていま
す)され、その中に、長時間労働を認め
る内容が書かれていて、歌劇団側が謝罪
したという情報を労働基準監督書が得た
からだと思われます。
(2023年11月23日付中日新聞より)


よく、宝塚歌劇団は、「外部漏らしはご
法度」だと言われますが、すべての情報
を外部に漏らすことを禁じていれば、内
部告発さえもできないことになり、例え、
不祥事が劇団内で起きたとしても、それ
を外部に伝える術がないことになります。


イジメや体罰をどれだけ警察が取り扱っ
てくれるかは、程度の問題でしょう。警
察が取り上げてくれるとすれば、それは、
DVだと思います。


職場でのパワハラは労働基準監督署では
なく、各都道府県労働局、全国の労働基
準監督署内などに設置されている総合労
働相談コーナーです。


または、組織内に相談窓口や外部弁護士
のような相談先が設けられているのであ
れば、その相談窓口に内部通報すること
になります。


それこそ、「ルールブック」があるとす
れば、「ルールブック」に記載すべきこ
とです。


3月1日に行われた宝塚音楽学校の入学式
で、村上理事長が「つい先日も内部通報
窓口を設置した。」と言ったそうですの
で、それまでは、内部通報窓口さえ設置
されていなかったことになります。


そうだとすれば、勇気を持って、週刊文
春に告発した劇団生を「外部漏らし」と
責めるのは、それこそ酷だと言うべきだ
と思います。


また、親にさえ、内部の情報を話せなか
ったから、亡くなった劇団生は、精神的
に追い詰められたのではないでしょうか。


遅まきながらも、内部通報窓口を設置し
たのは、その反省を踏まえての対応であ
ると思います。


そもそも、一劇団生が、外部に漏らして
は困るような劇団の内部情報をどれだけ
知っているというのでしょうか。


むしろ、内部通報窓口すらない状態で、
外部への情報漏洩を「誓約書」で禁止し
ていたとしたら、そちらの方が大問題で
はないでしょうか。


私は、企業でコンプライアンス体制の構
築に関係したという経歴があります。


その私から見て、このような「コンプラ
イアンス」とは何であるか、という正確
な知識を持たない人が、ブログで「コン
プライアンス」について、安易に語り、
それが拡散することに危惧を覚えます。


ただ、宙組公演を観に行きたいというの
であれば、それだけでいいのではないで
しょうか。


それを批判する権利は、誰にもないはず
です。


それが、「コンプライアンス」について、
どこから仕入れた知識か知りませんが、
間違った考えをわざわざ長文で書くから
問題になるのだと考えます。


④へ続くかもしれない……。


前の記事です。