妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

「安全配慮義務」とは?ー遺族側代理人の見解①

今日は、壽々(じゅじゅ)です。


遺族側弁護士は、記者会見で、「劇団と
亡くなった方との間の契約は、「委託契
約」となっているが、内容は、「使用
従属関係」になっているため、実質的に
は、「雇用契約」と解される。劇団には
安全配慮義務があった
と話していました。


この弁護士の見解について、もう少し、
詳しく解説してみます。


まず、「安全配慮義務」とは、企業が従
業員の健康と安全に配慮する義務のこと
です。 労働契約法や労働安全衛生法で定
められています。


労働契約法
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働
者がその生命、身体等の安全を確保しつ
つ労働することができるよう、必要な配
慮をするものとする。


労働安全衛生法
第三条 事業者は、単にこの法律で定め
る労働災害の防止のための最低基準を守
るだけでなく、快適な職場環境の実現と
労働条件の改善を通じて職場における労
働者の安全と健康を確保するようにしな
ければならない。また、事業者は、国が
実施する労働災害の防止に関する施策に
協力するようにしなければならない。
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安全を配慮する義務の内容は、次のよう
になっています。


健康配慮義務


従業員の心身の健康に配慮する義務です。
身体的な健康だけでなく、精神的な健康
(メンタルヘルス)への配慮も重視され
ます。そこで、次のような対策が行われ
ています。


・健康診断の実施


・ストレスチェック


・産業医やカウンセラーなどの配置


労働時間の管理


職場環境配慮義務


従業員が安全に働けるような労働環境を
形成し、維持するよう配慮する義務です。
次のような対策が行われています。


・機器の導入やメンテナンス、操作方法
 の指導


・施設の管理


・ハラスメント対策
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したがって、「雇用契約」の場合は、企
業側にこのような対策を行う義務があり
ます。


これらの義務に違反すると、「安全配慮
義務違反」となり、民法に基づき企業側
は、賠償責任を負います。


一方、「業務委託契約」の場合は、この
ような雇用契約上の義務の適用はありま
せん。


調査チームの調査報告書では、亡くなっ
た方と歌劇団との間の契約を「出演契約」
(業務委託契約)であるとしているため、
「安全配慮義務」については、言及して
いないのです。