妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

新聞の1面・3面に載ってしまった「宝塚 管理不備頻発」②ー中日新聞

今日は、壽々(じゅじゅ)です。


昨日の続き、3面の記事になります。
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特殊な演劇界 過労減らず
「無理を称賛」空気感影響も


 宝塚歌劇団が2000年以降、労働基準監
督署から4回の是正勧告を受けていたこと
が明らかになった。電通社員が過労自殺
した事件を機に各業界で働き方改革が進
む中、今年9月に急死した女性俳優(25)
の残業が月200時間を超えていた可能性
も浮上。専門家は芸能分野の特殊性が背
景にあると指摘し「労働環境の抜本的な
改善が必要だ」と訴える。


■過労死ライン
「怒られてた」
「まだかえれんわ」
「上の人おるから」
「かえれん」


 俳優の遺族側弁護士は今月7日、亡くな
る直前の今年9月2日深夜に母親に送った
LINE(ライン)のメッセージを公表した。
弁護士によると、俳優はこの直前、上級
生3人から激しく叱責されていたという。


 俳優は8~9月の約1カ月半、連続して
勤務していた。弁護士は9月に亡くなる
までの約1カ月の時間外労働を推計。
「過労死ライン」を大幅に超える約277
時間に上り、睡眠時間は1日3時間程度
だったとしている。遺族側は上級生から
パワハラがあったとも主張している。


 05年に歌劇団に入団した元タカラジェ
ンヌの東小雪さんは「20年たっても状況
は変わらないまま。何が起きていたのか
目に浮かんだ」と話した。


■感覚まひ
 電通社員=当時(24)=の過労自殺に注
目が集まった16年は、政府の働き方改革
実現会議の議論が進む真っ最中だった。


 17年には東京区検が労働基準法違反の
罪で法人としての電通を略式起訴。その
後裁判となり、当時の社長が初公判で起
訴内容を認め謝罪した。深夜残業の解消
といった取り組みは広告業界だけではな
く社会全体に波及した。


 歌劇団は俳優の急死を受け、1週間当
たりの公演数削減などの対策に乗り出し
た。現役俳優の一人は「舞台や稽古は
(俳優を養成する)音楽学校の延長で、
働いているという感覚はまひしていた」
と明かす。


■やりがい搾取
 現代演劇ウオッチャーの高野しのぶさ
んによると、演劇界は公演ごとに期間限
定で創作に打ち込むため、仲間の結束力
が強い一方で意識が内向きになりがちだ
という。俳優を追い込むことを良しとし
てきた歴史もあり「無理をしてハードル
を越えることを称賛する傾向がある」と
独特な空気感を指摘する。


 歌劇団は、音楽学校時代に言葉遣いや
あいさつを厳しくしつけられるなど他の
芸能と比べても特殊な環境に置かれると
いう。東さんも「芸能分野の中でも、宝
塚だからという意識はある」と明かす。


 労働問題に取り組むNPO法人POSSE
の今野晴貴代表は、舞台への熱意を利用
し劇団員に過酷な労働を強いるのは「や
りがい搾取」だと強調する。歌劇団では
入団5年目まで雇用契約だが、6年目から
はフリーランス(個人事業主)契約とな
り労基法は適用されない。


 今野氏は「芸能分野では、実態は雇用
契約なのに形式上は業務委託の「脱法的
フリーランス」も多く、法律無視の体質
が根付いているのではないか」と話し、
業界全体を巻き込んだ改革を求めた。
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別に、業界全体を巻き込まなくてもいい
ですが(それぞれの事情が違いますから)、
宝塚歌劇団の契約形態だけは、実態に合
わせて「雇用契約」にすべきでしょう。


4回にもわたる労働基準監督署からの是正
勧告を受けながら、その根本的な劇団生
の働き方を改革せずに放置してきた宝塚
歌劇団の責任、さらには阪急阪神ホール
ディングスの責任は重いと思います。


劇団生は、皆、宝塚の舞台の華やかさに
憧れ、夢を持って、宝塚音楽学校の高い
倍率の中を受験・入学し、そして、2年
間の音楽学校生活を経て憧れの劇団に入
団したはずです。


それを、自分たちの金儲けのために利用
して、劇団生から過重な労働環境の下に
搾取してきた劇団の罪は重いと言わざる
を得ないでしょう。


それにしても、週刊誌ならともかく、新
聞でこれだけ大きく取り上げられた影響
は、決して小さくはないと思いますが。