真風さんによる、真風ファンのための『カジノ・ロワイヤル』(激辛感想ー要注意!!②)
今晩は、壽々(じゅじゅ)です。
前回の記事「ようやく観れました。宙組
公演『カジノ・ロワイヤル 』(激辛感想
ー要注意!!①)」の続きになります。
なお、繰り返しますが、決して真風涼帆
さんが悪い、と言っている訳ではなく、
全ての責任は演出の小池修一郎氏にあり
ます。
前回の①に記事で書き忘れたことを補足
します。
それは、今回の宙組公演『カジノ・ロワ
イヤル』の前に三つの公演を観劇してい
るということです。
その三つの公演とは、
①礼真琴さん主演星組公演『Le Rouge et
le Noir~赤と黒~』
ーフレンチロックミュージカルの傑作
です。
②凪七瑠海さん主演星組公演 『バレンシ
アの熱い花』『パッション・ダムール
・アゲイン!』
ーお芝居・ショー共に「これぞ宝塚」
という作品です。
③上白石萌音さん、井上芳雄さん主演ミ
ュージカル『ジェーン・エア』
ー実力派キャストが揃った名作ミュー
ジカルです。
以上の三公演を観た後での『カジノ・ロ
ワイヤル』の感想ということになります。
で、今回は、真風さんが「ジェームズ・
ボンド」という役を演じるということに
ついてです。
これは、公演の演目の発表の時から分か
ってはいたことですが、宝塚の演目に
「ジェームズ・ボンド」は相応しくない、
ということです。
それを今回、実際に観劇して、改めて感
じました。
確かに、今の各組のトップを見ても、真
風涼帆さんが一番、「ジェームズ・ボン
ド」役には合っているとは思います。
細身で長身、ノーブルできりっとした顔
立ち。宝塚のダンディズムを極めたとも
いえる存在感。
ただ、いくら、真風涼帆さんが男らしい
男役だと言っても、中身は女性です。
女性の観客から見れば、いかに男らしい
真風さんであっても、男性である私から
見れば、女性以外の何物でもありません。
どう見ても、映画の中で一度は上半身裸
で筋肉を見せつけるようなマッチョな
「ジェームズ・ボンド」には見えません。
ただ、筋肉ムキムキの真風さんを誰が観
たいと思うでしょうか?
私は、映画の『007』シリーズのファン
で、ほとんどの作品は映画館で、古いも
のはDVDで観ています。
「ジェームズ・ボンド」は、男性ファン
にとって一種の「憧れの存在」と言って
いいでしょう。
どう考えても、少なくとも、『カジノ・
ロワイヤル』という作品は、男性の読者
向けに書かれた作品です。
それは、ボンドがル・シッフルから受け
る拷問の場面にも表れています。
ル・シッフルは、ボンドに対して、男性
にしか理解できない想像を絶するような
拷問を加えます。
決して、女性には理解できない拷問です。
ル・シッフルの古城の拷問部屋で、真風
さんが電気椅子に拘束された時には、拷
問が観られるのか、と期待したのですが、
驚くべき身体能力で、椅子に縛られた潤
花さんが真風さんを助けてしまいました。
天彩峰理さんのムチも残念ながら、拷問
用ではなかったようです。
拷問すると「すみれコード」にでも引っ
掛かるのでしょうか?
「ジェームズ・ボンド」は、「すみれコ
ード」抵触感満載の作品なんですけどね。
そして、ボンドの協力者として登場する
のは、ヴェスパー・リンドという名のと
びっきりの美女。
この設定は、この作品以降も続き、ボン
ド・ガールと呼ばれます。
このようなマッチョなプレイボーイと水
着美女といった「ジェームズ・ボンド」
もダニエル・クレイグ版からは、少しず
つ時代に合わせて変化しつつあります。
それでも、現時点で最後のジェームズ・
ボンド役を務めたダニエル・クレイグは、
次のように語っています。
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ダニエル・クレイグは、「ジェームズ・
ボンドと同等に優れた役」を女性や有色
人種の俳優達に用意するべきだと考えて
いるそうだ。10月1日より日本公開する
最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダ
イ』を最後にジェームズ・ボンド役を降
板するダニエルは、女性が後任を務める
可能性を否定した。
『ラジオ・タイムズ』誌のインタビュー
で、007役に女性がキャスティングされ
ることを支持するかどうか尋ねられたダ
ニエルは、「その答えはとてもシンプル
だ。ただ単に女性や有色人種の俳優には、
もっと良い役が用意されるべきだよ。も
しジェームズ・ボンドと同等に優れた女
性向けの役があれば、どうして女性がジ
ェームズ・ボンドを演じる必要があるだ
ろうか」と答えた。
以前より女性のボンドを望む声が上がっ
てはいるものの、プロデューサーのバー
バラ・ブロッコリはボンドを女性に変更
する予定はないとの意向を明らかにして
いる。また『007』シリーズでM役を演
じた唯一の女性であるジュディ・デンチ
も、ジェームズ・ボンド役に女性が選ば
れるべきではないという考えを語ってい
る。
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どうも、映画版の方では、女性が「ジェ
ームズ・ボンド」を演じることはなさそ
うです。
私も同じ意見です。
物事には、どんな状況になっても、時代
が変わったとしても、越えてはならない
一線があるのだろうと思います。
それが、私たち男性の「ジェームズ・ボ
ンド」ファンにとっては、ボンドを演じ
るのは、あくまでも男性である、という
ことです。
ただ、始末が悪いことに、宝塚の場合、
「男役」というものが存在することです。
「男役」が「ジェームズ・ボンド」を演
じているのだから、女性がボンドである
訳ではない、という理屈が成り立つと思
いますが、私たち男性から見れば、「男
役」であっても中身は女性です。
やはり、男性が演じるのとでは違いがあ
ります。
逆に、それが宝塚歌劇の魅力でもあるは
ずです。
ほかに真風さんが演じるのに相応しい役
がいくらでもあるのに、しかも、真風さ
んの退団作なのに、どうして、小池修一
郎氏は、ショーも付かない1本物の『カ
ジノ・ロワイヤル』を選んだのでしょう
か?
公演プログラムには、小池修一郎氏のこ
ういう話が載っています。
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純粋なボンドファンからは「トンデモ・
ボンド」「どこがカジノ・ロワイヤル?」
と異論が出ることは覚悟の上で、宝塚の
ファンタジーとしての物語を創っている
(以下省略)
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つまり、確信犯という訳です。
ただ、いくら、真風さんの「ジェームズ
・ボンド」が私が合わないと思っても、
話が面白ければ、まだ、ましだとは思っ
たのですが。この内容ではね。
この作品が再演されることもないでしょ
う。
さて、③に続くのだろうか?