妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

星組公演『1789-バスティーユの恋人たち-』(感想⑤)ー革命家3兄弟

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


登場人物別感想の今回は、だんご3兄弟
みたいな書き方をしましたが、カミーユ
・デムーラン、マクシミリアン・ロベス
ピエール、ジョルジュ・ジャック・ダン
トンです。


デムーランを星組3番手(格)の暁千星
が、ロベスピエールを極美慎さんが、な
んとなく3人の中で一番影の薄いダント
ンを天華えまさんが演じることになりま
した。


2015年の月組公演では、デムーランを凪
七瑠海さん、 ロベスピエールを珠城りょ
うさん、ダントンを専科の沙央くらまさ
んでしたから、まあ、妥当な配役かと思
います。


その革命家3人を演じた暁千星さん、極
美慎さん、天華えまさんの確かな演技力
と歌(極美慎さんの歌が大分良くなって
きたように思います)が舞台上で輝きを
見せているのは、この3人のキャラが作
品の中でしっかりと描かれているためだ
と思います。


ところで、なんでセンターがロベスピエ
ールでなくて、デムーランなのかが、今
一つ分からないのですが、ウィキペディ
アで調べる限りでは、バスティーユ襲撃
に直接関係ありそうなのは、デムーラン
だけです。


ウィキペディアには、こう書いてありま
す。
==================
1789年7月、財務長官ジャック・ネッケ
ル罷免の情報でパリが騒然としていた時、
パレ・ロワイヤルで「武器を取れ」との
演説をしてパリ市民に決起を促していた
ことで一躍脚光を浴びた。革命が始まる
と、コルドリエ・クラブに入会し、ジョ
ルジュ・ダントンの秘書となった。
==================
そうすると、バスティーユ襲撃の前に、
デムーランとロベスピエールとダントン
の3人が一緒に行動していたというこの
作品は史実に基づくものかどうかが疑わ
しい、ということになります。


ただ、この作品は、フランスで製作され
て、フランスで上演されているのですか
ら、これでいいのでしょう。
私も、もう少し、フランス革命について
勉強してみたいと思います。


どちらにしても、バスティーユ襲撃の前
に「武器を取れ」と演説をしたこと(こ
の作品の中では、デムーランが「武器を
とれ」と歌います)、フランスの地方の
農村からパリに出てきたロナンに対して、
最も親しく接するのはデムーランである
ということがあります。(人物相関図に
は、「ロナンの友人」と書かれています)


であれば、デムーランが3人の革命家の
中でセンターという理由も何となく分か
るような気がします。


デムーランとダントンが穏健派、ロベス
ピエールが急進派というのも、この作品
からも見えてくるような気がします。


どの場面か忘れてしまったのですが、多
分、第2幕の球戯場の場面で、ロベスピ
エールが中心になって、足を踏み鳴らし
て踊る場面が、とても格好いいです。


そして、ロベスピエールが中心になって
歌う(多分、同じ場面だと思うのですが)
「誰の為に踊らされているのか?」とい
う曲も素晴らしいです。


今回、極美慎さんがなんか輝いていまし
たね。いつかは、星組でトップでしょう
か?


一方、ダントンは、デムーランやロベス
ピエールが真面目な感じなのに対して、
ちょっと、遊び人風で、ちょっとユニー
クな革命家という、そんなダントンを天
華えまさんが演じて、とても良かったと
思います。


ただ、パレードの階段降りで、極美慎さ
んに抜かされている、という……。
なんででしょうね。


雪組公演の『ひかりふる路』では、ロベ
スピエール(望海風斗さん)VS.ダントン
(彩風咲奈さん)という感じでしたが、
この作品の時点では、まだ、革命の兄弟
なんですね。


普通、フランス革命というと、これら革
命家の側から描かれるか(『ひかりふる
路』)、マリー・アントワネットを中心
とした王侯貴族の側から描かれる(『ベ
ルサイユのばら』)のですが、この作品
では、ロナンという名もない一地方農民
の視点から描かれているというのが特徴
です。


ですから、父親を殺され、農地を奪われ
たロナンが復讐のために、パリへ出てき
て、デムーランらの演説を聞き、最初は
反発しながらも、その思想、例えば、
「自由とは他者を害しないすべてをなし
うるということである。」という考え方
に共感を覚え、フランス革命に加わって
いくという過程がよく分かります。


さて、この革命家3人がその後辿った運
命(皆、ギロチンで処刑された)を考え
ると、このフランス革命とは、結局、何
であったのかと、考えざるを得ません。


ただ、そこで採択されたフランス人権宣
言(人および市民の権利の宣言)が後世
の人権思想に大きな影響を与えた事だけ
は確かに思えます。


そして、この3人の革命家がそこに大き
く関与したことも確かなことでしょう。
バスティーユ襲撃の前までは、革命の理
想に燃えていた3人が現実に目覚めた時、
3人の友情さえも壊れていきます。が、
それは、後の話。


この作品では、それでも身分の違う、ロ
ナンたち一般民衆といわゆるプチ・ブル
である革命家たちとが、手を組んで、理
想の実現に向けて突き進んでいく、その
熱い思いが舞台から伝わってきます。