妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

宝塚歌劇団の劇団生の契約形態は?ー「過重労働」との関係

今日は、壽々(じゅじゅ)です。


今回の劇団生の死亡の原因として、週刊
誌などで書かれているのは、「いじめ」
と「パワハラ」です。


ただ、週刊誌の記事を読むと亡くなった
劇団生が「過重労働」であったというこ
とが書かれています。


「いじめ」や「パワハラ」だけでなく、
「過重労働」も死亡の原因であった可能
性があります。


そこで、宝塚歌劇団の劇団生の契約形態
が何であるのかが問題になります。


法律上は、業務遂行に関する契約形態は
2つあります。


「雇用契約」と「業務委託契約」です。


ウィキペディアによると、宝塚歌劇団で
は、研5までは、阪急電鉄の社員(つまり、
「雇用契約」)。研6以上は、タレント契
約(つまり「業務委託契約」)になると
のことです。(←1年間違っていたので
修正しました)


亡くなった方は、研7ですから、タレン
ト契約になります。


「雇用契約」とは、「雇用は、当事者の
一方が相手方に対して労働に従事するこ
とを約し、相手方がこれに対してその報
酬を与えることを約することによって、
その効力を生ずる」(民法623条)契約
です。


もう少し分かりやすく言うと「当事者で
ある一方(労働者)が相手方に使用されて
労働に従事し、使用者である相手方は、
その労働に対して賃金を与える約束を
する契約」を雇用契約といいます。


一方、「業務委託契約(請負契約)」は、
「請負は、当事者の一方がある仕事を完
成することを約し、相手方がその仕事の
結果に対してその報酬を支払うことを約
することによって、その効力を生ずる」
(民法632条)契約です。


これも分かりやすく言うと「発注者に依
頼された仕事の完成や、成果物を納める
ことを目的とした契約」です。


ちなみに、「業務委託契約」には、「請
負契約」のほかに、「委任契約」、「準
委任契約」も入るのですが、ややこしく
なるので、省きます。


したがって、タレントのようなテレビや
映画などへの出演の依頼があって、出演
することによって、報酬を得る場合は、
出演することが「仕事の完成」になりま
すので、「請負契約」になります。


「雇用契約」と「業務委託契約(請負契
約)」の違いの一つとして、労働法によ
る保護の有無があります。


「雇用契約」の場合は、労働法による保
護があり、例えば、労働時間の上限が労
働基準法によって定められています。
この上限を超えて、または、休日に労働
者を働かせる必要がある場合には、労使
間で協定を結ぶ必要があります。


これが、いわゆる「36協定」です。
労働基準法36条の規定に基づくため、そ
う呼ばれています。


したがって、労働法の適用のない宝塚歌
劇団の研7以上には、労働法による労働
時間の制限がありません。


極端なことを言えば、1日24時間働いて
もいいことになります。
念のために言うと、「働かせてもいい」
訳ではありません。自分の意思で「働い
てもいい」だけです。


ただ、宝塚歌劇団の場合は、ちょっと微
妙です。


「タレント契約」(請負契約)と看做さ
れるためには、劇団から劇団員に対する
「指揮命令」(使用従属性)がないこと
が求められるからです。


例えば、
①仕事の依頼、業務従事の指示等に対す
る諾否の自由がない
②業務内容及び遂行方法に対する指揮命
令がある
③勤務場所・勤務時間の拘束性がある
などの場合は、「使用従属性」があると
して、「雇用契約」と看做される可能性
があります。


宝塚歌劇団の「タレント契約」は、「雇
用契約」と看做される可能性が高いよう
に思われます。


例え、「芸道」であっても、「雇用契約」
であれば、労働基準法の適用があります。


亡くなられた劇団員が「過重労働」であ
った、ということになれば、「労働基準
法」違反になる可能性があります。


まあ、「働き方改革」をするそうですか
ら、「過重労働」はなくす方向ではある
のでしょう。