妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

これぞ宝塚!!星組全国ツアー公演 『バレンシアの熱い花』観劇感想ーお芝居編

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


さて、今回は、星組全国ツアー公演の
『バレンシアの熱い花』です。


『バレンシアの熱い花』は、朝夏まなと
さん主演の宙組公演で観劇しているので、
開幕前から頭の中で「愛している、愛し
ている」のメロディーがリフレインして、
止まず。
今回、改めて観劇して、理由が納得でき
ました。お芝居の中でこの歌が何回も出
てきます。完全に頭の中にインプットさ
れてしまいます。
さすがに、覚えますよね。


さて、まずは、公演プログラムからスト
ーリーです。
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 十九世紀初頭のスペインは、侵攻して
きたナポレオン・ボナパルトに王位を奪
われ、彼の兄ジョセフがスペイン王とし
て即位したことで、各地で反フランスの
声を上げる民衆が蜂起、政情は不安定で
あったー。
 バレンシアの領主・ルカノール公爵
(朝水りょうさん)の居城では、ルカノ
ールが近衛隊長ルーカス大佐(夕渚りょ
うさん)からある報告を受けている。隠
密ホルヘ(大輝真琴さん)より、ここバ
レンシアでもレオン将軍(美稀千種さん)
に、謀反の動きがあるという情報がもた
らされたのである。だがルカノールは、
退役して隠居生活を送るレオン将軍がそ
んな行動に出るはずがないと、取り合お
うとしないのだった。
 同じ頃、二年ぶりにマジョルカ島の駐
屯地より帰還した前領主の嫡子、フェル
ナンド・デルバレス大尉(凪七瑠海さん)
がレオン将軍邸を訪れていた。重要な話
があると呼び出されたフェルナンドは、
レオン将軍から父の死にまつわる事実を
聞かされる。レオン将軍は、かつてフェ
ルナンドの父の暗殺を計画し、刺客を差
し向けた張本人がルカノールだという証
拠を掴んでいた。話を聞いたフェルナン
ドは、彼への憎しみに燃え、父の恨みを
晴らす事を固く誓う。そんな彼にレオン
将軍は、ルカノールの目を欺くために軍
隊を退き、遊び人を装うようフェルナン
ドに提案する。そして目的を果たすまで
は、母のセレスティーナ侯爵夫人( 紫り
らさん)や婚約者マルガリータ(乙華菜
乃さん)にも、自身の思いを一切話さな
いようにと忠告するのだった。フェルナ
ンドは全てを抛ち、ルカノールへの復讐
を遂げる覚悟を決める。
 ある晩、ルカノールの居城では華やか
な夜会が催されていた。そこには一年余
りのマドリード遊学から戻ったルカノー
ルの甥、ロドリーゴ・グラナドス伯爵
(極美慎さん)も姿を見せ、嫡子のいな
いルカノールは、彼を後継者とすること
を客人に告げる。そんな中、夜会に出席
していたフェルナンドは、友人であるロ
ドリーゴのただならぬ様子に気付く。実
は、ルカノールの後添えとなったシルヴ
ィア(水乃ゆりさん)は、ロドリーゴの
かつての恋人であった。だが、反逆の罪
で捕らえられた父の命と引き換えに、ル
カノールに強引に迫られたシルヴィアは
彼との結婚を承諾せざるを得なかったの
だ。ロドリーゴのルカノールへの激しい
憎しみを感じ取ったフェルナンドは、彼
を馴染みの酒場へと呼び出す。
 下町の酒場「エル・パティオ」は、歌
い手・ラモン(瀬央ゆりあさん)とイサ
ベラ(舞空瞳さん)や踊り手達を中心に
熱気に溢れている。フェルナンドに呼び
出されたロドリーゴは、ふとしたことか
らイサベラをめぐり、彼女に好意を抱く
ラモンと口論になる。二人の睨み合いは
決闘へと発展するが、遅れて姿を現した
フェルナンドが仲裁に入り、その場をお
さめるのだった。やがてイサベラの計ら
いで店の一室を借りたフェルナンドは、
ルカノールへの復讐計画をロドリーゴに
打ち明ける。反ルカノール派の義勇軍の
数も着々と増えつつある今こそ、バレン
シアのために立ち上がる時だと熱く語る
彼に心動かされたロドリーゴは、共に戦
うことを誓う。
 世間では、夜毎街に現れてはルカノー
ルの一派を襲う“黒い天使”と名乗る存在
が噂されるようになっていた。その正体
を知られぬよう慎重に行動するフェルナ
ンドだったが、イサベラだけは、そんな
彼の持つ裏の顔を見抜いていた。イサベ
ラは初めて会った時から、フェルナンド
の心の奥に潜む、炎の影のようなものに
惹かれていたのだ。フェルナンドもまた、
ありのままの自分がイサベラを求めてい
るのを感じていた。二人は強く惹かれ合
う……。
 バレンシアの街外れ。義勇軍が続々と
集結し、フェルナンド達がいよいよルカ
ノールの城へ侵入しようとしたその時、
突然ラモンが現れる。先日の祭りで、ル
カノールの手下に妹・ローラ(綾音美蘭
さん)の命を奪われたラモンもまた、フ
ェルナンドたちに加わる事を決めたのだ
った。固い決意を胸に、バレンシアの新
たな未来に向かって、一同は決戦へと向
かうー。
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まあ、『うたかたの恋』の柴田侑宏氏の
作品ですから、古臭さは否めませんが、
宝塚の王道といった作品ですね。


もう一つの星組公演の『Le Rouge et le
Noir~赤と黒~』よりも少し前の時代の
スペインを描いています。


まず、最初にギターの調べが聞こえて、
幕が開きます。
赤いスクリーンを背景に、スペインの衣
装の5人の男たちのシルエットが浮かぶ。
それぞれのポーズをとる中、真ん中の男
にスポットライトが当たり、凪七瑠海さ
ん登場。
出だしから格好いいですね。
主題歌に合わせて、バレンシアの男とバ
レンシアの女がスパニッシュの衣装で踊
るプロローグ。


そして、ルカノール公の居城の場面。
朝水りょうさんが、凪七瑠海さんのフェ
ルナンドの父親を殺した悪役なのですが、
ちょっと、紳士的過ぎて、余り、悪役に
見えません。
ひろ香祐さんのムッシュー・ヴァルノの
悪役振りが頭に残っている状態ですので
……。


次は、レオン将軍邸の場面。
マジョルカ島から帰還したフェルナンド
大尉が訪ねてきます。水色と白の軍服を
着た凪七瑠海さんの小顔で八頭身のスタ
イルのいいこと!しかも若々しい。
『蒼穹の昴』で威厳のある李鴻章をやっ
ていたとは思えない。
さすがに、専科さん。なんでもできます。


轟悠さん退団後は、「専科の顔」ともい
うべき存在になった凪七瑠海さん。
轟悠さんの退団公演の『婆娑羅の玄孫』
で、星組の若手(多分、極美慎さん)に
和物の踊りを轟悠さんがアドバイスして
いるのを見て、宝塚の男役の伝統は、こ
うやって受け継がれていくんだな、と思
いました。


今は、その役割を担っているのは、おそ
らく凪七瑠海さんでしょう。
今回の全国ツアー公演で、星組の若手が
凪七瑠海さんから、宝塚の「男役の美学」
を学ぶ機会も多いはず。しっかり、学ん
で舞台で活かして欲しいと思います。


再び、ルカノールの居城で、極美慎さん
のロドリーゴ登場です。
こちらも格好いい~!!
歌も上手くなっているように思うのです
が……。


そして、下町の酒場「エル・パティオ」
の場面。
ここで、初めて、ラモン役の瀬央ゆりあ
さんとイサベラ役の舞空瞳さんが登場。
瀬央ゆりあさんは、いかにも、下町のお
兄ちゃんって感じだったし、舞空瞳さん
は、情熱的なイサベラ役が良く似合って
いました。


今回の星組の振り分けは、正解だったか
な、と。
舞空瞳さんに、3人の子持ちのレナール
夫人役は似合わなかったと思いますし、
酒場の歌手が有沙瞳さんというのもね。


そして、凪七瑠海さんと舞空瞳さんの組
み合わせが良く似合っています。
このままコンビを組んでもいいかな、と。
それはないか。


あれだけ「愛してる」と言われ続けても
最後は、別れないといけないとは……。
最後のロドリーゴの姿が見えない状態で
「シルヴィアが死んだ!!」から、フェ
ルナンドの「私のイサベラも死んだ!!」
で幕っていうのも、ただのハッピーエン
ドで終わらないところが、いかにも宝塚
ですね。
隣のおばさんが鼻水をすすっていました
が、花粉症でしょうか?


ただ、あの「ゾロ」みたいな「黒い天使」
の場面は、どのあたりの世代までなら通
用するんでしょうか?訊いてみたいです。


振付はANJU氏。フラメンコ指導は、蘭
このみ氏。擬闘(殺陣)は清家光彦氏
が参加。
ダンスにも殺陣にも注目の作品です。


『バレンシアの熱い花』は、いかにも宝
塚という王道作品。
『Le Rouge et le Noir~赤と黒~』は、こ
れからの新しい宝塚を切り拓いていく作品。
(オリジナルでないのが残念ですが)
どちらも、いい作品だと思います。


配信は、あると思うのですが……。