妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

こんな月城さんが観たかった~!!月組公演『DEATH TAKES A HOLIDAY』ライブ中継を観ました。

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


昨日は、月組東急シアターオーブ公演
『DEATH TAKES A HOLIDAY』のライブ
中継を観に、いつもの映画館へ行ってき
ました。


また、スクリーンが小さくなってました
ね。一番大きなスクリーンは『スラムダ
ンク』で、こちらはその半分ほどの席で
した。


やはり、評判があまり良くないのが影響
したのでしょうか?


さて、まず、公演プログラムからストー
リー紹介です。
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 第一次世界大戦ー。戦闘、飢餓、そし
て、パンデミックによって、人類史上類
をみない犠牲者を生んだ未曽有の脅威が
去ってから4年……
 舞台の物語は、❝狂乱❞の1920年代
が始まって間も無い頃。
 1922年7月、ある金曜日の深夜、
ヴェニス北部の山道を猛スピードで飛ば
す一台の車があった。座席に立ち、夜風
に髪をなびかせクレイジーな真夏のドラ
イブを楽しむ令嬢は、イタリア貴族ラン
ベルティ公爵(風間柚乃)の一人娘グラ
ツィア( 海乃美月)である。運転してい
るのは、グラツィアの婚約者コラード
( 蓮つかさ)。車にはグラツィアの両親
であるヴィットリオとステファニー( 白
雪さち花)、公爵夫妻の義理の娘で亡き
息子ロベルトの妻アリス(白河りり)、
グラツィアの親友デイジー(きよら羽龍)、
そして公爵家の使用人兼運転手のロレン
ツォ(一星慧)が乗っている。彼らはグ
ラツィアとコラードの婚約をヴェニスで
祝った帰りなのだ。だが、喜びに溢れる
一家を乗せた車を悲劇が襲う。突如現れ
た❝闇❞にコラードがハンドルを取られス
ピンした瞬間に、グラツィアは車から投
げ出されてしまうのだった。
 ……大事故に遭ったにもかかわらずグ
ラツィアは無事だった。まるで、何事も
なかったかのように。彼女が無傷だった
事に安堵する一同。しかしグラツィアは、
自身に❝何か❞が起こったと感じていた。
 同じ夜遅く、死神(月城かなと)がラ
ンベルティ公爵の元を訪ねる。この世に
❝時❞が生まれて以来、人の世と共に存在
し、ただひたすら務めを果たすべく死ん
だ人間の魂を「あちら側」へと導き続け
てきた死神は今……疲れ果てていた。な
ぜ、人々は死を、死神を恐れるのか?人
々が執着する命、人生、そもそも生きる
とは何なのか?人の目を通して知りたい
と願った死神は、❝ハンサムな❞ロシア貴
族ニコライ・サーキの姿を借りて、人間
として二日間の休暇を公爵一家と共に過
ごす事にするのだった。
 翌朝、サーキは公爵家の娘グラツィア
に出会い、その美しさと瑞々しい生命力
に満ちた姿に魅了される。グラツィアも
また、サーキにどこかで会ったような不
思議な感覚を覚え、心魅かれていくのだ
った。
 休暇はわずか二日間。人生とは、愛と
は何なのか……
 公爵家の客人として迎え入れられたサ
ーキは、彼が知りたいと願うその答えを、
果たして見出すことが出来るのだろうか
ー。
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「これぞ宝塚」ではなく、「これぞ、ブ
ロードウェイ・ミュージカル」って作品
です。


まず、『ファントム』『グランドホテル』
『タイタニック』『ナイン』等の音楽を
作曲したモーリー・イェストンの楽曲が
素晴らしい。どの曲も珠玉のような名曲
です。


この曲に載せて歌う月組生の歌も素晴ら
しい。月組ってこんなに歌が上手かった
っけ、と思うほどです。


特に、娘役に歌の上手なメンバーが揃っ
ているのが、全体のレベルを引き上げて
いるように思えます。


そして、ストーリーの面白さ。生田大和
潤色・演出と書いてあるので、どれだけ
オリジナルと違うのか、分かりませんが、
おそらく、宝塚向けに潤色されているよ
うに思います。


そして、ダンスにタップダンスが入ると
ころは、やはりブロードウェイならでは。


コメディタッチの笑える場面もあって
(映画館の隣のオヤジの笑い声がうるさ
い)、楽しく観ることができます。
死神が人間の姿を借りて、初めて朝食を
食べる時に出てきた目玉焼きをいかにも
嬉しそうに眺める場面は、ポスターのロ
ゴにも、その目玉焼きが使われています。


人が死ぬ瞬間にしか立ち会うことのない
死神には、人が「生きる」とは何なのか、
「人生」とは何か、「愛」とは何か、す
べてが理解できません。


そして、二日間の休暇を取って、人間の
姿を借りて、その答えを見出そうとしま
す。


私たち観客も、死神と一緒に「生きる」
ことの意味について、そして「愛する」
ということについて改めて考えさせられ
ます。


そして、何といっても、この作品の見所
は月城かなとさんのカッコ良さ。


最初、醜い死神の姿で登城した時には、
どうなるかと思いましたが、ロシアの皇
子の姿を借りて、公爵邸に登場した時は、
何と、白の軍服姿で、まるでオーストリ
ア皇太子ルドルフのよう。


『応天の門』では、文章生で衣装も地味
でしたが、今回は、これは宝塚向けに潤
色したのでしょう。大サービスです。


「死神」が主人公ということで、『エリ
ザベート』を想起させる所もありますが、
「トート」が「黄泉の帝王」であって、
「ハプスブルク帝国の死」を画策するの
とは違って、こちらは、誰か(多分「神」)
の命令で、人の「死」の瞬間に立ち会う
のが「お仕事」という、こき使われる可
哀そうな存在。


人間の姿を借りても時折見せる冷酷な死
神の素顔の時の月城さんもちょっと素敵
です。


海乃美月さん演じるグラツィアも、ちょ
っと『グレート・ギャツビー』のデイジ
ーを思わせるような天真爛漫な所がある
のですが、デイジーと違って、最後まで
サーキ(死神)を愛し、サーキ(死神)
と一緒に旅立っていきます。


さすが、「芝居の月組」。このオフ・ブ
ロードウェイ作品の良さを存分に味合わ
せてくれます。


私の好きな場面は、終わりの方の「音楽
室」の場面。記憶を取り戻したエヴァン
ジェリーナ公爵夫人(彩みちるさん)と
ダリオ・アルビオーネ男爵(英真なおき
さん)が60年前の恋を取り戻して、結
婚をしようとする「December Time」と
いう曲がとてもハートフルです。


とにかく、素晴らしい作品だと、私は思
うのですけどね。(やっぱり、生で観劇
したかった。)