妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

宝塚歌劇団は、「女の軍隊」か?

今日は、壽々(じゅじゅ)です。


毎日、毎日、よくもまあ、こんなに飽き
もせずに、宝塚歌劇団のニュースが次か
ら次へと出てくるものだと思いますが、
中には、この人宝塚の舞台を観劇したこ
となんてあるの?と思うような人までが
コメントしていて、何だかなーと思う、
今日この頃です。


その中で、これは、11月17日付のDIAMO
ND onlineですね。


遂に、ビジネス誌のダイヤモンドまで取
り上げるようになったかと感無量ですが、
文章が長いので、ポイントだけ紹介しま
す。
==================
宝塚「いじめ・パワハラ確認できず」の
調査結果になるのは“女の軍隊”だからだ


● 宝塚は、ゆるい調査で明らかになる
 くらいの組織ではない


 パワハラではなくて上級生からの指導
――。そんな宝塚歌劇団(以下、宝塚)
の説明が大炎上している。
(略)
 こういう話が次から次へと飛び出す中
で宝塚としても、「事実無根」というわ
けにはいかない。そこで、弁護士に内部
調査を依頼して、宙組の62人(4人はヒ
アリングを辞退)、元団員1名にヒアリ
ングを行った結果、冒頭のような説明に
なった。


 つまり、宙組内に確認したところ、い
じめやパワハラのようなものはまったく
存在せず、週刊文春の報道がデタラメだ
ったということである。では、なぜ団員
は自ら死を選んだのかというと、「長時
間労働」で心身が追いつめられたからだ
という。要するに、疲れすぎて生きるの
に絶望をしたんでしょ、というのが宝塚
の説明だ。
(略)
 ただ、個人的にこういう結果になるの
もしょうがないと思っている。もし仮に
パワハラやいじめがあったとしても、宝
塚という組織の性格を考慮すれば、この
程度の「ゆるい内部調査」で明らかにな
るわけがないのだ。


 なぜそんなことが断言できるのかとい
うと、宝塚歌劇団は「女の軍隊」だから
だ。


● 元トップスターらも語る宝塚の軍隊
 カルチャー


 旧日本軍、自衛隊、さらには海外の軍
隊の例を出すまでもなく、軍隊内におけ
るいじめやハラスメントの事実確認は困
難を極める。軍事作戦は「上」の命令に、
「下」は絶対服従しなければ遂行できな
い。つまり、いじめやパワハラをしてい
た「上」から「死んでも口を割るな」と、
くぎを刺されたら拷問されても沈黙を守
るのが軍隊だ。
(略)
 というと「おいおい、いくら厳しい縦
社会だからって“女の軍隊”はさすがに言
い過ぎだろ」と思う人もいるかもしれな
いが、これは何も筆者が勝手に命名した
わけではなく、この組織で生きてきた人
々や関係者が口々にそう言っている。そ
れを象徴するのが、元雪組男役トップス
ターの杜けあきさんが、宝塚100周年の
記念公演で、報道陣に対して言った言葉
だ。


《宝塚時代を振り返った杜は、「全員に
下積みがあるし、お掃除の一から始める。
立つ姿勢やお辞儀の角度も全て決められ
ているので、女の軍隊に等しいです」と
笑い、「朝5時に起きて行う毎日の掃除
がきつかった」と当時を懐かしんでいた》
(オリコンニュース、2014年5月18日)
(略)
 このように組織として旧日本軍や自衛
隊と同じ性格なのだから、同じ問題が起
きるのは当然だ。それはいじめやパワハ
ラ、そして、それらの行為の隠ぺいであ
る。


● 「軍隊」は隠ぺいが当たり前、宝塚
 が「クロ」に思えてしまうワケ

(略)
 宝塚は「女の軍隊」なので、「上」が
いじめやパワハラをしていても、それを
「下」が告げ口するなんてことは許され
ない。
このような事実を指摘されても、
宝塚としては「外部の弁護士が調査をし
たが、いじめやパワハラの事実は確認で
きなかった」という報告書を手に言い逃
れをする。結局、真相が闇に葬りさられ
てしまうのだ。
(略)
 ただ、それでも「クロ」の可能性があ
ると感じてしまうのは、やはり宝塚と軍
隊に共通する組織カルチャーだ。それは
一言で言えば、「すさまじく厳しい経験
をした人間は強くなる」という思想が組
織の根幹にあることだ。


● タカラジェンヌになるための「必要
 悪」、上級生がよかれと…

(略)
 実は「女の軍隊」でも同じようなこと
を言っている人がたくさんいる。例えば、
宝塚の劇団員だった堀内明日香さんは20
19年の講演会でこんな事を話している。


「多くの規律や厳しい掟がある集団生活
を過ごします。歌踊芝居といった芸術と、
それ以外の生活をしっかりとやります。
廊下や階段の角は、壁伝いに直角に曲が
る。阪急電車には先輩が乗っているかも
しれないので、一両ごとにお辞儀をする
等々。あの厳しさを乗り越えられると、
根性がつきます。そうすると人生におい
てどんな困難が来ても乗り越えられます」
 言わずもがな、宝塚の人々が軍隊のよ
うな生活に耐えるのは、「舞台芸術」の
ためだ。自分を厳しく鍛えて、素晴らし
い舞台をつくりあげて、ファンに感動を
届ける。そのためには「強いタカラジェ
ンヌ」を育てなくてはいけない。


 だから、「上」はちょっとした困難に
直面して弱音を吐くような「下」対して、
「よかれ」と思って厳しく指導をする。
かつて自分が上級生から受けていたよう
な叱責もする。


 しかし、今は小学校や中学校でも、子
どもは怒鳴られたり、叱責・詰問された
りということはない。そういう世代が宝
塚音楽学校に入って軍隊式の厳しい指導
を受け続けたらどうなるか。メンタルが
むしばまれて最悪、今回のような悲劇も
起きるのではないか。


● 心の奥底で「パワハラ」を否定でき
 ない日本の組織

(略)
 「被害者が加害者になって、新たな被
害者を生む」というパワハラの無限ルー
プは、宝塚や旧日本軍だけではなく、相
撲や職人などの伝統的な徒弟制度の業界、
高校野球などの体育会系の運動部、そし
てブラック企業など日本社会のあらゆる
ところに存在しているからだ。


 なぜあらゆるところに存在するのかと
いうと、我々日本人の中には、口には出
さないが、心の奥底で「パワハラの効果」
を否定できない人がかなりいるからだ。

(略)
 このように「正義を実行するためには、
ある程度の暴力やパワハラはしょうがな
い」という考えが強い。


 だから、「正義」のためのパワハラや
シゴキ・体罰を行う「スポ根的な組織」
も好きなのだ。具体的には、坊主頭の子
どもが熱中症で倒れるまでシゴかれる高
校野球、上官の命令には絶対服従の自衛
隊、そして、厳しい上下関係の宝塚だ。

(略)
 日本人の中には、強い組織、たくまし
い人をつくるためには、ある程度のいじ
めやパワハラを「必要悪」として捉えて
いる人が一定数いる。いや、みなさんが
想像するよりもかなり多い気がする。


 こういう「スポ根」を称賛するような
文化が下火にならない限り、今回のよう
な悲劇はまた近いうちに繰り返されるの
ではないか。


(ノンフィクションライター  窪田順生)
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さすが、ダイヤモンド。どこぞの週刊誌
とは、内容のレベルが違います。


ただ、一言いわせてもらうと、比喩的に
は、宝塚歌劇団は“女の軍隊”かもしれま
せんが、「軍隊」そのものではないとい
うことです。


軍隊(自衛隊もそうですが)の仕事は、
「戦争」をすることです。


自然災害の救助活動なんかもしますが、
それは、本来の仕事ではありません。


「戦争」で相手側の軍隊などと戦うのが
軍隊の本来の仕事です。


したがって、「厳しい訓練」をしなけれ
ば、兵士の命が危うくなりますし、「戦
争」に負けることになってしまいます。


宝塚歌劇団は、「戦争」をする訳ではあ
りません。


「舞台芸術」の質の向上を図るために、
「厳しい指導」をする宝塚歌劇団と「戦
争」をするために「厳しい訓練」をする
軍隊とでは、「厳しさ」の質・レベルが
違うはずです。


ある韓国人の青年が言ってました。


「軍隊の訓練に比べれば「パワハラ」は
耐えられる」と。