妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

柚希礼音さん出演のミュージカル『COLOR』を観てきました~!!

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


昨日は、柚希礼音さん出演のミュージカ
ル『COLOR』を観劇に、大阪のサンケ
イホールブリーゼまで遠征してきました。


公演概要に「草木染作家・坪倉優介さん
が自身の体験を綴ったノンフィクション
「記憶喪失になったぼくが見た世界」を
ベースにミュージカル化。」とあるよう
に、実話に基づくミュージカルです。
劇場では、坪倉優介さんの染めた着物も
展示されていました。
色がとても綺麗です。


まずは、出演者を紹介します。


出演者は3人だけです。
今回、私が観た回は、次のとおりです。


ぼく:浦井健治  
大切な人たち:成河
母:柚希礼音


浦井健治さんと成河さんでWキャスト。
柚希礼音さんと濱田めぐみさんでWキャ
ストです。


舞台に登場するのは3人だけ。
ただ、「大切な人たち」の役は、1人で
何役もこなします。
主な役は、「ぼく」の手記を出版しよう
とする編集者、ほかに「ぼく」の父親、
「ぼく」の通っている大学の友人たちを
演じます。


舞台もシンプルです。
あるのは、机1つと椅子が4脚、ベンチ
が1つだけです。


さらに、演奏もシンプルで、ピアノとパ
ーカッションの2人だけ。


さて、ピアノの演奏で物語は始まります。
こんなストーリーです。
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編集者の渡が目にした6年前の記事。


雨が降る日の夕方。大学一年生の糸沢草
太は、帰宅途中に乗っていたバイクが、
トラックに衝突。救急車で搬送されるが、
そのまま意識不明の重体に。集中治療室
に入って10日後、奇跡的に目覚める。し
かし、記憶は失われ、両親のこと、友人
のこと、自分自身のこと、言葉や文字、
そして、食べる、眠るなどの感覚さえも、
何もかもすべて、忘れていた。


目の前に出されたお米は、「きらきら光
る、つぶつぶ」としか思えなかった“ぼく”
には、世界はどのように見えたのか…。
目の前に立つ「オカアサン」という女性
のことを、心から本当の「お母さん」と
呼べるようになるのか…。


母・葉子は、過去の記憶を取り戻してあ
げたいと必死になる一方。草太の目に映
る日常は何もかもが新しく、謎と驚きに
満ちていた。
事故から3カ月が経ち、草太は大学に復
学することに。
草太にとっては初めての場所、新しい人
たち。
ここに行けば記憶を取り戻せるかもしれ
ない!!
そんな期待を込めて通い始めた大学。
記憶を取り戻したいという思いがさらに
強くなっていくが、元の自分を思い出す
ことができない。


過去を思い出したい。
ぼくはどこへ行けばいいの?


おしえて、オカアサンー


“母”の大きな愛。
日常に沢山転がっているキラキラひかる
幸せ。
“ぼく”が歩み始める新しい世界はどんな
世界なのか…
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さて、コメントです。
いつもの事ですが、正確に覚えているわ
けではないので、大体、こんな感じでし
たということでご容赦願います。


まず、こんな記憶喪失があることに非常
に驚きました。
普通、よく聞くのは、過去の事は忘れて
も日常生活は普通に送れるという状態で
す。
ところが、この物語の主人公は、体は大
人なのに頭の中は、まるで赤ん坊のよう
です。
言葉が満足に話せない。文字は全く読め
ない。お風呂は沸かして入るものだとい
うことも分からない。
目の前に出されたお米のご飯も「きらき
ら光る、つぶつぶ」であって、食べ方も
分からない。
草太の記憶を取り戻そうと、母・葉子は、
昔のアルバムを見せたり、草太が子供の
頃に書いた絵を見せたりするのですが、
記憶が戻る様子はありません。


そして、ある日、葉子は草太を大学に行
かせるという決心をします。
父親はまだ早いのではないかと反対する
のですが、葉子は、このままでは草太は
どうなるの、といいます。


そして、草太に電車賃(草太にはお金と
いうものが分かりません。ただ、平たい
ものだとしか)と降りる駅名を書いた紙
を渡して草太を大学へ送りだします。
草太は、大学への行き帰りで何度も迷子
になるのですが、その度に両親が迎えに
行きます。


ただ、大学へ行っても、友人が草太に声
をかけてくるのですが、草太にとっては
見知らぬ人ばかり。過去の記憶は一向に
戻る気配はありません。
大学で草太は、段々孤立していってしま
います。


絶望感に捕らわれた草太は、家を出てい
こうとします。
その前に両手を一杯に広げて草太の前に
立ち塞がります。涙を浮かべながら。
そして、草太を抱きしめて、今日が笑っ
ていれるなら、それでいいと言います。
このシーンが母親としての葉子の大きな
愛が感じられて、とても感動的です。


木の葉が1枚1枚違うように、人も一人一
人違っていい。
それぞれの「色」に染まればいいのだと。
そして、過去の記憶を取り戻すことは止
めて、新しい人生を一からやり直すこと
を決心します。
13万円でヨーロッパ旅行へ行ってみたり、
全国を旅したり。
大学は過去にやっていた絵画は止めて、
染色の専攻に進むことに。
そして、大学卒業後は、草木染作家にな
ります。


ミュージカルというよりストレートプレ
イに近いです。歌は語られるように歌わ
れます。
ただ、曲はメロディーも歌詞もどれも素
晴らしいです。
浦井健治さんの歌は、最初はたどたどし
い幼児のような歌い方ですが、途中から
力強い歌い方へと変化していきます。
柚希礼音さんの歌は、息子を案じる母親
として、どこまでも優しい歌い方です。
成河さんは、ほとんどソロでの歌はない
ですが、演技の方で魅せてくれます。
主な役は、編集者ですが、この物語の語
り手役でもあります。


この作品は、観る者に夢と希望を与えて
くれます。
例え記憶の全てを失うようなことがあっ
ても、新しくやり直せばいい。そこに小
さな幸せと感動があるのなら。
草太は生きている植物から染色の材料を
作りはしません。
すべて、一度、その命を喪った植物(例
えば、倒木や落ち葉)から、染色の材料
を作ります。終わったかのようにみえる
命をもう一度、「色」という形で蘇らせ
るのです。
この物語は「生命の再生」をテーマにし
た物語です。


最後に、公演プログラムに載っている主
題曲の「COLOR」の歌詞を載せておき
ます。
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「COLOR~いのちの色」
草太
春の若葉は みんな似てるけど
陽射しをあびて 雨にうたれて
秋になると それぞれの色
同じ葉っぱは 一つもないさ
過ごした時間が 色になる
自分の色に 染まっている


葉子
人間も 葉っぱと同じなのよ

生まれおちて 枯れて散ってゆく
葉子 渡
泣いたり笑ったり 過ごした季節に
自分だけの 色に染まる


草太 葉子 渡
いくつもの 星空ながめながら
その命は 色を変えてゆく
大切な瞬間 刻みつけてきた
一つだけの いのちの色


草太
見つけてみたい 自分だけの色
今この時の いのちの色
奏でてみよう 自分だけの色
今この時の いのちの色
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公演時間は、85分休憩なしですが、内容
の濃い85分間でした。