妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

月組公演『応天の門』の主要登場人物について紹介①ー「昭姫」

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


3回にわたって、月組公演『応天の門』
の主要登場人物の菅原道真、在原業平、
昭姫について、紹介します。


今回は、海乃美月さん演じる昭姫です。


ウィキペディアでは、昭姫のことを次の
ように紹介しています。
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都の遊技場を束ねる女主人。唐からやっ
て来た渡来人で唐物に詳しいため、唐物
が関わる事件の際には道真が相談に訪れ
る。以来、何かと頼りにされる。
長谷雄のことを「御得意様」として懇意
にしているが、長谷雄からは苦手意識を
持たれている。元は、唐の後宮の女官で
あった。
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まず、昭姫は、実在の人物が数多く登場
するこの作品において、架空の人物です。
ただ、初めて、菅原道真と在原業平が昭
姫に会った時に、昭姫の名前を聞いて、
「ずいぶん俗な昭姫がいたものですね」
と言っているように「昭姫」自体は、実
在の人物です。
本当の名前は「蔡琰(さいえん)」。字
(あざな)が「昭姫」で、「中国後漢末
期から三国時代にかけての詩人。才女の
誉高く、博学かつ弁術に巧みで音律に通
じ、数奇な運命を辿った。」とあります。
(「三国時代」とは、中国が、「魏」
「呉」「蜀漢」の三つの国に分かれて争
った時代です)


『応天の門』に出てくる「昭姫」も、博
識で、唐から来た人ですから、特に、唐、
中国関係の知識があり、また、「昭姫」
を名乗るほどですから、才女でもありま
す。また、商売上、市井の事情にも詳し
く、従って、道真や業平が事件解決をす
るのに欠かせない人物となっています。
なお、ウィキペディアには、「都の遊技
場を束ねる女主人」とありますが、これ
は、『応天の門』の最初の話で道真と昭
姫が「双六」の賭け勝負をするからであ
ってどちらかというと、宝塚の作品紹介
に書いてあるように、唐渡りの品を扱う
女店主、です。遊技場の方は副業のよう
で、私が読んだ範囲では、最初の「双六」
の場面にしか出てきません。


ただ、元は、唐の後宮の女官であった事、
それが日本に逃れてきて、都で手広く商
売をする店の女主人になっている事、さ
すがの業平も昭姫には手を出そうとしな
い事、最初に道真に会った時に、道真を
「お坊ちゃん」呼ばわりしている事を考
え合わせると、昭姫の推定年齢は、業平
と同じくらいの40歳前後ではないかと
思われます。
したがって、20歳前後の道真と恋愛関
係になるはずがないと思うのですが、原
作で出てくる道真の許嫁の島田宣来子が
宝塚の配役に見当たらない事、その父で
「百鬼夜行」に関わりのある島田忠臣も
配役にいないことを考えると、無理矢理、
宝塚の舞台では、道真とくっつける可能
性もあるような……。
そこまで、原作を無視しますかね。
別に、海乃美月さんがヒロインでなくて
もいいんじゃないかと思いますけど。


なお、上の「双六」とは、原作の解説に
よると、「盤双六」というもので、二人
で遊ぶボードゲームであり、古い形のバ
ックギャモンの一種。盤上に配置された
双方15個の石をどちらが先に全てゴール
させることができるかを競う、というも
のです。
盤双六はゲームの進行に際してさいころ
を使用するので、偶然の要素が大きいた
め、賭博に用いられたようですが、高い
戦略性を帯びた頭脳ゲームでもあったよ
うです。


この「双六」は、道真の学友の紀長谷雄
とむしろ、関係があるので、そちらの記
事で改めて述べます。