この作品をどうやって宝塚の舞台にするのか?月組公演『応天の門』原作漫画を読んで。
今晩は、壽々(じゅじゅ)です。
『応天の門』の原作漫画は、基本的に1
話から数話の話で完結する短編集みたい
な形になっています。
シャーロック・ホームズで言えば、『シ
ャーロック・ホームズの冒険』のような
作品です。
したがって、物語が一話完結型になって
いるので、これを繋ぎ合わせて舞台化す
るというのは、かなり難しい作品と言え
るでしょう。
宝塚では、宙組公演で推理小説のシャー
ロック・ホームズを舞台化していますが
(『シャーロック・ホームズ-The Gam
e Is Afoot!-』~サー・アーサー・コナン
・ドイルの著したキャラクターに拠る~)、
それぞれの話からメインの登場人物を登
場させた形で、推理物の部分がほとんど
なくなっていました。
したがって、推理小説ファンである私の
中では、推理物としては、この宝塚作品
の評価は低いのですが、シャーロック・
ホームズの作品は、いろいろなメディア
でも取り上げられていて、数多の派生作
品のある作品ですので、これは仕方がな
いのでしょう。
一方で、今回の月組公演『応天の門』の
原作は、クライム・サスペンスで、まだ、
雑誌に連載中であって、宝塚で初めて舞
台化されます。
それぞれの話の終わりに解説が載ってい
て、さらに巻末に用語解説が載っている
ようなきちんとした時代考証に基づいた
作品ですから、あまり原作とかけ離れた
作品にするというのも難しいのではない
かと思います。
上で述べたように、原作は短編集の形式
になっています。これをどうやってつな
ぎ合わせて1時間半の舞台作品にしてい
くのか、演出家の手腕が問われるところ
ですが、演出は、宙組公演『異人たちの
ルネサンス—ダ・ヴィンチが描いた記憶
—』の田渕大輔氏です。
この宙組公演は、私が唯一、宝塚作品の
中で途中で眠ってしまった作品で、一抹
の不安を拭い切れません。
『王妃の館-Château de la Reine-』は、
良かったので、原作のある作品は大丈夫
かとは思いますが……。