妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

道真と昭姫がバディになってしまった、月組公演『応天の門』。

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


もうすぐ、月組の東京宝塚劇場公演が始
まります。
宝塚大劇場にしか、交通費の関係もあっ
て観劇に行かないので、もう、私の中で
は、公演は終わった感があるのですが、
東京は、これからなんですね。


配信やライブ中継でご覧になった方も多
いか、とは思いますが、まだ、一度も観
たことのない方も結構みえると思います
ので、改めて、ちょっと『応天の門』の
解説なんかしてみたいと思います。


月組公演『応天の門』の原作は、原作の
単行本の帯にも書かれているように「平
安の最強バディがおくるクライム・サス
ペンス」です。


月組公演が「サスペンス」であるかどう
かは、さておき、月組公演を観て、「バ
ディもの」というのに、違和感を覚える
人は、みえるのではないでしょうか?


まず、月組公演で取り上げた主な原作の
話は、次の4話です。
==================
第1話~第3話
「在原業平少将、門上に小鬼を見る事」
第18話~第19話
「京に妖の夜行する事」
第22話~第25話
「都にて、魂鎮めの祭りの開かれる事」
第34話~第39話
「藤原多美子、入内の事」
==================
この中で、道真と業平のバディ感のある
のは、第1話~第3話と第34話~第39
話ですが、舞台ではそのバディの部分が
カットされてしまっています。


したがって、舞台を見ると、案外、業平
の存在感が薄い事に気づきます。
最後に、原作にはない藤原高子に贈った
和歌の場面があるので、多少、そこで存
在感を出した感じです。


逆に、ヒロインではなくなってしまった
ものの、トップ娘役として月城かなとさ
ん演じる菅原道真のバディとなったのが、
海乃美月さんの演じる昭姫です。


まず、「百鬼夜行」の足取りを掴むため
に、道真に協力して、蓮池の泥を店の者
も協力して道に撒いたり、情報を集めた
りしています。
また、魂鎮めの祭りで道真と一緒に、帝
や公達の前で、神楽を舞っています。
さらに、「百鬼夜行」の一味を捕まえる
ために、藤原多美子の代わりに囮になっ
たりもしています。(原作では、囮にな
るのは、紀長谷雄です)
また、道真に対して、「大切なのは、ど
こで生きるかではなく、共に生きる人の
心と向き合うことだ」と銀橋で諭し、つ
いでに道真とデュエットソングまで歌い
ます。
最後の場面では、道真に対して、お別れ
を言う昭姫に対して、道真は「闘いは始
まったばかり」と言って、昭姫にさらな
る協力を求め、「人使いの荒いお坊ちゃ
んですこと」と昭姫を呆れさせています。


どこからどう見ても、業平ではなく、昭
姫が道真のバディです。
逆に、藤原氏が「百鬼夜行」に関わって
いることを知った業平は、捜査から手を
引いて、捜査を続けようとする道真とは
仲違いをしてしまう、という展開になっ
ており(原作にはない話です)、道真と
業平のバディ感は、一層、薄くなった感
じになっています。


トップ娘役がヒロインではないので、代
わりにバディにしました、という演出な
んでしょうね。