妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

礼真琴さんの歌が圧巻の星組公演『Le Rouge et le Noir~赤と黒~』を観劇しました。(感想①)

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


昨日は、星組『Le Rouge et le Noir~赤
と黒~』大阪公演の観劇に、シアター・
ドラマシティまで、遠征してきました。


他の方のブログを読むと、どうもチケッ
ト難だったようです。
私は、運よく、友の会の抽選で、チケッ
トを確保できました。


開場時間の少し後に、劇場に着くと、何
か入り口前に、長蛇の列が……。
係の人が、「礼真琴」と書かれた札を掲
げていたところを見ると、多分、礼真琴
さんのファンクラブの人たちか、と。
こんなにいるんですね、礼真琴さんのフ
ァンクラブの人だけで。
これでは、チケット難になるのも、仕方
がないように思います。


ところで、今回の観劇で残念な事が二つ
ありました。


一つは、座席で、前から14列目ですから、
そんなに悪くはないのですが、私の左斜
め前に座った女性の座高が高いことと、
髪型が裾が広がった髪型だったせいで、
丁度、舞台のセンターの前の方から左斜
め後ろがほとんど見えなかった、という
ことです。
この位置に、礼真琴さんや有沙瞳さんな
どが立つことが多く、声はすれども姿は
見えず、状態になってしまいました。
その分、歌の時には歌声に集中できまし
たが……。


もう一つは、この作品のタイトルです。
ある方が、ブログで、礼真琴さんのフラ
ンス語を褒めていたのですが、おや?と
思いました。これ↓がその内容です。
==================
「礼さんの開演アナウンスてタイトル名
のフランス語の部分を、『Le Rouge et
le Noir』(ルージュ エ ル ノワール)
と流ちょうに発音されて、「そう読むん
だ」と初めて正解を知りました。劇中で
も、礼さんのラテン語もフランス語も発
音が素晴らしかったです。」
==================
確かに、フランス語を習ったことにない
人には、このタイトルは読めないのでは
ないかと思います。
私は、大学の第2外国語がフランス語だっ
たので、このくらいは読めるのですが、
普通は読めないだろうと思います。
カタカナで表すと「ル・ルージュ・エ・ 
ル・ノワール」となります。


これは、ちょっと、不親切だと思います。


ショーなんかですと、例えば、『ENCH
ANTEMENT(アンシャントマン)』と
いうように、後ろにカタカナを付けてく
れるのですから、やはり、どこかで、カ
タカナ表示をしてくれないと、読めない
という方が、結構、いるのではないかと
思います。
私だって、ドイツ語は習ってないので、
これをドイツ語で書かれたら、多分、読
めないと思います。


ただ、読み方はともかく、礼真琴さんの
発音は、正しいフランス語の発音ではな
いです。
したがって、「流ちょうに発音」の部分
は、間違っています。
「ルージュ」と「ノワール」の「ル=r」
の箇所は、フランス語は、舌の奥を上顎
にくっつけて発音します。これは、日本
語にはない発音で、フランス語を習う時
には、この発音を覚えさせられます。
ですから、むしろ、正しい発音をされる
とフランス語を習ったことのない人には、
聞き取れないだろうと思います。
そういう意味では、礼真琴さんのアナウ
ンスは、流ちょうな発音ではないですが、
分かりやすくて、正解だと思います。


さて、前置きが長くなりましたが、コメ
ントです。


この星組の公演と全国ツアーとのメンバ
ーの振り分けを見た時、これは、歌える
人をこちらの公演に集めた「選抜メンバ
ー」だな、と思いましたが、正解でした
ね。


歌、歌、歌のオンパレードです。
しかも、フレンチ・ロックの難曲揃い。
公演プログラムに、ミュージカル・ナン
バーが載っていますが、全部で21曲。
これを2時間ちょっとで全部歌う訳です。


これは、もう、礼真琴さんのためのミュ
ージカルというしかないし、今の礼真琴
さんの率いる星組メンバーだからこそ、
上演出来た作品だと思います。


主な出演者全員にソロ曲があるか、ソロ
パートがあります。
ですから、一人でも歌の下手な人が入る
と物凄く目立ちそうです。
ですから「選抜メンバー」。


とにかく、礼真琴さんの圧巻の歌声が満
喫できる作品であることは請け合います。
それだけでなく、他の星組メンバーも歌
の上手いこと。どなたかが「耳福」とま
さしく、その通りです。


専科だって負けていません。第2幕に、
マチルドの父親のラ・モール侯爵役の英
真なおきさんのソロ曲「お前の進む道」
があるのですが、圧巻の歌声を聴くこと
ができます。
ムッシュー・ド・レナール役の紫門ゆり
やさんも上手いです。


礼真琴さんのお芝居が上手い、とブログ
で書かれている方がみえますが、この
「赤と黒」のジュリアンという役は、芝
居が上手くないと出来ないでしょう。
ただ、それをフレンチ・ロック・ミュー
ジカルでやるとなると、これは、礼真琴
さんじゃないと出来ない芸当ですね。
見事です。


今回、八面六臂の活躍していたのは、暁
千星さん演じるジェロニモ。
シルクハットを被り、ステッキを持って
観客を200年前のフランスへと誘うス
トーリーテラーであり、ラ・モール侯爵
邸でブルジョワジーを茶化すような歌を
歌う歌手でもあり、ジュリアンの一応、
友人でもあり、ダンス場面では、他のメ
ンバーを率いてキレのあるダンスを見せ
てくれるという、もう、大活躍です。
したがって、ほとんど舞台上にいます。
歌も上手くなりましたよね。星組に組替
えしたのは、大正解です。
暁千星さんの活躍は、月組時代から見て
きた私にとっては、嬉しい限りです。


Wヒロインとなったレナール夫人役の有
沙瞳さんとマチルド役の詩ちづるさん。
有沙瞳さんはもちろんの事、詩ちづるさ
んの歌も上手いし、それぞれの人物像の
違いをはっきりと分かるよう演技をして
いて、このどちらをもジュリアンが愛し
てしまうという……。
両手に花とは、何て、奴だ!!
でも、礼真琴さんが演じると説得力があ
ります。


最後のデュエットダンスは、礼真琴さん
が、有沙瞳さんとも詩ちづるさんとも踊
るという形になっていました。


出演者の中で異彩を放っていたのは、ひ
ろ香祐さん演じるムッシュー・ヴァルノ
と小桜ほのかさん演じるヴァルノ夫人。


悪役二人組で、ジュリアンを陥れようと
いろいろと策謀をめぐらします。
二人とも真っ赤な衣裳で登場して、ひと
際、目立ちます。まあ、悪趣味というか。


この二人を除いて、衣装は素敵でしたね。
今回の衣装は、加藤真美さんです。


今回、印象に残った場面は三つ。


一つは、第1幕の最後で舞い落ちる真っ
赤な薔薇の花びらを浴びながら、ジュリ
アンとルイーズが「赤い花」という曲を
歌う場面。
以前観た藤ヶ谷太輔さん主演の『ドン・
ジュアン』を想起させるような美しく幻
想的な場面です。


二つ目は、ジュリアンがレナール夫人に
向けて銃を撃って、暗転する場面。
なんだか『うたかたの恋』のマイヤーリ
ンクでの最後の場面を思い出してしまい
ました。


最後は、ジュリアンが処刑される場面。
ジュリアンの後ろに斜めの光の帯が現れ
て、それが落ちる、という演出。当時の
フランスの処刑方法ですから、ギロチン
を表しているのですが、それを婉曲に表
現しています。


ところで、曲がどれも素晴らしいのです
が、作曲は、ウィリアム・ルソー&ソレ
ル。なんだか、『1789』に似たナンバー
があると思ったら、『1789』の方にも
ウィリアム・ルソー氏の名前がありまし
た。ただ、『1789』は、12人の作曲家の
合作のようです。
作詞は、ザジ&ヴァンサン・バキアン氏。
ヴァンサン・バキアン氏も『1789』の作
詞家3人のうちの一人。
プロデューサーのアルベール・コーエン
氏も『1789』と同じという『1789』繋
がりがある作品です。


最後のご挨拶で、礼真琴さんが「今日は、
原作者のスタンダールの命日」と仰って
いました。1842年3月23日に亡くなった
ということです。
スタンダールが『赤と黒』を発表したの
が、1830年。つまり、200年程前の話に
なるという訳です。


『赤と黒』は、スタンダールが王政復古
時代の一部のブルジョワジーが支配する
社会を鋭く描いた作品。ただの恋愛もの
ではありません。


だから、ラ・モール侯爵邸のテーブルの
上で、「ブルジョワはなんて素晴らしい」
と皮肉を込めた歌をジェロニモとジュリ
アンが歌うシーンが出てきます。


長くなりましたので、続きを②で。