妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

星組公演『1789-バスティーユの恋人たち-』(感想⑦)ーその他の登場人物と総括

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


今回で、最後の感想になります。


まず、登場人物別感想で、ルイ16世役の
ひろ香祐さんです。


自分がそのギロチンで処刑することにな
るとも知らずに、ギロチンの改良ばかり
をしている(事実だそうです)、いかに
も温厚で平凡な王という感じのルイ16世
にひろ香祐さんが良く似合っています。


ネッケルを解任したり、オーストリアに
逃亡を図るような事さえしなければ、処
刑されることもなかったのかもしれませ
ん。


最後は、ロナンの妹マズリエ役の小桜ほ
のかさんです。


父親を殺され、農地も奪われ、兄のロナ
ンは、村を出て行ってしまった。(恐ら
く、村にも身寄りがいないのでしょう。
いたとしても、皆、自分が生きていくだ
けでギリギリの生活をしています。とて
も、マズリエの面倒まで見る余裕はない
のでしょう)無情にも後に残されたマズ
リエは、兄ロナンを追ってパリに行きま
すが、パリでもまともな仕事に就けるは
ずもなく、娼婦に身を堕としてしまいま
す。


ロナンは、ダントンから恋人を紹介され、
それが妹のマズリエであることを知りま
す。


自分がパリに来たことを悔やむロナン。
マズリエは綺麗事では生きていけないと
言います。


この場面で、マズリエが歌う「夜のプリ
ンセス」が圧巻です。


歌唱力がないとできない役ですが、小桜
ほのかさんの歌が見事です。


最後に、今回の星組公演の感想の総括を
したいと思います。


今回は、前回の月組公演、東宝版から大
きく演出を変えました。


特に変わったのは、マリー・アントワネ
ットが準主役であった前回版から、オラ
ンプのヒロイン色を強めた事でしょう。


それが群像劇であるはずのこの作品を、
ロナンとオランプのラブストーリーをメ
インにししてしまいました。


宝塚の作品としては、それでもいいのか
もしれませんが、「宝塚」の二文字を取
って、ミュージカル作品として見た場合、
作品としては、レベルが落ちたように思
います。


歌にもダンスにも抜きんでた技量を持つ
星組トップの礼真琴さんとこの作品で退
団される、別格娘役と言われるほどの器
量・品格を持ち、歌唱力にも優れた有沙
瞳さんを中心とした現在の星組メンバー
が作る作品がこのような出来になってし
まったのは残念としかいいようがありま
せん。


前回の感想⑥の瀬央ゆりあさんのアルト
ワ伯や輝月ゆうまさんのペイロールが迫
力不足なのも小池氏の演出が原因でしょ
う。


真風涼帆さんの退団公演の『カジノ・ロ
ワイヤル』もそうでしたが、何か、小池
修一郎氏の演出の冴えがここに来て、鈍
ってきているように感じられるのですが
……。