今日は、壽々（じゅじゅ）です。

今回の文藝春秋の記事に関して、木場理
事長だから、こんな不祥事が起きた、小
川前理事長だったら起きなかった、とい
うような趣旨の記事を書いている方を見
かけましたが、本当にそうでしょうか？

話がややこしくなるので、今回のセクハ
ラに限定して検討してみます。

木場氏が小川前理事長に代わって、宝塚
歌劇団の理事長に就任したのは、2021年
4月1日です。

一方、厚生労働省がいわゆる「セクハラ
指針」（「事業主が職場における性的な
言動に起因する問題に関して雇用管理上
講ずべき措置等についての指針」）につ
いて、同性間の言動も職場のセクハラに
当たることを明記した改正指針を施行し
たのは、2014年7月1日です。

つまり、小川前理事長の時代に、すでに
同性間の言動も職場のセクハラに当たる
ことが厚生労働省の指針で明確になって
いた訳です。

そして、この指針には、事業主が講ずべ
き措置について、次のように書かれてい
ます。（長いので一部省略）
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝
事業主は、職場におけるセクシュアルハ
ラスメントに関する方針の明確化、労働
者に対するその方針の周知・啓発として、
次の措置を講じなければならない。
（省略）
イ 職場におけるセクシュアルハラスメン
　トの内容及び職場におけるセクシュア
　ルハラスメントを行ってはならない旨
　の方針 を明確化し、管理監督者を含む
　労働者に周知・啓発すること。

（事業主の方針を明確化し、労働者に周
　知・啓発していると認められる例）
① （省略）
② 社内報、パンフレット、社内ホームペ
　ージ等広報又は啓発のための資料等に
　職場におけるセクシュアルハラスメン
　トの内容（省略）並びに職場における
　セクシュアルハラスメントを行っては
　ならない旨の方針を記載し、配布等す
　ること。
③ 職場におけるセクシュアルハラスメン
　トの内容（省略）並びに職場における
　セクシュアルハラスメントを行っては
　ならない旨の方針を労働者に対して周
　知・啓発するための研修、講習等を実
　施すること。
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝
したがって、小川前理事長の時代に、今
回のセクハラ防止のための体制を、宝塚
歌劇団としては、整えておく必要があっ
た、ということです。

今回の原田氏の件は、小川前理事長にも
責任があるというべきでしょう。

ただ、だからといって、原田氏の手記に
書かれているような言動を木場理事長が
したとするのなら、やはり、理事長とし
ての資質に欠けると言わざるを得ないと
思います。