妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

星組公演『1789-バスティーユの恋人たち-』(感想⑥)ーアルトワ伯とペイロール

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


今回の星組公演では、ルイ16世の弟の
アルトワ伯を瀬央ゆりあさん、貴族将校
のペイロールを専科の輝月ゆうまさんが
演じています。


月組公演では、アルトワ伯を美弥るりか
さん、ペイロールは星条海斗さん、東宝
版では、アルトワ伯は吉野圭吾さん、ペ
イロールは岡幸二郎さんでした。


妖艶なアルトワ伯を美弥るりかさんが、
いかにも傲慢で憎々し気なアルトワ伯を
吉野圭吾さんが演じていました。


ペイロール役は、……すみません、どち
らも覚えていません。


ところで、この『1789』は、ルイ16世
は、ギロチンの改造に熱心で、国政に興
味のない人物、マリー・アントワネット
も王太子の死で「神様の裁き」と嘆いて
いて、余り悪い人物ー国民の苦難を余所
に自分たちの享楽に耽るーに描かれてい
ません。


誰か敵役がいないと、国民を弾圧しよう
とする人物がいないと、ロナン達の革命
を起こそうというエネルギーの向かって
いく場所がありません。


その相手がこの作品では、アルトワ伯と
ペイロールだと、つまり、反革命を代表
する人物がこの二人でなくては、ならな
いはずです。


確かに、アルトワ伯は、革命家たちを弾
圧しようとし、オランプにまで魔手を伸
ばそうとしますし、ペイロールは、パリ
からわざわざ、フランスの田舎の村にま
で出かけて行って、税の滞納をしている
者を逮捕しようとしたり、ロナンを拷問
にかけたりして、仲間の居場所を聞き出
そうとしたりしています。


確かにそうなのですが、瀬央ゆりあさん
も輝月ゆうまさんも、観ていて、どちら
からも、本当に憎たらしい敵役、という
印象が伝わってこないのです。


ロナンら革命を起こそうとしている人達
がバスティーユを襲撃しようと言ってい
るのに、それを弾圧しようとする相手方
がいかにも敵役に見えないと、何のため
の革命かが見えなくなってしまいます。


他の方が一様に絶賛するこの作品ですが、
私には、この点で、とても絶賛する気に
はなれないのが残念です。


もう1点あるのですが(こちらの方が大
きい)、それは次の感想で……。