妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

遺族側代理人が言う「未必の故意」とは??「過失」との違い。

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


前回の記事では、「過失傷害」について
紹介しましたが、遺族側代理人の川人弁
護士は、「ヘアアイロン事件」について、
このように述べています。
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「あえて言えば、確定的故意に基づいて
行ったものでなくとも、未必の故意があ
ったと評価するのが法的には相当である。


上級生がわざとやったのではないと否定
したとしても、上級生がこれだけの怪我
を下級生に負わせたのであるから、その
ことについて女性と関係者に深く謝罪す
べきところ、何一つ謝罪を行っていない。
すなわち、故意性が仮になくとも、重過
であることは明白であり、
そのような
場合に、怪我をさせた者が謝罪すること
は不可欠な道義である。


劇団はこの問題については故意でないと
いうだけで、怪我をさせたこと事態につ
いて、何ら上級生を批判していない。そ
して、調査委員会は、謝罪があったかど
うかを何ら検証していない」
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「未必の故意」という言葉は、聞きなれ
ない言葉かもしれませんが、刑法を勉強
すれば、必ず出て来る用語です。


「未必の故意」とは、


犯罪事実に対する確定的な認識・認容は
ないものの、その蓋然性を認識・認容し
ている状態を指す法律用語です。 よりか
み砕いて言えば、「犯罪行為による被害
を意図し、または確実に発生するとは考
えていないが、被害が発生する可能性は
あると思っていて、それでも構わないと
考えている心理状態」をいいます。


かみ砕いて言われてもよく分からないと
思いますが、具体例を挙げると、


車を運転していて歩行者が飛び出しそう
に見えたときに、ぶつかるかもしれない
がそれでもいい、と思っているのが「未
必の故意」です。


「未必の故意」は「故意」と同様に扱わ
れます。


つまり、「ヘアアイロン事件」が「過失
傷害」であれば、「30万円以下の罰金ま
たは科料」であるのに対し、「未必の故
意」による「傷害罪」であれば、「15年
以下の懲役または50万円以下の罰金」と
かなり重い罰則となっています。


ただ、裁判では、「故意」よりは、軽い
量刑になる可能性があるのが「未必の故
意」です。


それでは、川人弁護士の言う「重過失」
とはなんでしょうか?


「重過失」とは、


わずかな注意で結果が予見できたにもか
かわらず予見せず、さらに、容易に結果
の発生を回避できたにもかかわらず回避
しないことをいいます。


「重過失」の刑法の条文は、第211条後
段(後半部分)にあります。


(業務上過失致死傷等)
第二百十一条 業務上必要な注意を怠り、
よって人を死傷させた者は、五年以下の
懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金
に処する。重大な過失により人を死傷さ
せた者も、同様とする。


つまり、量刑は、「五年以下の懲役若し
くは禁錮又は百万円以下の罰金」となり、
「未必の故意」による量刑と変わらない
ことになります。


やはり、謝罪した方が良さそうですけど
ね。


前回の記事はこちら↓