妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

月組公演『応天の門』は、原作を読んでから観劇した方が10倍面白い?

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


月組公演『応天の門』。ブログの感想を
読むとまあまあ評判はいいようですが、
今までになく、勘違い感想が多いように
感じます。


目立つのは、登場人物の誤字。
「藤原元経」→「藤原基経」
「藤原良和」→「藤原良相」
「吾子」→「阿呼」
です。
これらは、原作を読んでいなくても、公
演プログラムや宝塚のHPのキャスト紹介
などを見ていれば、間違えないと思うの
ですが……。


後、道真(月城かなとさん)が登場する
場面で、大きな満月を背景に屋敷の門の
上で、道真が書を読んでいる所の演出を
称賛している方がみえましたが、これは、
原作は漫画ですので、原作の構図どおり
です。


で、今回は、月組公演『応天の門』は、
原作を読んでいなくても、それなりに楽
しめますが、原作を読んでいれば、10倍
(?)楽しめる、という話です。


以前のブログでも書いたように、宝塚の
舞台は、原作のストーリーを大幅に変更
しています。特に最後の場面は、原作に
はない内容です。


ただ、それでも、原作どおりの場面もあ
りますし、原作の中のあるエピソードを
別の場面で使ったり、というようなこと
をやっています。


つまり、原作を読んでいれば、原作と舞
台との違いや原作のどこのエピソードを
舞台のどこの場面に使っているかが分か
る楽しみがある、ということです。
原作そのまま、という所もあります。


なお、原作は、16巻まで出ていますが、
今回の舞台に関係のあるのは、7巻まで
ですので、7巻読めば十分です。
漫画ですから、時間もかかりません。


まず、最初の場面を見てみましょう。
(なお、( )内は、舞台の配役です)
在原業平(鳳月杏)が舞台上手から従者
の是則(真弘蓮)と一緒に歩いて登場で
す。「火照った体を冷ますため」なんて
言ってますが、原作では、業平は牛車に
乗っています。牛を舞台に登場させるわ
けにはいかないからです。
六条の人妻の所から回り道をして帰ると
いうのは、原作と一緒ですが、その日が
月の子(ね)の日というのは、原作と違
います。
原作では、月の子の日に女の所へ出掛け
るのは、業平ではなく、藤原常行(とき
つら)です。この時、道真の屋敷の門の
前で道真と常行は「百鬼夜行」を目撃し
ます。
そこで、業平は、屋敷の門上で書を読ん
でいる道真(月城かなと)と出会います。
この時の原作の満月を背に書を屋敷の門
の屋根の上で読んでいる原作の構図が上
でも書いたように舞台でも使われていま
す(公演プログラムの最初のページにも
載っています)。
ここで、道真が「検非違使が来ますよ」
と言うのは原作も舞台も一緒です。
ただ、道真が業平を従者の是則の狩袴に
青い蔓草の汁が付いているのを見て、業
平が六条に行ったと推理するのは、原作
では、この場面ではなく、昼間の大学寮
での出来事です。
また、ここで、道真が業平に「菅原家の
三男、道真と申す」と名乗るのも、大学
寮でのことです。
さらに、白梅(彩みちる)が「菅三様」
と呼ぶのを聞いて道真が門の向こうに消
えるのは、原作にはありません。白梅が
登場するのは、この話よりも後の玉虫姫
の話からだからです。
この後に、舞台では、原作に登場しない
酔っ払いが「百鬼夜行」に襲われる場面
があります。次の場面で使うからです。


もう一つ、ご紹介しましょう。(余り書
くとネタバレになるので)


次は、原作も舞台も朝議の場面です。
ただ、朝護の内容が原作と舞台では違い
ます。
原作では、女官行方不明の話ですし、舞
台では、「百鬼夜行」の話です。
どちらも、清和帝(千海華蘭) が業平に
取調べをするよう命じるのは同じですが、
事件の内容が違います。
この場面での清和帝のセリフや藤原良房
のセリフは、舞台でも使われています。


そのほかには、道真が業平に「私が拗ね
ているだけみたいじゃないですか!」と
言う場面が原作と舞台の両方にあるので
すが、使われている場面が違っています。


ということで、原作を読んでおくと観劇
が10倍は大袈裟ですが、もっと、面白く
なると思います。