妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

曲とストーリーが良かった!!宙組公演『バロンの末裔』ライブ中継を観て②

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


さて、「宙組公演『バロンの末裔』ライブ中継を観て」の
コメントの続きです。


話をオープニングに戻します。


ボールトン男爵家の当主ローレンス(真風涼帆さん)が双子の
弟エドワード(真風涼帆さん二役)に宛てた手紙を執事のジョ
ー(寿つかささん)に手渡す場面から始まります。


ローレンス、茶髪の長髪です。ちょっと違和感がありましたが、
双子の弟との違いが分かりやすくするためと気づいて納得しま
した。弟のエドワードは短髪の黒髪です。双子なのに髪の毛の
色が違うというのはおかしいですが、まあ、これは仕方ないか
と思います。


ジョージ役の寿つかささん。執事役を見るのは朝夏まなとさん
主演の『TOP HAT』以来ですが、謹厳実直な執事役が良く似合
っています。


オープニング~将校クラブの場面では、エドワードとリチャード
(桜木みなとさん)が青の軍服姿で登場します。軍服姿が格好
いいです。


ところで、この作品には二つの軸があります。
一つは、キャサリンを巡る双子の兄弟の愛の三角関係。
もう一つは、代々受け継がれてきた男爵家の領地とそこに住む
人々に対するエドワードの想い。


兄ローレンスからの手紙で故郷のボールトンキャッスルに戻った
エドワードは、執事のジョージを始めとする屋敷の使用人たちに
迎えられます。その中に兄ローレンスの婚約者であるキャサリン
(潤花さん)の姿もありました。キャサリンは、ローレンスの看
病のために屋敷に滞在していたのでした。


そして、兄ローレンスの寝室で兄と対面するエドワード。
ここがこの作品の見所の一つです。
ローレンスもエドワードも真風涼帆さんが一人二役。


ベッドが薄いカーテンで囲ってあるので、うっすらと影が見える
程度。
ここで、ローレンスとエドワードの早変わりがあります。


ローレンスの影が鳳城のあんさん、エドワードの影が春瀬央季さん。
鳳城のあんさんは、ベッドから転がり落ちてちょっとだけ顔を
見せるという離れ業までやってのけます。
これは、スタッフの中に特殊マスクの人がいて、鳳城のあんさんを
真風さんのそっくりさんにしています。


ローレンスから穀物相場に手を出して失敗し、屋敷も土地も銀行の
抵当に入っていると聞いたエドワードは憤慨。


ところで、ローレンスはいかにも貴族らしい穏やかでゆったりとした
話し方、一方のエドワードはいかにも軍人らしいきびきびとした話し
方。
話し方でも、ローレンスとエドワードを演じ分けています。


次の場面は、「リチャードの部屋」「ボールトンキャッスルの居間」
と続くのですが、ちょっと省略します。
(一応のあらすじは、①の方で書いていますので、そちらをご参照
ください)


エドワードは、執事のジョージに会計士を呼ぶように命じ、銀行へ
行って差し押さえの期限の延長ができないか、交渉に向かいます。


ボールトン家の土地・屋敷に抵当権を設定している銀行の場面。その
廊下で一人の老人と銀行の行員が揉めています。老人の名はトーマス
(凛城きらさん)。この銀行の頭取ウィリアム(瑠風輝さん)の父親
で元頭取。頭取には先客がいるのに無理に頭取室に入ろうとして行員
と揉めているのでした。
それでも、無理やり頭取室に入ったトーマス。先客が出て行ったあと、
息子にボールトン家の土地・屋敷を明日にでも差し押さえろとけしか
けます。何か魂胆がありそうです。
凛城きらさん、いかにも権高で強欲な銀行の元頭取という雰囲気を良
く出しています。


そこへエドワードがウィリアムに会いにやってきます。トーマスは、
隣の部屋に退散。エドワードは、差し押さえの期限を延ばしてくれと
ウィリアムに嘆願しますが、父親のトーマスからすぐにでも差し押さ
えろと言われているウィリアムは、後へ引きません。差し押さえの
期限は10日間だと、エドワードに告げます。


屋敷に戻ったエドワードを待ち構えていたのは、エドワードからお金
を借りようと考えていたリチャード。真相を知ったリチャードは落胆
します。そこへ執事のジョージたちがやってきて、屋敷に出入りして
いた会計士のローバック(秋音光さん)がローレンスにしきりに投機
を勧めていたこと、ローバックの姿をローレンスが借金をしている銀
行でも見かけたことを打ち明けます。
何か裏があると感じたエドワードは、近くの町で顔を知られていない
リチャードに調査を依頼します。


次がこの作品のハイライト「雉撃ちの丘」の場面。


開演前に公演プログラムをパラパラと見た時には、最後の場面が「雉
撃ちの丘」になっていたので、他の方のブログで感動したと取り上げ
ている場面はラストなのかと思って観ていたら、真ん中あたりでこの
場面になって、思わず、エッ??。


ところで、この物語の舞台は、20世紀初頭のスコットランド。
この時代には、まだ、長子相続制度が残っていました。
ですから、ボールトン家の男爵の爵位も、その屋敷も領地も財産もす
べて長子であるローレンスが相続していて、次男であるエドワードに
は爵位も領地も何の財産もありません。
エドワードが故郷を捨て、軍人になったのはこれが一つの理由です。
もう一つは、兄のローレンスがキャサリンを想っていることを知り、
自分は身を引くためでした。


それをキャサリンは、自分が失恋したと思い込み、ローレンスとの婚約
を承諾したのでした。


ここはプログラムから引用しましょう。


「ある日、狩りに出たエドワードは偶然キャサリンと出会い、彼女の秘
めた想いを知る。キャサリンは兄ではなくエドワードを恋い慕っていた
のだった。キャサリンの突然の告白はエドワードの心を激しく揺さぶっ
た。彼もまた密かにキャサリンに恋をしていたが、兄も彼女を想ってい
ることをいることを知り、自身の気持ちを隠したまま家を出たのだった。
熱い想いを吐露するエドワードとキャサリン。だが、今となってはどう
することも出来ない二人は、互いに自分の気持ちを封印するのだった。」


ということです。


キャサリンは、「愛の地獄」に落ちたと嘆きます。エドワードとキャサリ
ンが歌うデュエットにも「愛の地獄」という言葉が出てきます。


でも、自分たちが自分の意志で選んだ道だからそれでいいのではないで
しょうか?と私は思います。
エドワードも兄が想っているキャサリンを兄から奪うことはできないし、
キャサリンも婚約者のローレンスを捨ててエドワードの元へ行くことも
出来ないのですから。


ここからは、完全にネタバレになりますが、③へ続きます。