私が勝手に選んだ2021年の宝塚作品ベスト5!!
今晩は、壽々(じゅじゅ)です。
2021年の宝塚作品ベスト5を勝手に選ばさせていただきました。
よくあるベスト10ですと、組の人気やトップさんの人気がどう
しても入っていて、何かいつも釈然としない思いがあったから
です。
したがって、各組に対する私の好き嫌い(嫌いはありませんが)、
トップさんに対する個人的な想いは一切排除し、作品だけで評
価いたしました。
なお、お芝居だけでショーは除いています(ショーは、全体と
しての評価が難しい)。また、観ていないものは評価できませ
んので、当然入っていません(例えば『プロミセス、プロミセ
ス』など)。
それでは、私が2021年に観た作品をまず、リストアップし、
その中からベスト5を選ぶことにします。
2021年の観劇作品(ライブ中継を含みます)
・『PRINCE OF ROSES-王冠に導かれし男-』
・『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』
・『アナスタシア』
・『ダル・レークの恋』
・『幽霊刑事(デカ)~サヨナラする、その前に~』
(ライブ中継)
・『f f f -フォルティッシッシモ-』
・『Hotel Svizra House ホテル スヴィッツラ ハウス』
・『ロミオとジュリエット』
・『ヴェネチアの紋章』
・『ほんものの魔法使』
・『アウグストゥス-尊厳ある者-』
・『マノン』
・『婆娑羅(ばさら)の玄孫(やしゃご)』
・『桜嵐記(おうらんき)』
・『哀しみのコルドバ』
・『シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-』
・『川霧の橋』(ライブ中継)
・『CITY HUNTER』
・『バロンの末裔』(ライブ中継)
・『柳生忍法帖』
・『元禄バロックロック』
全部で21作品です。
結構観ましたね~。
さて、この中からベスト5を選びます。ちょっと悩みますね。
ワースト5なら簡単そうですけどね(絶対にやりません)。
さて、1位から順に挙げていきますが、あまり1位から5位まで
の差はないと思ってください。(以下、敬称略です)
1位 『ロミオとジュリエット』
これだけは断トツの1位です。
潤色・演出:小池 修一郎 演出:稲葉 太地です。
原作はウィリアム・シェイクスピアの名作悲劇。これにジェ
ラール・プレスギュルヴィックによる名曲がついたロック・
ミュージカルの傑作です。ダンスも良かったです。
海外ミュージカルで、オリジナルではないところは残念です
が、仕方がないですね。『エリザベート』にも匹敵するミュ
ージカル大作だと思います。
今回の星組による公演は、残念ながら、コロナ禍により一部
が公演中止になったり、出演者を制限して、A日程とB日程に
分かれることになりました。一方、B日程の愛月ひかるの演じ
た「死」が話題になった公演でもありました。
礼真琴は、こういう「ロミオ」のような役が似合うと思うんで
すけどね。
2位 『川霧の橋』
月組博多座公演をライブ中継で観ました。
原作は、山本周五郎。脚本:柴田 侑宏 演出:小柳 奈穂子で
す。
柴田 侑宏存命中は、作品へのこだわりから再演することが叶
わなかった本作。今回、演出:小柳 奈穂子で再演することに
なりました。
主人公は、江戸の大工幸次郎で、3人の兄弟弟子の中から次の
棟梁に選ばれます。この主人公とその兄弟弟子の2人(半次と
清吉)、そして主人公が思いを寄せる砥ぎ職人の孫娘お光を
中心に物語は展開するのですが、江戸の下町の大半を焼き尽
くす大火事によって、それぞれの運命は思わぬ方向へと向か
っていきます。
江戸の下町情緒とそこに住み、大きな運命の流れに弄ばれなが
らも懸命に生きていく若者たちの姿を感動的に描いた名作と言
えるでしょう。
最後に、幸次郎とお光が結ばれ、幸次郎が橋の上でお光の着物
の衿をぐいとつかんで引き寄せて、「もうどこにも行くな」と
言う場面は、さすが感動の名場面だと思います。
3位 『桜嵐記(おうらんき)』
作・演出:上田 久美子です。
上田久美子の演出は、最近、そのテーマが難解になりつつある
ような気がします。その代表作が『f f f -フォルティッシッシ
モ-』。理解できた観客がどれほどいるのか、心配になりまし
たが、トップ望海風斗の退団公演で、多分、ファンの方々はそ
んなことは気にせず大満足だったのでしょう。
この『桜嵐記』も「なぜ戦うのか」をテーマに持ってきました。
『f f f -フォルティッシッシモ-』よりは分かりやすいですが、
かなり重いテーマ。そして、楠木正行が出した答えも分かりづ
らい。
それを抜きにすれば(?)、冒頭で「南北朝」について解説して
くれたり、かなりストーリー分かりやすくなっています。見せ場
も随所にあり、楠木3兄弟が揃ったところの立ち姿の秀麗さ、楠木
正行が傷ついた敵の兵の手当てをする優しさ、楠木正行と弁内侍
との悲恋、観客は次第に楠木正行という人物の生き様に惹きつけ
られていきます。
そして、最後の主人公の楠木正行が高師直の大軍を相手にして、
力尽きて死んでいく場面は、圧巻。
私的には、後村上天皇が死ぬと分かっていて出陣する楠木正行に
掛ける「死ぬなよ」という言葉が心に刺さりました。
上田久美子の演出家としての手腕が存分に発揮された作品といえ
るでしょう。
まだ、名作と言えるかどうかは分かりませんが、私の周りの観客
の反応からは、感動作であったことだけは間違いないようです。
4位 『元禄バロックロック』
作・演出:谷 貴矢です。
谷 貴矢、宝塚大劇場公演デビュー作です。
忠臣蔵という良く知られたお話をベースとしながら、独特の谷貴矢
ワールドを創出しています。
華やかなバロック文化が形成された架空の国際都市エドを舞台に時
間を巻き戻すことのできる時計というSF要素を取り入れました。
とにかく物語の展開の面白さに観客は、舞台にぐいぐい引き込まれ
ていきます。
衣裳や舞台セットも華やかです。観ていて楽しくなる作品です。
笑いもあり、格好いい立ち回りもあり、そして何とかクロノスケの
死を止めようとするキラの深い愛、サービス精神旺盛です。
そして、最後は、将軍ツナヨシによる見事な裁きによるハッピーエ
ンド。
名作というよりは、娯楽大作という作品です。
5位 『バロンの末裔』
作・演出:正塚 晴彦です。
元月組トップの久世星佳のサヨナラ公演として上演された作品の再
演です。
舞台は、貴族階級の支配が崩れ去った20世紀初頭のスコットランド。
バロン(男爵家)の末裔でありながら、次男として生まれたために、
爵位も財産も領地も受け継ぐことができず、恋人への秘めた想いも
断ち切って故郷を立ち去って軍人となった男エドワードが主人公。
双子の兄の病気の知らせに、故郷へ戻った主人公は、兄の投資の失
敗のため、男爵家が破綻の状態にあることを知ります。
故郷に残した恋人の真意を知った主人公は、叶わぬ恋として心の中
に封印し、彼の愛する故郷とそこに住む人々を救うために奔走しま
す。
誇り高いバロンの末裔として、故郷とそこに住む人々を愛し、心に
秘めた恋を抱いたまま、再び、故郷を後にする主人公の気高い姿に
は深い感動を覚えます。
雉撃ちの丘の場面での「愛の地獄」が評価されてしまった感のある作
品ですが、主人公の気高い生き様こそがこの作品のテーマと言えるで
しょう。
選外 『ほんものの魔法使』
原作:ポール・ギャリコ 脚本・演出:木村 信司です。
今年観た作品の中で、私が一番好きなお気に入りの作品です。
したがって、私の好みが入っていますので、選外とさせていただき
ました。原作本も公演後に買って読みました。
魔術師(本当は手品師)の都マジェイアに、アダムというほんもの
の魔法使の青年が言葉を喋る犬モプシーとやってくるところから物
語は始まります。
魔術師といいながら、実は種も仕掛けもあるただの手品師の前で、
アダムがほんものの魔法を披露したので、大混乱が起こります。
助手となったジェインは、父親のいいつけでアダムの魔法の秘密を
探るためにアダムをピクニックに誘います。そこで、アダムはジェ
インに魔法は私たちのすぐ身の回りで起きていることを教えます。
これが、この物語のテーマです。
ポール・ギャリコの原作も素晴らしいのですが、それを見事に舞台
化した演出家の手腕も素晴らしいと思いました。
心が清々しくなるような物語です。そして人にとって大切なことは
何か(特に物質文明に囲まれた現代人にとって)、を思い起こさせ
てくれる作品でもあります。
以上、私が勝手に選んだ2021年の宝塚作品ベスト5でした。
選外も含めると、一応5組全部1作は入っています。
あれが入っていない、これはどうなんだと思われる方は多いと思いま
す。
それは、人それぞれだと思います。
ですから自分の好きなトップさんの出演している作品を褒めて、他の
作品をけなすのだけは、やめて欲しいと思います。
それでは、良いお年を!!!!