妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

過重労働の温床「自主稽古」ー週刊文春第9弾

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


先々週の週刊文春の記事で、ちょっと、
話が古いですが、劇団の実態を知ること
ができるので、ご紹介します。
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(略)


 一方、雪組十二月一日から、宙組は
十二月十五日から延期していた公演を実
施する方針だ。(注:宙組公演がその後、
全公演中止になったのご存知のとおりで
す)だが、複数の現役生が小誌の取材に
「気持ちが高まらない」と苦しい心情を
吐露している。


 生徒の心のケアが不十分にも関わらず、
劇団が公演再開に突き進む理由は何か。


 歌劇団を運営する阪急阪神ホールディ
ングスの決算資料によれば、22年度の
ステージ事業の営業収益が339億円で
営業利益が68億円(梅田芸術劇場主催
の公演収入も含む)。


 阪神タイガースの営業収益384億円、
営業利益74億円と比べても、引けを取
らない。阪急関係者が語る。


「劇団創立109年の歴史のうち70年
は赤字。かつては阪急の『ドラ娘』と言
われたが、今や欠かすことのできない主
力事業の一角です。角和夫会長の下、15
年から6年間理事長を務めた小川友次氏
が本公演(宝塚大劇場と東京宝塚劇場)
以外の場所で開催する外部公演を増やし
た。ライブビューイングにも参入し、19
年には観客動員数が三百万人を突破しま
した」


 創始者・小林一三が「欠損を覚悟して」
始めた事業は利益追求が優先される。


「毎年元旦に行われる拝賀式で、角会長
と小川理事長(当時)が、生徒に『昨年
は全作で稼働率(=集客率)100%以
上を達成しました』と業績を誇示、生徒
の前ではお金の話はしないという、創業
家が守り続けた不文律を破った。チケッ
トノルマを課され、集客力がなければ肩
たたきに遭う生徒は、プレッシャーに感
じたでしょう」(同前)


 隆盛を極める宝塚。その陰で生徒の負
担はかつてないほど大きくなっている。


「劇団では従来、座付き作家(=演出家)
がトップスターに当て書きするオリジナ
ル物やその再演が中心でした。だが小川
氏は積極的に海外ミュージカルを取り入
れ、楽曲や振付が高度化。短い稽古期間
で高難度の舞台を作り上げないといけな
くなった。劇団側は本公演を年間九公演
から八公演に減らす改革案を示しました
が、外部公演も見直さないと過重労働の
抜本的な解決にはなりません」(同前)


 とりわけ、過重労働の温床となってい
るのが「自主稽古」だ。劇団によれば、
公式稽古は午後一時から十時まで。その
前後の自主稽古は「任意の自己研鑽の場
である」とするが、実情は大きく異なる
という。


「強制参加でした。演出家も振付家も一
から十まで教えてくれるわけではなく、
『あとは自主稽古で固めておいて』と生
徒任せ。自主稽古をしないと公演が成り
立たず初日を開けることができません。
労基署は自主稽古も正規の労働時間とみ
なすべきです」(元生徒)


 自主稽古を終え、深夜に帰宅後も“残業”
は続く。


「公演で使うアクセサリーや髪飾りを制
作します。これらはほぼ自腹で年間百万
円ほどかかる。本来劇団が担うべき制作
の業務も生徒に押し付けているのです。
それなのに、時間外労働に対する割増し
賃金をもらった覚えがない」(同前)


 生徒は五年目まで雇用契約を結び、六
年目からタレント(個人事業主)契約を
結ぶ。契約書には「劇団が決定した一切
の方針に従わなければならない」「劇団
以外で演技・歌唱などを行ってはいけな
い」「容姿の管理に精進しなければなら
ない」とあり、拘束力が強い。肖像権も
劇団が管理する。まさに”奴隷契約”だ。


「プロマイドなどのグッズ収入は生徒に
一銭も入らない。休日にタダ働きでグッ
ズや公式情報用の撮影があり丸一日拘束
される。研1(入団1年目)の月収が十
万円もいかず毎年一万円ほどアップ。親
からの仕送りがないと苦しい」(同前)


 こうした過酷な労働環境の中さらに上
級生によるパワハラ・イジメが横行して
いるのだ。元生徒が続ける。


「上級生からは『一回死んでやり直して
来たら?』などと人格否定がきつく最初
は毎日吐いていた。死んで解放されたく
て睡眠薬を大量に飲んだこともありまし
た。風邪などの体調不良で公演を休むと、
同期が身替りで怒られる。だから、イン
フルエンザ流行期には、罹患していなく
てもタミフルを飲んでいました」
(以下、略)
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「タミフル」は、医師の処方箋がないと
購入できませんが、どうやって、入手し
ているんでしょうね。(手がないことも
ないですが)


まず、研6からタレント契約ですから、
この人たちが残業しても休日に働いても
その分の賃金は出ません。


また、公演で使うアクセサリーや髪飾り
が自腹であることも、タレント契約であ
れば、当然の事になります。


しかし、契約書に「劇団が決定した一切
の方針に従わなければならない」「劇団
以外で演技・歌唱などを行ってはいけな
い」と書いてあるのであれば、これは、
実質「雇用契約」です。


「雇用契約」であれば、残業や休日労働
に手当を出さないというのは、労働基準
法違反になります。


アクセサリーや髪飾りが自腹というのも
「雇用契約」であれば、おかしいでしょ
う。


さて、労働基準監督署がどう判断するか
が見ものです。