妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

映画『オッペンハイマー』を見てきました。

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


昨日は、映画『オッペンハイマー』を見
に、いつもの名古屋駅前の映画館に行っ
てきました。


平日だと、こんなにガラガラなんだ、と
思うほど、人がいなかったですね。


いつも、宝塚公演のライブ中継を観にい
く時は、日曜日ですからね。飲み物を買
うにも大行列です。


映画そのものを見に行くのは、久し振り。


話題の映画なので、どんな映画なのかを
見に行ってきました。シニア割引で……。


DolbyCinemaのスクリーンと普通のスク
リーンとの両方で上映されていますが、
できれば、DolbyCinemaのスクリーンで
見るべき作品だろうと思います。


パンフレットを売っていたので、購入し
ました(1200円)。


そのパンフレットから、ストーリーです。
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第二次世界大戦、冷戦、赤狩りー
時代の波に翻弄された天才科学者オッペ
ンハイマーの栄光と没落


 1926年、J・ロバート・オッペンハイマ
ー(キリアン・マーフィー)は、イギリ
スのケンブリッジ大学で実験物理学を専
攻していた。敬愛す客員教授のニールス
・ボーア(ケネス・プラナー)に勧めら
れ、ドイツへ渡って理論物理学を学ぶこ
とに。そこで才能を開花させたオッペン
ハイマーは、博士号を取得してアメリカ
へ帰国。カリフォルニア大学バークレー
校で教鞭を執るようになる。また、同大
学の准教授で、社交的な物理学者のアー
ネスト・ローレンス(ジョシュ・ハート
ネット)と意気投合する。


1936年、オッペンハイマーは家主が開い
た集会で共産党員のジーン・タトロック
(フローレンス・ビュー)と出会い、彼
女と恋に落ちる。聡明ながらも奔放なジ
ーンとは長く続かなかったが、その後出
会った当時既婚者の植物学者の"キティ"
(キャサリン)(エミリー・ブラント)
と、結婚。ふたりの間にこどもが生まれ、
幸せな家庭を築いてゆく。1941年、FBI
はオッペンハイマーの捜査を開始。


1942年、オッペンハイマーは「マンハッ
タン計画」の最高責任者である陸軍のレ
ズリー・グローヴス(マット・デイモン)
から、原子爆弾開発に関する極秘プロジ
ェクトへの参加を打診される。この前年、
アメリカは第二次世界大戦に参戦。ナチ
スドイツによる原子爆弾の開発が、もは
や時間の問題だと見られていたのだ。オ
ッペンハイマーは参加を快諾し、優秀な
科学者たちを全米から招聘。ニューメキ
シコ州にロスアラモス研究所を建設して、
彼らを家族ごとに移住させた。それは国
家の存亡をかけた核開発競争の始まりだ
った。


1945年、ナチスの降伏後、今度は日本を
降伏させるための武器として、原子爆弾
の研究が続けられていた。この国家プロ
ジェクトは、1945年7月に行った「トリ
ニティ実験」でついに成功を収める。計
画の成功を喜んだのも束の間。8月に広島、
長崎へ実際に原爆が投下されると、その
惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦
悩するするようになる。


そして、戦後。戦争を終結させた立役者
として称賛されるオッペンハイマーだっ
たが、時代は冷戦に突入。アメリカ政府
はさらなる威力を持つ水爆の開発を推進
していくのだった。ルイス・ストローズ
(ロバート・ダウニー・Jr.)によりブリン
ストン高等研究所の所長に抜擢され、ま
た原子力委員会のアドバイザーとなった
オッペンハイマーは核開発競争の加速を
懸念し、水爆開発に反対の姿勢をとった
ことで次第に追い詰められてゆく。1950
年代、赤狩りの嵐の中、彼の人生は大き
く変わっていくのだった。
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この映画を見て、「広島、長崎」が描か
れていないと批判する人がいるようだが、
とんだお門違いと言うべきだろう。


これは、アメリカで製作され、主に、ア
メリカ人が見ることを前提とした映画だ
からだ。


今でも、広島、長崎に原爆が投下された
事の正当性を主張するアメリカ人が多い
中で、この映画がギリギリの線だったの
だと思う。


また、この映画は、主にオッペンハイマ
ーの視点から描かれている。


広島、長崎の惨状を実際に目にせず、そ
の情報からも目を背けたオッペンハイマ
ーには、広島、長崎での死者数は、単な
る数字でしかない。


また、この映画と福島の原発事故とを結
びつけるのも、筋違いと言うべきであろ
う。


オッペンハイマーが作ったのは、兵器と
しての原子爆弾であり、一応、原子力の
平和利用である原子力発電ではないから
である。


一方で、フラッシュバックのように白黒
で描かれる赤狩りの場面には、違和感が
残る。


これも、オッペンハイマーの伝記的映画
の一部ということであろうが、赤狩りと
いうものをほとんど記憶として持たない
日本人としては、自分事として、とらえ
きれないからだろうと思われる。


ただ、この作品が、今の時代に製作され、
上映されて、それを見るという意味は決
して小さくはないだろうと思う。


核保有国のうち、ロシア、中国、北朝鮮
は、独裁国家であり、特に、プーチンと
金正恩は、頭が少しトチ狂っているとし
か思えず、いつ、核のボタンを押されて
もおかしくない状況に世界が置かれてい
るからだ。


実験が苦手で、理論物理学の道を選んだ
はずのオッペンハイマー(ブラックホー
ルの存在を理論上導き出した)が、いか
にして「原爆の父」と呼ばれるようにな
ったかをこの映画は、克明に描いている。


そして、科学というものが戦争に結びつ
くことの脅威というものも描いている。


原子爆弾に留まらない。


ウクライナ戦争では、「ドローン」が大
量に使われ、成果を上げている。まだ、
最近の技術だったはずだが、もう既に、
十分な戦力となってきている。


映画の中に「ノーベル」という言葉が出
て来るのは、そのためだろう。


最後の場面で、オッペンハイマーがアイ
ンシュタインと言葉を交わす所は、フィ
クションだと思われるが、この映画の意
図がそこに凝縮されているように思う。