妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

ジブリワールドを舞台上に見事に表現した『千と千尋の神隠し』を観劇しました!!!

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


昨日は、舞台版『千と千尋の神隠し』を観に、
帝国劇場へ行ってきました。


席はQ列(17列目)で、前の人とその前の座高
の高い赤髪の男の人の頭で舞台の下の方が一部
見えなかったのですが、まあ、舞台の上の方は
大体見れました。(舞台の下の方に出現するも
のが一部あったので、それは見づらかったです)


ストーリーは、ほぼ、アニメ版と同じですが、
ちょっと笑いを取る場面があったりして(例え
ば千(千尋)が釜爺とハイタッチする場面が
あるのですが、釜爺の腕は確か6本あって、六
つの手の全部にハイタッチしようとする)、原
作のアニメよりも少しユーモラスになっていま
す。


したがって、今回は、ストーリーは省略します。
(一応、アニメ版のストーリーを下に載せてお
きます。)


この作品は、異世界に迷い込んだ少女(年齢設
定10歳)が、釜爺やリン、ハク、さらにはカオ
ナシの助けを受けながらも、次々と起こる困難
を自らの強い意志で克服していき、生きる力を
呼び覚ましていくという一人の少女の成長物語
だと思います。


今回、観劇した回の主なキャストは、次のとお
りです。(W)と書いてあるのは、Wキャストで
す。


千尋     :上白石萌音(W)


ハク     :醍醐虎汰朗(W)


カオナシ   :辻本知彦(W)


湯婆婆・銭婆 :夏木マリ(W)


釜爺     :田口トモロヲ(W)


リン・千尋の母:咲妃みゆ(W)


兄役・千尋の父:大澄賢也


父役     :吉村直


青蛙     :おばたのお兄さん



千(千尋)役は、ミュージカル『ナイツ・テイ
ル』で観劇したことのある上白石萌音さんで、
湯婆婆・銭婆は、やはり夏木マリさんで、と
選択したら、他キャストは選択の余地がなく
なってしまいました。



驚くのは、まず、舞台セットです。「油屋」の
全体像はさすがに無理でしたが、内部の様子は
かなりアニメ版に忠実に再現されています。
釜爺のいるボイラー室や湯婆婆のいる部屋、神
様たちが行き交う館内、館内のエレベーター、
お風呂場などが、舞台セットの回転や「油屋」
の屋根の吊り上げ、パネルを何枚も使っての組
み合わせなどを駆使して、自在に変化させてい
きます。
美術担当は、ジョン・ボウサー氏です。


そして、舞台で活躍するのは、様々なパペット。
パペットデザイン・ディレクションは、トビー
・オリエ氏。
おばたのお兄さんの操る青蛙のパペット(あれは
操作が大変だ思います)、ハクが白竜になった時
のパペット、カオナシが巨大化した時のパペット
など様々なパペットが登場しますが、それを多く
の人で操り、それがいかにも舞台作品らしさを醸
し出しています。


また、「油屋」を訪れる八百万の神様たちの造形や
衣裳も素晴らしく、こちらはアニメとは異なるオリ
ジナル。担当は中原幸子氏です。


演出には、『レ・ミゼラブル』『ナイツ・テイル
ー騎士物語ー』など数々の名作を手掛けたジョン
・ケアード氏を起用。
舞台化など実現不可能と思われた名作アニメを見
事に舞台上に表してみせました。


そして、やはり中心になるのはキャストのメンバー。


上白石萌音さんは、アニメの主人公そのままのイメー
ジ。そのエネルギッシュな素晴らしい演技には圧倒さ
れます。


ハク役の醍醐虎汰朗さんは、今回が、初見ですが、写
真では比較的濃い目の顔ですので、ハク役が合うのか
と思っていましたが、落ち着いた演技で、見事にハク
になりきっていました。


カオナシ役は、ダンサーの辻本知彦さん。第1幕では
カオナシがいろいろと原作にはないパフォーマンスを
してくれるので、それもこの作品の楽しみの一つです。


姉御肌のリン役は、咲妃みゆさん。
ちょっと見た目では、咲妃みゆさんだと分かりません
でした。それほど、原作のリン役に似せたメイクで、
ちょっとぶっきら棒ですが、千(千尋)に対しては、
親切に世話を焼いてくれます。もうリン役になりきっ
ていました。


そして、最後はやっぱりこの人。夏木マリさん。
声はもちろんアニメそのものですが、特殊メイクでア
ニメの湯婆婆・銭婆にそっくりになります。
ただ、やはり舞台版。アニメそのものの演技ではあり
ません。舞台版としての圧巻の夏木マリさんの演技に
も注目です。


本当に、素晴らしい作品に巡り合えました。
3時間(休憩25分間)があっという間でした。
本当は、もう1回くらいは観たかったのですが、資金面
とスケジュール面で断念しました。


また、再演されることを願っています。



(参考)アニメ版のストーリー


物語の主人公は10歳の少女、荻野千尋。千尋は親の仕
事の都合で引っ越すことになり、これからの生活に不
安を抱きながらも、両親と一緒に車で新しい家に向か
っていました。
しかし、父親が道に迷ってしまい、無理やり進んだ道
の先にトンネルを見つけます。千尋はトンネルが怪し
いと思いましたが、両親は興味津々で、両親に連れら
れトンネルをくぐってしまいました。
トンネルの先には繁華街があり、おいしそうな食べ物
が並んでいますが、人は見当たりません。両親は美味
しそうな食べ物につられ、勝手に食事を始めてしまい
ました。千尋は戸惑いながら、一旦両親と別れ、街を
見て回ることにしました。
すると、謎の少年、ハクに出会います。ハクは「ここ
にいてはいけない」と言って、千尋は無理やり追い返
され、両親のもとに戻りました。しかし、両親は豚の
姿になっていたのです。
パニックになった千尋のもとにハクが現れ、ここで生
き残るために湯屋で働くように助言します。千尋はハ
クの指示通りに湯屋のボイラー室を訪れ、ボイラー室
を仕切る釜爺に「ここで働かせてください!」としつ
こく頼みました。釜爺は千尋の熱意に負けて、湯屋で
働くリンに千尋の案内をさせるよう言いつけました。
リンに案内され、千尋は湯屋の主人であり恐ろしい魔
女の湯婆婆に会い、働かせてほしいと必死に頼みます。
湯婆婆はしぶしぶ承諾しますが、「荻野千尋」という
名前は贅沢だから、と名前を「千」に変えてしまいま
した。
千は湯屋で働くために着替えや布団を用意してもらい
ますが、これからどうなるのかが不安でいっぱいなま
ま一晩を過ごします。翌朝、こっそりハクに会って、
豚に変えられ養豚場に入れられてしまった両親に会いま
す。しかし、千はどの豚が両親かもわからず、その変わ
り果てた姿にショックを受け、涙しました。
ハクにもともと来ていた服を返してもらい、ポケットに
入れていた友だちからのメッセージカードを見て、自分
の名前が「千尋」だということを思い出します。湯婆婆
は相手の名前を奪って支配しているのです。ハクも本当
の名前を奪われ、自分の名前を思い出せず、湯婆婆の手
下としてこの世界で暮らしているのでした。
千尋はドジをしながらも懸命に湯屋で仕事をします。水
を捨てにきた千尋は、窓の外にカオナシを見つけます。
お客さんだと思った千尋は、湯屋の扉を開け、招き入れ
てしまいました。その後、カオナシは千尋の前に現れ助
けてくれるようになります。
あるとき、かなりの悪臭を放つ厄介者「クサレ神」が湯
屋に来ました。新人の千尋は湯婆婆の命令のもと一人で
クサレ神を担当することになります。千尋は苦戦しつつ
一生懸命もてなした結果、クサレ神かと思われた客は実
は名のある河の神だとわかりました。河の神は感謝の意
味で千尋に「苦団子」を渡し、大量の砂金を残して去っ
ていきました。
河の神からもらった苦団子を千尋は興味本位でほんの少
しかじってみましたが、とても食べられるものではなく
かなり苦いのでした。
翌朝から湯屋は騒がしくなっていました。実は、千尋が
招き入れたカオナシが砂金をばらまきながら接客を受け
ていました。湯屋の従業員は、大盤振る舞いの客が来た
と盛り上がって、カオナシに次々と豪華な料理を振舞っ
ていました。
そんな中、千尋は竜の姿になったハクを見つけます。ハ
クは何かに追いかけられ、ひどい怪我を負いながら、湯
婆婆がいる最上階へ向かっていました。千尋はハクが死
ぬのではないかと焦り、急いで最上階へ向かって窓から
侵入しました。
するとそこは子ども部屋で、湯婆婆の溺愛する息子、坊
が寝かされていました。坊は「一緒に遊べ」と千尋にし
つこく迫り、「遊んでくれないと泣いて湯婆婆を呼ぶ」
と脅します。千尋は手についたハクの血を見せて坊を驚
かせ、なんとか逃げ出しました。
千尋は湯婆婆の部屋で傷だらけになり今にも息が絶えそ
うなハクを見つけます。湯婆婆がハクを処分するように
手下に伝え、部屋を去ると、そこへ湯婆婆と瓜二つの銭
婆がやってきました。銭婆は、ハクが銭婆の大切なハン
コを盗んだことと、ハクは湯婆婆との契約で魔法の力を
手に入れたということを千尋に教えるのでした。
銭婆は魔法を使って、その場にいた坊、湯婆婆の手下の
鳥(湯バード)、湯婆婆の手下のバケモノ頭、をそれぞ
れ、ネズミ、ハエのような鳥ハエドリ、坊、に化けさせ
ました。
千尋とハクは銭婆のもとからなんとか逃げ出し、釜爺のも
とにたどり着きました。ハンコには盗んだ者が死ぬという
魔法がかかっており、ハクは内側から攻撃されているよう
です。千尋は河の神からもらった苦団子を半分に割ってハ
クに食べさせます。すると、ハクはハンコとともに黒い生
き物も吐き出し、千尋はその生き物を踏みつぶして、ハク
は一命を取り留めました。
千尋は銭婆のもとにハンコを返しに行き、ハクの代わりに
謝罪しに行こうと決意します。銭婆のもとへ行ける電車の
切符を釜爺がくれました。そこへ、リンがやってきて、湯
婆婆が千尋を探していることを聞きます。実は、カオナシ
は良い客ではなくバケモノで、従業員を3人も飲み込んで
いたのでした。
千尋はカオナシのところへ行き、一人で接待することにな
りました。もとにいた場所に帰るように千尋は説得を試み
ますが、カオナシは千尋を食べたいようです。そこへ、千
尋は残りの苦団子をカオナシに食べさせます。カオナシは
苦しみ出し、嘔吐を繰り返し、食べた従業員も最終的には
吐き出しながら、千尋を追いかけます。
千尋とリンはなんとか湯屋の外へ逃げ出し、電車に乗るた
めに駅まで送ってもらいました。すっかり力を失ったカオ
ナシはまだ千尋について行きましたが、千尋は受け入れま
す。そのほか、銭婆に姿を変えられてしまったネズミ
(坊)、ハエドリ(湯バード)も一緒に電車に乗り込み、
銭婆のもとへ向かいました。
千尋たちは電車に乗っている間、湯婆婆はカオナシのせい
で大損をしたと怒っていました。そこへすっかり回復した
ハクが現れ、「まだ分かりませんか。大切なものがすり替
わったのに」と湯婆婆に伝えます。そこで初めて、湯婆婆
はそばにいる坊が偽物で頭であり、砂金は泥の塊であるこ
とに気づきました。ハクは「坊を連れ戻してきます。その
代わり、千と両親を人間の世界へ戻してやってください」
と湯婆婆に頼みました。
一方千尋たちは、電車を降りて銭婆の家に到着します。銭
婆は千尋達を優しく招き入れてハンコを受け取りましたが、
そこに魔法はかかっていませんでした。千尋は自分が黒い
生き物を踏みつぶしたせいだと謝りますが、実はその生き
物は湯婆婆が仕込んでいたもので、ハクを操るための魔法
だったのです。
千尋は銭婆と過ごし、帰り際にお守りとして髪留めをもら
い、それで髪を束ねました。そこへ、竜の姿のハクが迎えに
やってきました。銭婆と銭婆のもとに残ることを決めたカオ
ナシに別れを告げて、千尋たちは竜の姿のハクに乗り、空へ
飛び立ちます。
ハクの背中に乗って空を飛んでいた千尋は、昔にハクに会っ
たことがあることを思い出しました。それは、千尋が幼いこ
ろ、「コハク川」という川で溺れたときです。千尋はハクに
「あなたの本当の名前はコハク川」と伝えたます。
すると、ハクの竜のうろこがみるみるうちに剥がれ、人間の
姿に戻っていきました。ハクは自分の本当の名前を思い出し
たのです。千尋は涙して喜び、手をつないで大空を飛びまし
た。
千尋たちは湯屋に戻り、ネズミに化けさせられていた坊は、
元の姿に戻ります。湯婆婆は一安心し、ハクとの約束通り千
尋を人間の世界に戻しますが、千尋に条件をつけました。
それは、目の前にいる豚たちの中から、両親を見つけ出すこ
と、です。
千尋は豚たちをじっと眺めて「ここにはお父さんもお母さん
もいない」と答えます。するとその瞬間、千尋が働き始める
ときに書かされた契約書が破られ、千尋は自由になったので
した。
ハクは千尋に帰る道を案内し、橋の先で、ハクは「私はこの
先へは行けない」と告げます。千尋とハクはまたいつか会お
うと約束し別れるのでした。
千尋はトンネルの前で人間の姿に戻った両親に再会します。
両親はあの世界で起きたことを全く覚えていないのでした。
無事にトンネルを潜り抜け、元の人間の世界に戻った千尋。
振り返ってトンネルを見つめる姿は、とても凛々しい表情
なのでした。