妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

花組愛知公演 『フィレンツェに燃える』を観劇して③ーどこがいけなかったのか?

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


花組公演『フィレンツェに燃える』の他の
方の感想を読んでいると賛否両論です。
ただ、作品に対してではなく、出演者に対
する感想も混じっているので、それを差し
引くと、どうもどちらかと言うとあまり評
判は良くないように思われます。
私も、ライブ中継と愛知公演の2回観て、
やはりイマイチ感が抜けませんでした。


なお、「暗い」という感想の方が何人かみ
えますが、ストーリーが暗いという意味で
あれば、これは以前の記事(↓)で書いた
ように、この作品のベースがドストエフス
キーの「白痴」ですから仕方がないでしょ
う。


47年前の初演時には「絶賛を博した」と、
公演プログラムに載っていますが、どこが
絶賛を博したのでしょう。
なぜ、今回の再演はイマイチだったのでし
ょうか?


大野拓史の言によると、47年前の初演時と
ストーリーは、ほぼ変わらないはず。
では、どこに問題があるのでしょうか?
それを今回は取り上げてみたいと思います。


問題は、サブストーリーの形でイタリア統
一運動の話を挟んだことだろうと思います。


まず、「イタリア統一運動」が?です。
昔、高校の世界史の教科書には出ていたよ
うに思うのですが、そんなのはとっくに記
憶の彼方。
サルデーニャとかガリバルディ将軍とかカ
ルボナリとか言われても???です。
なんで、貴族と義勇軍が対立することにな
るのかもよく分からないと思います。
(せめて、公演プログラムにイタリア統一
運動の解説を載せて欲しかった、と思いま
す)


このイタリア統一運動の話がこの作品の主
軸であるアントニオ、レオナルド、パメラ、
アンジェラの愛の物語に時々、割り込んで
くるので、主軸の話がぶつ切り状態になり
ます。


これは、初演時が大劇場公演ですので、配
役を増やすためではなかったのでは、と思
います。(今回の全国ツアー公演でも主な
登場人物以外は、出番が少なくて、カーニ
バルでアルバイトをしていたりしています)


初演当時の宝塚の観客はのんびりしていて、
先の記事で引用した方の解説には、「『フ
ィレンツェ…』を書いた時代、(中略)に
は、ひとつの場面から、次の場面への転換
の間は幕を閉めたままBGMがひたすら流れ
ているだけ、という進行が普通に行われて
いました。」ということですから、初演当
時の観客にはなんともなかったのが、今の
宝塚作品のスピーディーな展開に慣れた観
客には、このぶつ切り状態はもどかしく感
じられるのだと思います。


また、初演時どおりということですが、柴
田侑宏がこんな演出をするか、という部分
が所々あって、どうも一部大野拓史が演出
を変えて作品を一層ダメにしてしまってい
るような気がします。


再々演はないものと思いますが、再々演す
るなら、演出家を変えて(例えば指田珠子
あたり)、やって欲しいと願うばかりです。