妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

これは良かった~!!月組公演『ELPIDIO』大阪公演を観劇しました!!

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


昨日は、月組公演『ELPIDIO』を観劇に
シアター・ドラマシティまで遠征してき
ました。
神奈川公演の配信が用事が入って観れな
くて、今回、初めて観ました。
本当に良かったし、面白かったです。


セディナ貸切公演でしたので、何と前か
ら4列目。良く見えました~!!


こんなストーリーです。
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20世紀初頭マドリード。大航海時代に
は“太陽の沈まぬ国”といわれるほどの隆
盛を極めたスペイン帝国も、今や植民地
は次々と独立。国内においても分裂が続
き、かつての栄光は見る影もなくなって
いた。国の将来を憂える男達が集う酒場
Camino(道)に、仲間達からロレンシオ
(鳳月杏)と呼ばれる男の姿があった。
死に直面しながらも命を取り留めた過去
を持つ彼は、生きる意味を求めて彷徨う
うちにこの街へと辿り着いたのだった。
ロレンシオは度重なる戦争や民族闘争、
軍による弾圧によって市井の人々が抱え
る悲哀や憤り、孤独といった感情に寄り
添うような詩を紡いでいる。その詩は新
聞社の編集者の目に留まり、Caminoの
仲間達もまた、ロレンシオの素性を深く
知らないながらも彼の詩に心揺さぶられ
ていた。
 ある夜、ロレンシオは何者かに襲われ、
軍の大佐でもあるアルバレス侯爵(鳳月
杏、二役)の館に連れて行かれる。アル
バレス侯爵の秘書官ゴメス(輝月ゆうま)
と執事アロンソ(蓮つかさ)の目的は、
侯爵と瓜二つのロレンシオを、怪我をし
た侯爵の替え玉とすることだった。偽の
身分証を所持していたことで脅されたロ
レンシオは、ELPIDIOというペンネーム
で新聞社へ詩を投稿し続けることを条件
に身代わりを引き受ける。
 軍人としての立居振る舞いや剣術をは
じめ、侯爵の話し方や癖を習得していく
ロレンシオ。彼は、侯爵を知り尽くして
いるゴメス達も驚くほど巧妙に侯爵にな
りすますが、侯爵の妻パトリシア(彩み
ちる)には偽物だと見破られてしまう。
そもそも名家の出身で教養深いパトリシ
アは、成り上がり者で居丈高な侯爵とは
反りが合わず離婚協議中だった。女性の
地位向上や恵まれない子供たちへの教育
の重要さを熱心に語るパトリシアと、ロ
レンシオは意気投合し、次第に惹かれ合
うようになる。
 パトリシアの協力も得て偽侯爵の芝居
を続けるうちに、自らの果たすべきこと
が明確になっていくロレンシオ。巷では、
ELPIDIOの詩に触発された人々が“希望”
を胸に行動を始めていく。ロレンシオは、
スペインが抱える問題を如何に解決して
いくのか、そして、彼の本当の名に込め
られた意味を見出すことができるのかー。
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ストーリーだけを読むと、何か重そうな
話ですが、結構、軽妙にテンポ良く物語
は展開していきます。
特に、ロレンシオ(鳳月杏さん)に侯爵
家の秘書官のゴメス(輝月ゆうまさん)
と執事のアロンソ(蓮つかささん)が本
物の侯爵の声の出し方や振舞い方を教え
る場面ややって来るはずのない妻のパト
リシア(彩みちるさん)がやってきて大
慌てするところは、コメディタッチで大
爆笑です。


ただ、スペインの植民地の貧困だったり、
女性の人権問題、反戦、主人公の自分探
しなども物語の根底をなしていて、単な
る面白かったで終わる作品にはなってい
ない、という所も素晴らしいと思います。


演出・振り付けは、謝珠栄氏。(但し、
フラメンコ振り付けは蘭このみ氏)
この間観た『ブラック・ジャック』の振
り付けは古臭さを感じて、イマイチでし
たが、今回の振り付けは良かったです。
やっぱり、『ブラック・ジャック』の方
は初演時の振り付けを踏襲したのでしょ
う。
この辺は、難しところだと思います。
初演を観劇している人から見れば、振り
付けを変えるというのは、許しがたいこ
とでしょうし、初めて観る人にとっては、
何だこれは、になるでしょうし……。
(厄介だな、宝塚ファン(小声で))


さて、プロローグは、カッコいいフラメ
ンコで始まります。冒頭がいいと、作品
に入り込みやすくなります。


そして、場面は、酒場Caminoに変わりま
す。基本、この酒場の場面と侯爵邸の場
面が交互に出てきます。庶民の酒場と貴
族の邸を交互に上手く場面転換すること
によって、物語がテンポ良く進んでいき
ますし、この作品の描く時代のスペイン
の格差の問題を観客は知ることになりま
す。
ちなみに、酒場Caminoは、今にも潰れ
そうであり、主人(千海華蘭さん)は、
それを嘆いています。


そして、酒場の中にはスペインの各地か
ら集まった民衆が楽しそうに騒ぎながら、
スペインの現状、その経緯などを語りま
す。ですので、この作品の当時のスペイ
ンの状況が良く分かって、とっても親切
です。


鳳月杏さんの一人二役。
侯爵に成り済ますのですから、声も態度
も変えるのですが、当て書きとはいえ、
さすがに上手いです。しかも、侯爵にな
った時がいかにも偽侯爵という……。
しかも、スペインの植民地での暗い思い
出を抱え、名前を変えながらも希望を見
出そうとするロレンシオ。こういう陰の
ある役を演じると、さすがに鳳月杏さん
見事です。
そして、侯爵家の秘書官のゴメス役の輝
月ゆうまさんと執事のアロンソ役の蓮つ
かささんとのユーモラスな掛け合い。
最初は、無理矢理ロレンシオを拉致して、
悪役かと思ったのですが、本当は、いい
人達。
この三人の息がぴったり合っていて、さ
すがだな、と思いました。


ストーリーにある「ロレンシオは、スペ
インが抱える問題を如何に解決していく
のか」という部分は、どうするのか、と
思っていたのですが、成程、侯爵であれ
ば、貴族の中でも一番高い地位にあって、
国王とも謁見できるし、意見を具申する
事も出来て、自分(本当はアルバレス侯
爵)の身に起きる事件を逆手に取って、
スペインの窮地を救うこともできる、と
いう訳です。


そして、ヒロイン役の彩みちるさん。
侯爵夫人という役どころが今回、ぴった
りでした。
そして、侯爵が偽物であることを見抜い
てしまいます。
それは、侯爵が右利きであるにも拘わら
ず、癇癪を起して、グラスを叩き割る時
には左手を使うから。
それよりも前に、ロレンシオに会った時
に、眼の奥に侯爵にはない優しさを感じ
たから。この部分は、ちょっといいです
ね。
互いの生き方、考え方に共感して二人は
惹かれ合って、遂に……。
ロレンシオとパトリシアの恋愛関係が、
観ていて、とても素敵でした。


最後に、両親を亡くし、ロレンシオを兄
貴と慕うセシリオ役の彩海せらさん。
この作品で重要な役割を担っていて、今
回、2番手です。
ビジュアルもいいし、歌も上手いし、演
技力もあるし。
ダンスは、ショーがなかったので、よく
分かりませんが、他の方の評価を見ると
結構踊れるみたいですね。
雪組からの組替えで、今後の月組での活
躍が期待されます。


最後の場面は、1年後の酒場Camino。
ハッピーエンドで終わります。
そして、ロレンシオの本名は……、サ
ブタイトルに付いています。
ELPIDIOは、スペイン語で「希望」。


そして、フィナーレの男役の扇子を持っ
ての群舞。
扇子を広げる時、バシッと音がして、思
わず格好いい~!!!と思ってしまいま
した。