妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

星組公演『ディミトリ』登場人物別感想①(ディミトリ②)

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


大変長らくお待たせいたしました。
ディミトリ①の続きです。


前回は、タマラ王女誕生の場面で終わり
ましたので、そこからの続きになります。


いよいよ、ジャラルッディーン( 瀬央ゆ
りあ)の登場です。


モンゴル軍は、ジョージア王国から立ち
去っていきますが、そのモンゴルに侵略
され、国土を失った亡国ホラズムの帝王
ジャラルッディーンがモンゴルに対抗す
る拠点として、国土豊かな国ジョージア
王国を手に入れようと襲来してきます。
一難去ってまた一難というところでしょ
うか?


できれば、戦わずしてジョージア王国を
手に入れようとしたジャラルッディーン
は、ジョージア王国の女王ルスダン(舞
空瞳) に対して求婚を申し入れます。


ところで、またまた余談ですが、不思議
に思うのですが、ジャラルッディーンは
イスラム教徒です。ルスダンはキリスト
教徒です。
当時、イスラム教徒とキリスト教徒は、
聖地エルサレムを巡って争っている最中、
つまり、敵対関係にあります。
そのイスラム教徒の帝王がキリスト教徒
の女王と結婚しようとするのは、問題な
かったのでしょうか?
なお、ディミトリ(礼真琴) は、人質と
してジョージア王国に来る時にキリスト
教徒に改宗していまし、その時は、王子
であって国王ではありません。


ディミトリという最愛の男性を夫に持つ
女王ルスダンは、烈火のごとく怒って、
ジャラルッディーンの申し入れを拒否し
ます。それは、ジョージアがホラズムと
戦うことを意味します。


「敵を知り己を知れば百戦危うからず」
という孫子の言葉がありますが、この時
ジョージア王国の家臣達は、ホラズム軍
の戦力をどれほど理解していたのでしょ
うか?

どうも、モンゴル軍との戦いでもそうで
したが、このジョージア王国の家臣達に
は、戦う相手に対する情報が不足してい
たようです。
でなければ、このような無謀な戦いは、
始めなかったでしょう。

ところで、またまたまたの余談ですが、
原作の巻末の解説に「12,3世紀のジ
ョージアは、国が栄えたからこそ油断し
た面もあったのでしょうね。例えばルス
ダンのお兄さんであるギオルギ4世はす
ばらしい王で多方面に活躍した方ですが、
ちょっと油断してしまった結果、モンゴ
ルとの戦いで命を落としてしまったのは
間違いないですよね。例えば1222年、
モンゴル軍がジョージアに初めて侵入し
た時、その数は1万人程度だったと言わ
れていますが、ギオルギ4世はそれがモ
ンゴル軍の本体だと勘違いしていました。
彼はモンゴルと何回か戦って、その軍勢
が北の方に行ったので、これで追い払っ
たものだと思い込んでしまいました。こ
れはなぜかというと、正しい情報が入っ
てこなかったからです。なぜ情報が入っ
てこなかったかというと、せっかく建設
王ダヴィド4世が作った諜報機関「ムト
ヴァリ」があったのに、ギオルギ4世が
廃止してしまったからです。色々なとこ
ろを旅して情報を集めて持ってくる。今
でいうCIAみたいな機関があったのです
よ。この諜報機関を不要だと判断し、本
当のモンゴル勢の脅威を知ることができ
ませんでした。」と書かれています。
この諜報機関があれば、ホラズム軍との
戦いにももっと慎重になれたのではない
か、と思われます。
やっぱり、ちゃんとした情報の収集って
大事だよね、ということですね。


さて、ホラズム軍の猛攻により、ジョー
ジア軍は壊滅状態に陥ります。
これを見たディミトリの父親エルズルム
公(大輝真琴)は、ルスダンに両国の同
盟を解消し、ディミトリを祖国に戻すよ
うにと迫ります。ルスダンはこれを拒絶
し、ディミトリも今更祖国に戻る気はな
く、ジョージア王国に残ることを決意し
ます。


ところで、このホラズム軍との戦いに、
王配であるディミトリは参戦していませ
ん。
やはり、元イスラム教徒であったディミ
トリが同じイスラム教国であるホラズム
側に寝返ることをジョージア王国の家臣
達が警戒したのでしょう。
したがって、このディミトリはなかなか
作品上、主人公にしづらい立場にありま
す。


そんなある日、ディミトリはエルズルム
公の間者である庭師(朝水りょう)から
祖国へ戻るようにと話しかけられます。
ディミトリは、これを拒否しますが、そ
の姿は、副宰相アヴァク・ザカリアン
(暁千星)によって目撃されてしまいま
す。


で、次の場面は、ディミトリが登場しな
いので、飛ばします。


ディミトリの脳裏に愛し合っていたのに
別れることになった先王ギオルギ(綺城
ひか理)とバテシバ(有沙瞳)の姿が浮
かびます。
そして、ディミトリは、ある重大な決意
を固めます。
ルスダンと王女タマラ、そしてジョージ
ア王国をホラズムとの戦いから守ろため
には、ルスダンと離婚しても構わないと。
ところが、これが裏目に出ます。


そして、その仲介をルーム・セルジュー
クに依頼するために、ディミトリは、エ
ルズルム公の間者と会うのですが、副宰
相に動向を探られていて、その姿をルス
ダンに見つかってしまいます。
そして、「そのためにはルスダンと離婚
しても構わないと思っている」という言
葉も。


ディミトリに裏切られたと勘違いしたル
スダンは、これも副宰相に唆された白人
奴隷のミヘイル(極美慎)と浮気してし
まいます。


ミハイルは、ディミトリに斬り殺されま
すが、ルスダンは、ディミトリの裏切行
為を責めます。
不倫とこれとは、違うと思うんですけど
ね。
ディミトリは、弁解の機会も与えられな
いまま、古城に幽閉されてしまいます。
だから、ダメなんだよね。この女王は。


さて、長くなったので、ディミトリ③へ
続きます。
前回①の記事です。(↓)