妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

そんなにつまらない作品なのか?雪組公演『ライラックの夢路』。ーこの言葉に納得!!

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


さて、相変わらず、評価の低い雪組公演
『ライラックの夢路』。


私自身は、それほどつまらない作品でも
ないし、『カジノ・ロワイヤル』に比べ
れば、それほど、ツッコミどころもない
作品だと思っているのですが、この言葉
には納得してしまいました。


「歌劇」6月号の211ページ「高声低声」
のコーナーです。


こう書いてあります。
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今日が宝塚初観劇だというご婦人に感想
をうかがったところ、タカラジェンヌの
美しさを称える言葉と共に「……お話が
難しくてね」
という答えが返ってきた。
(太字筆者)
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思わず、納得してしまいました。


確かに、仰る通りです。


観ていて、出て来る言葉は、「鉄」「鉄
道」「融資」「株式」「関税同盟」「ユ
ンカー」「鋳造」「錬鉄」「圧延」、さ
らには、「ファウスト」の「魔女」。


しかも、当時のドイツの状況が分からな
いと、多分、余り理解できないのではな
いかと。


こうなった経緯は、「歌劇」5月号の座
談会に出てきます。
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謝珠栄
 今回はどういった作品にしようかなと
考えていた時に、ウィーンに行く飛行機
の中でたまたま鴋澤歩先生が書かれた
「鉄道のドイツ史」という本を読んで、
鉄道が現在のドイツの産業を育てたとい
うことを知ったんです。ドイツは硬い国
ではあるけれども、一般の方まで哲学的
な考え方をされていて、そんなドイツの
国の人々を、鉄道を題材として探ってみ
たら面白く見せられるだろうと思いまし
た。
これは後日談になるのですが、小林
一三先生の生誕150周年であること、ちょ
うど初舞台生ということもあって、なお
いいのではないかなと。さきちゃん(彩
風)演じる主人公ハインドリヒと小林一
三先生を重ね合わせられるように、何も
ないところにどうして鉄道を引こうと考
えたのかというところを追求していくお
話にできたらと思っています。
(下線筆者)
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つまり、大阪大学大学院経済学研究科教
授の鴋澤歩氏の著作「鉄道のドイツ史」
を謝珠栄氏が読んだのがきっかけで、こ
の作品が出来たということで、話が難し
くなるのは、当然だと思います。


「鉄道のドイツ史」は、中公新書から出
版されていて、内容は、
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1815年、大小さまざまな主権国家の集合
体・ドイツ連邦が誕生。以降、ドイツは
帝国、共和国、ナチス、東西分裂、そし
て統一へと、複雑な軌道を疾走した。同
時代に誕生した鉄道という近代技術を担
った人びとと、その組織からドイツを論
じる。統一国家の形成や二度の世界大戦
などの激動に、鉄路はいかなる役割を果
たしたのか。「富と速度」(ゲーテ)の国
民経済を模索した苦闘とともに、「欧州
の盟主」の実像を描き出す。
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というもの。


この「鉄道のドイツ史」をベースにして、
鉄道建設の話を宝塚作品にしたら、「面
白く見せられるだろう」という感覚がそ
もそもおかしい。


「……お話が難しくてね」という感想は、
たった一言で、この作品の核心を突いて
いると思います。


逆に、上に掲げた用語と当時のドイツの
事情が理解できれば、それなりに楽しめ
る作品なんだろうと思われます。


確かにツッコミどころはありますが、そ
れは他の宝塚作品も同じこと。『カジノ
・ロワイヤル』なんかツッコミどころが
あり過ぎて、なんで、そこに都合よく脱
出用パラシュート(しかも二人乗り)?
なんて思ったりの連続ですよね。


万人受けしない物語、さらには宝塚ファ
ンが求めるような物語でもないというの
が、この作品の最大の欠点なのでしょう。


ポスター画像を見て期待していただけに、
残念です。雪組生は、皆、頑張っている
のにね。