妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

あの衣装の元凶は御園座にあり!!星組公演『王家に捧ぐ歌』ライブ中継を観てきました。

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


昨日は、星組公演『王家に捧ぐ歌』のライブ中継
を観に、いつもとは違う映画館に行ってきました。


いつもと違う映画館になったのは、愛知県はいつ
もは、宝塚のライブ中継は2カ所の映画館でやるの
が、今回1カ所になってしまい、いつも行く映画館
ではライブ中継をやらないことになってしまったか
ら。


映画館数が減ってしまい、ライブ中継といえどもチ
ケットが当たるかどうか心配でしたが、無事当選し、
観ることが出来ました。良かった~。


今回観たスクリーンは、そこの映画館でも一番客席
数の多いスクリーンで、319席。いつも行く映画館
は、121席。客席数に大分差がありました。
いつもこの大きなスクリーンでやっていて、必ず当
選するということならここの方が近くていいのです
けどね。


そもそも、この公演は、カード会社の貸切公演のチケ
ットだけがかろうじて当選していて、そのチケットで
観劇する予定だったのですが、丁度、その貸切公演ま
での公演が休演になってしまい、生で観劇することが
出来なくなってしまいました。
何故か、その貸切公演(マチネ)までが休演で、その
日のソワレから公演開始。


さて、本題に入ります。


宝塚歌劇の『王家に捧ぐ歌』、初めて観ました。
前回の宙組公演を観ることはできたのですが、その前
に、劇団四季の『アイーダ』を観劇していて、あのラ
ストの生き埋めになる場面が、閉所恐怖症の私には嫌
で、結局、観劇を止めてしまいました。(今思えば、
観ておけば良かった)


で、感想ですが、もう多くの人が書き尽くしているの
で、簡単にしますが、


礼真琴さんの歌、素晴らしいです。
単に歌が上手いという域を超えているように思われま
す。
天性のものなのか鍛錬によるものなのか分かりません
が、他の人の歌とは違うという感じがします。
無理に歌っているという箇所がなく、自然と声が出て
いる感じがして聴いてて安心感があります。


次に、舞空瞳さんと有沙瞳さんの歌。


2003年の星組公演(湖月わたるさん主演)では、アイ
ーダを安蘭けいさん、アムネリスを檀れいさんが演じ
ています。
2015年の宙組公演(朝夏まなとさん主演)では、アイ
ーダを実咲凜音さん、アムネリスを伶美うららさんが
演じています。


アイーダがヒロインですので、トップ娘役が演じるの
が普通だと思うのですが、2003年の星組公演ではそう
なっていません。(しかも男役がアイーダ)


アイーダが歌重視、アムネリスがビジュアル重視による
ものだと思われます。


今回の星組公演のキャスト発表で、アムネリス役が有沙
瞳さんと決まった時には、適役だと思ったのですが、実
際に舞台を観ると、アイーダとアムネリスの二人が同じ
場面で歌います。


ビジュアル面も歌もヒロインのアイーダよりもアムネリ
スの方が上だと感じました。
これは、明らかにミスキャストです。


そもそも、礼真琴さんの相手役に舞空瞳さんを選んだの
が失敗だったと思われます。(その影響が花組にまで及
んでいますが、この件については別途)
まあ、これでトップ2人の退団の時までやるしかしょうが
ないですかね。


極美慎さんのアイーダの兄のウバルド役は適役。
『ロミオとジュリエット』のマーキューシオ役、『柳生
忍法帖』の香炉銀四郎役と、ちょっと危険な香りのする
役が良く似合います。


次に例の衣裳。


公演プログラムに掲載の演出の木村信司先生のコメント
を読んで理由が分かりました。
元凶は、御園座にあったのです!!!
コメントを少々長いですが、引用します。


「オペラ「アイーダ」を原作とする作品「王家に捧ぐ歌」
が御園座で上演されると決まったとき、困ったな、と思
ったのは初演・再演の舞台装置そのままでは、もしかし
たら劇場に収まらないかもしれないということです。
困ったなあ、と一瞬だけ思い、次の瞬間にはワクワクし
てしまいました。
 だったら、新しくしようっと。御園座バージョン。名
古屋・御園座初演。
 この劇場のために、特別にデザインされた作品。オンリ
ーワン創造劇場にて。
 そう思ったら、その新しい舞台装置で、生徒に旧演の衣
装を着てもらう気持ちが失せました。というより、次から
次へとアイデアが浮かぶのです。
 たとえば米軍のM65を基調とした衣装に身を包んだラダ
メスが、エジプトの大地を駆け抜ける。真っ白な。よりモ
ダンな。手にはエジプト古来の、青銅の剣。
 傍らにはアイーダ。ソウルシンガーのような。」


ということで、あの衣裳になりました~!!


したがって、御園座公演でなかったら旧来の衣裳でやって
いたと思われます。


御園座は、まだ、2018年に旧劇場を取り壊して新築したば
かり。
それが、この体たらくでは、先が思いやられます。
公演の御園座とばし(名古屋とばし)になるのが心配です。


なお、私は、あの衣裳で何の違和感も感じなかったのです
が、映画館で、前の席の2人が衣裳にこだわていました。
ファンとしては、星組の皆さんに前回の豪華な衣裳を着て
欲しかったのでしょうね。


なお、時代考証云々と言っている人がいますが、そもそも、
オペラ『アイーダ』が完全なフィクション。
古代エジプト王国の時代に「エチオピア」という国は存在
せず、したがって、エジプトとエチオピアが戦争したとい
う史実はありません。
さらに、「ファラオ時代のエジプト人は、壁画などから見
るにネグロイドが中心だったようである。」とされていま
すので、肌の色は黒かったと思われます。
舞台では、エチオピア人だけが黒い肌です。
どっちにしても、フィクションであるからには、あまり時代
考証云々というのもおかしな話だと思います。


むしろ疑問に思ったのは、衣裳よりもストーリーです。
よくあのストーリーで再演してきたと思います。
ちょっと話に無理があります。


捕虜であるはずのエチオピア王(一応、狂人の真似をしてい
ますが)、奴隷のはずのアイーダ、剣を持ったアイーダの兄
と2人のエチオピアの家臣がエジプトの石壁内(?)を自由に
うろついています。
しかも、石壁内といえ、ファラオは王族だけの儀式のため護
衛の戦士を遠ざけるという愚挙を行ないます。
さらに、王と王女がエジプトに囚われているのに、ファラオ
を暗殺しようとするのですが、王と王女を人質にされては、
エチオピア軍は、手も足もでないでしょう。
ファラオを暗殺したのちにアイーダの兄(エチオピア王子=
エチオピア王国の後継者)が自決してどうする?
といった具合です。


元のオペラ『アイーダ』のストーリーは次のとおりです。


第3幕
「次のエジプト軍の動きを探ろうとするアモナズロ(この時
点でエチオピア王だとは知られていません)は、司令官ラダ
メスからそれを聞き出すようにアイーダに命じる。アイーダ
は迷いつつもラダメスにともにエジプトを離れることを望み、
ラダメスも応じる。だが、アイーダが逃げ道を聞くので、ラ
ダメスは最高機密であるエジプト軍の行軍経路を口にしてしま
う。アモナズロは欣喜雀躍して登場、アモナズロは自身がエチ
オピアの王であることを明かし、ラダメスは祖国を裏切ったこ
とに気付き後悔します。
そこにアムネリスとラムフィス、祭司たちが登場、アモナズロ
とアイーダ父娘は逃亡するが、ラダメスは自らの意思でそこに
留まり、「祭司殿、私の身はあなたに!」と言って捕縛される。」


どうでしょうか?原作のストーリーの方がまだ納得できます。


なお、劇団四季の『アイーダ』のあらすじも載せておきます。


「ヌビアの王女アイーダは、攻め入ったエジプトの将軍ラダメス
に捕らえられてしまった。
誰もアイーダが王女であるとは気づかない。
ラダメスは、勇気に溢れたアイーダに惹かれ、エジプトの王女ア
ムネリスの貢物にすることにした。
王女アムネリスもまた、アイーダが気に入り、奴隷ではなく友人
として扱った。
ラダメスと王女アムネリスは、許婚だった。
ラダメスの父ゾーザーは、国王を毒殺し、いち早く実権を握ろう
と画策していた。
ラダメスは、いつしかアイーダを愛するようになり、アイーダに
今までの行いを詫び、すべてのものをヌビアの奴隷たちに与えた。
そして、アイーダもラダメスを愛した。
ついにアイーダの父であり、ヌビア国王であるアモナスロが、捕
らえられた。
アイーダと父アモナスロが逃げ出すチャンスは一度。
城内の警備が薄くなるラダメスとアムネリスの結婚式だけだ。
アイーダは、ラダメスに「愛しているが、結婚できない。あなたは
アムネリスと結婚するべきだ。」と告げる。
二人の会話を聞いている人がいた・・・・・・王女アムネリス。
ラダメスと王女アムネリスの結婚式が終わると同時に、ヌビア王脱
走のニュースが飛び込んだ。
ラダメスが桟橋に駆けつけたとき、アイーダだけが再び捕らえられ
てしまった。
父が静止するのも聞かずに、ラダメスはアムネリスではなくアイー
ダを選んだ。
ゾーザーの国王への裏切りが発覚し逮捕。
ラダメスとアイーダも、国と王女への裏切りで逮捕された。
判決は生き埋めによる死刑。
しかし、王女アムネリスは、せめて二人がいっしょに処刑され、永
遠にいっしょに眠れるように懇願した。
「何百回生まれ変わっても君を見つけ出すよ。」
4000年後、古代エジプトの遺跡を展示する博物館の中で、男と女が
出会った。」


ストーリーはともかく、宝塚の『王家に捧ぐ歌』の作品のテーマ「この
世に平和を」と楽曲はいいと思います。
今度再演するなら、衣裳ではなく、ストーリーの方を見直して欲しいと
思います。