妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

雪組公演『蒼穹の昴』キャスト別感想①

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


昨日は、宝塚大劇場雪組公演『蒼穹の昴』
の2回目の観劇に行ってきました。


で、今回は、キャスト別の感想の1回目で
す。
なお、私も浅田次郎氏の原作の文庫本を全
巻読んだ上で、舞台を観たのですが、原作
と比べながら話をすると、原作を読んでい
ない方には、余計に分かりづらくなるよう
に思いますので、今回は、原作にはできる
だけ触れず、宝塚の舞台を観た限りでの感
想としたいと思います。
なお、記憶違いがあるかも知れませんが、
その点はご容赦ください。


最初は、彩風咲奈さん演じる主人公の梁文
秀。
彩風咲奈さん、ようやく、まともな役に巡
り会うことができました。
本公演1作目は、『CITY HUNTER』で、
女の子のお尻を触りまくっているセクハラ
男の冴羽獠役。
2作目は、小田原弁丸出しで、日本一のお
人好しの『夢介千両みやげ』の夢介役。
どちらも彩風咲奈さんの人気を下げようと
しているとしか見えない役でした。


今回の『蒼穹の昴の』の梁文秀は違います。
超難関な清の科挙の試験に首席で合格する
という秀才中の秀才の役です。
また、美男子であるために、宮中の女官に
もモテモテです。
科挙に合格した進士であるために、皇帝に
仕えることを第一としますが、清国の民の
ためにも尽くそうとします。
故郷の梁家屯では、父親と兄を亡くし、母
親と三人で極貧の生活を送る少年の李春児
(朝美絢)やその妹の李玲玲(朝月希和)
に対しては、本当の弟や妹のように優しく
接します。


列強の脅威にさらされる中、皇帝と清国の
民を守ろうとして、日本の明治維新を手本
に改革を推進しようとする梁文秀達ですが、
その思いと裏腹に次第に困難に直面してい
きます。
師と仰ぐ楊喜楨(夏美よう)が 西太后(一
樹千尋)を擁する栄禄(悠真倫)一派に暗
殺されたあたりから、運命の歯車が狂いだ
します。
最後に頼みとした袁世凱(真那春人)も栄
禄の側に付き、万策尽き、夢破れた梁文秀
は、仲間達と運命を共にしようとします。
しかし、日本公使館で出会った伊藤博文
(汝鳥伶)に説得された梁文秀には難しい
方の道=生き残って祖国のために尽くす道
を選びます。


李春児や李玲玲ら貧しい暮らしをしている
人々のことを思う優しさを持ちながらも、
皇帝のために尽くす進士としての凛とした
佇まいをみせるそんな梁文秀の人物像に、
今回の彩風咲奈さんが見事にピタリと嵌ま
りました。
主題歌の「昴よ」を歌う彩風咲奈さんの歌
も素晴らしいです。
彩風咲奈さんの代表作になるのでは、とい
う気がします。


この『蒼穹の昴』で退団することになった、
朝月希和さん。
李玲玲の少女時代から梁文秀と共に日本へ
向かうというラストシーンまでをすべてを
演じています。
少女時代は、他の人が演じるのかな、と思
っていましたが、それでは朝月希和さんの
登場場面が少なくなってしまいます。
少女時代は、母親と兄の李春児の三人の貧
しい生活をしているため、身なりも貧しい
格好をしていますが、これは仕方がないで
しょう。


科挙に合格した梁文秀が故郷に戻り、玲玲
に出会うと、母親は死んでおり、兄の春児
は宦官になるために都に出たっきりで戻っ
てきません。そんな境遇で健気に生きる玲
玲を伴い、文秀は都へ戻ります。


都の文秀の邸で家事を任されていた玲玲は、
ある日、文秀の同志康有為(奏乃はると)
からの手紙を託されてやってきた譚嗣同
(諏訪さき)と出会います。
玲玲の優しさに触れ、心惹かれた譚嗣同は、
玲玲に結婚を申し込みます。
一瞬だけ玲玲に訪れた幸せな時間。しかし、
それは長くは続きませんでした。


譚嗣同たちの革命が失敗に終わり、梁文秀
は、梁文秀とは反対に易き道=捕らえられ
て処刑されることを選びます。
その譚嗣同の処刑の場に立ち会う玲玲。
思わず、玲玲が譚嗣同の名を呼ぶと、譚嗣
同はニコリとして処刑されていきます。


最後に梁文秀と共に日本に向けて旅立つ船
の上で、玲玲は、文秀に向かって今まで泣
くまいと堪えていた涙を流し、文秀は玲玲
をそっと抱きます。


この作品で、玲玲はヒロインではありませ
んが、ヒロイン以上の輝きをもって玲玲は
描かれています。
その玲玲の優しさと真っ直ぐな生き方、そ
してその芯の強さを演じた朝月希和さん。
退団作に相応しい役になりました。


そして、梁文秀と李玲玲は、日本へ船で旅
立つのですが、その後、二人はどうなるの
でしょうか?
どうなるんでしょうね?
それは、この作品では、観客の手に委ねら
れています。


この二人の関係を象徴する部分は、ほとん
ど削除されてしまっています。
残されたのは、白太太(京三紗)のこの言
葉だけ。
「二人は不思議な糸で結ばれている」


長くなったので、李春児(朝美絢)ほかの
キャスト別感想は②で。