妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

花組 全国ツアー公演『フィレンツェに燃える』ライブ中継を観て(感想②)ーパメラとアンジェラ

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


今回は、パメラ・クレメンティーナ公爵夫
人とアンジェラについての感想です。
(登場人物についての感想で出演者につい
ての感想ではありません)


まず、パメラ・クレメンティーナ公爵夫人
です。
この作品の中で、その本質が一番、分かり
にくい人物だと思います。
元酒場の歌姫で、親子ほど歳の離れたクレ
メンティーナ公爵の四度目の妻と聞くと、
普通は財産目当ての結婚としか思われませ
ん。であれば、かなりしたたかな女性であ
るということになります。
当然、他の貴族からは成り上がり者と蔑視
されることになります。それは、ヴェロー
ナでも同じだったでしょう。
しかも、ヴェローナでは、公爵暗殺の噂も
広まっていたのだろうと思われます。
だから、アントニオがパメラの眼を「血の
吹きそうな眼」だと思ったのでしょう。
それは、裁判で死刑を宣告される被告が無
実を主張する時と同じ眼だと。


そんなパメラが貴族でノーブルで品行方正
な、悪く言えば、世間知らずのお坊ちゃん
のアントニオの純粋な優しさに触れて心惹
かれていきます。


パメラは、二つの姿を持っているように見
えます。
純粋な心を持つ女性としての姿とファム・
ファタルのような魔性の女としての姿と。


パメラは、レオナルドに説得されてアント
ニオを諦めますが、結局、パメラが最後に
愛していたのは、アントニオなのかレオナ
ルドなのか?疑問は残されたままです。


おそらく、パメラにとって「理想」の男性
を体現しているのがアントニオであって、
「現実」の男性を体現しているのがレオナ
ルドだったのでしょう。
で、パメラは「理想」の方を諦め、「現実」
の方を選択した、ということのように感じ
ました。


次は、アンジェラについてです。
何か観ていて、そのひたむきさが可哀そう
になるような女性です。
パメラがアントニオを振ったその受け皿的
存在です。


まあ、アンジェラは、許婚のレナート・バ
リアーノ伯爵がいるにも関わらず、アント
ニオの許へ行こうとするのですが……。こ
の設定、必要だったのでしょうか?


結局は、アントニオはパメラを諦め、アン
ジェラを選択するのですが、本当に、アン
トニオは、パメラへの想いを断ち切れたの
でしょうか?
その部分が最後に描かれないまま、話が終
わってしまったので、おや、どうなった?
ってことになります。


この二人はこの後、果たして本当に幸せに
なれるのだろうか?という疑問が残ります。


パメラに比べてアンジェラの描き方が少し
雑に思えるのですが……。