妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

花組 全国ツアー公演『フィレンツェに燃える』ライブ中継を観て(感想③)ーオテロとマチルド

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


今回は、オテロとマチルドについての感想
です。
(登場人物についての感想で出演者につい
ての感想ではありません)


まず、オテロ・ダミーゴです。
この作品のほぼ、唯一の敵役がオテロです。
クレメンティーナ公爵の死に夫人のパメラ
が関係しているのでは、つまり、暗殺した
のではないか、と疑念を抱くパメラの元恋
人で憲兵隊将校です。
パメラを追ってヴェローナからフィレンツ
ェにやってきたのですが、パメラにまだ、
未練がある様子。
なお、本来の職務は、貴族の間にもイタリ
ア統一運動に賛同する者が増えていること
に危機感を抱いた憲兵隊として、バルタザ
ール家の様子を偵察すること。
この二つが混じりあうからややこしい。


結局、パメラに邪な想いを抱くオテロが、
パメラを連れ去ろうとしたところへレオナ
ルドが現れ、双方、剣を抜いての決闘にな
ります。
レオナルドが勝って、オテロが死ぬ間際に
懐から取り出した鉄砲を撃つのですが、レ
オナルドには当たらず、流れ弾がパメラに
当たり、パメラはレオナルドの腕の中で死
んでしまいます。


と書けば、別に普通の悲劇ですが、そもそ
も、オテロは鉄砲を持っていたのに、何で
レオナルドと剣で戦ったのか、が疑問です。
ただ、その場面が見せたかったから?
だったら、鉄砲はいらないでしょう。


しかも、鉄砲をオテロが撃ってからパメラ
が倒れるまで、ちょっと間があったような
気がします。
一瞬、何だ?どうなった?と思いました。
他に方法が、演出のやり方がなかったんで
しょうか?
せっかくのこの作品で一番いい場面がちょ
っと、という感じになりました。


もっと、欲を言えば、これがレオナルドで
なく、アントニオだったら?
話の流れからは、そうはいかないとは思い
ますが……。


幕を下ろさずに、カーニバルの群衆が通り
過ぎる中で、マチルドが捌け、オテロの遺
体も捌ける演出は、この作品の初演時には
斬新だったようですが、今の観客には?み
たいですね。


そんなオテロにも亡骸にすがって泣く愛人
がいたというのが、マチルドです。
ハッキリ言ってしまえば、いてもいなくて
もいいような存在ですが、初演は、大劇場
公演ですから、いろいろと役を追加した感
じの一人です。
しかも、おそらく、オテロを喪った哀しみ
を抱えて生きていくであろう、という不幸
な女性を……。


このマチルドの存在によって、作品に厚み
が増した、ってのは、どうなんだろう?
そのようにも思えるのですが、それなら、
もう少し出番が欲しかったような……。