妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

星組公演『ディミトリ』登場人物別感想②(ギオルギ、バテシバ)

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


今回は、物語の冒頭に登場するギオルギ
とバテシバについてです。


まず、綺城ひか理さん演じるギオルギで
す。
ギオルギは、瀬央ゆりあさんかな、と思
っていたのですが、瀬央さんは、ジャラ
ルッディーンでした。
ジャラルッディーンの方が2番手の役な
んでしょうね。


で、ギオルギ王ですが、ジョージア王国
にはギオルギ王が何人もいます。
このギオルギ王は、ギオルギ4世です。


ジョージア王国は、このギオルギとルス
ダンの母親であるタマラ女王の時代に最
盛期を迎えます。
その繁栄は、ギオルギ4世にも引き継が
れます。

原作の「登場人物一覧」には、ギオルギ
は、このように紹介されています。
「光輝王と異名されるジョージア王。少
年の頃から母タマラより共同統治者とし
て帝王学を直伝され、名君の誉れ高いが、
自由を愛し奔放な振る舞いが目立つ。」

最後の部分は、バテシバのことを含んで
いるのでしょう。

ギオルギは、モンゴルの襲来さえなけれ
ば、英明な君主としてその生涯を終えた
のかも知れません。

しかし、モンゴル軍との戦いで深手を負
って、わずか31歳でその生涯を閉じます。

ただ、このギオルギ王の生き様、その王
としての振る舞いは、後にディミトリに
大きな影響を与えることになります。

そんなギオルギにとって、ただ一つの心
の葛藤がバテシバの存在でした。そして、
遂に、バテシバと別れることを決心しま
す。ここの綺城ひか理さんの心の葛藤を
描く演技が見事です。

さて、ギオルギの遺言により、ルスダン
は女王となり、ディミトリと結婚するこ
とになります。
このルスダンの女王即位と異国人である
ディミトリとの結婚は家臣達から歓迎さ
れません。
まあ、ある意味、当然の反応だとは思い
ますが……。
ルスダンには、政治経験がなく、ディミ
トリは改宗したとはいえ、敵対するイス
ラム教徒だったのですから……。
むしろ、なんでこんな遺言をギオルギが
残したのかという方が不思議です。

で、そのギオルギが死んだ後もバテシバ
と一緒に登場します。
まあ、ディミトリの心の中に、というこ
とでしょうね。

綺城ひか理さんの歌がこんなに上手かっ
たっけ、と思うほど上手くなっています。
ギオルギ王役ですから、ディミトリの礼
真琴さんとも歌いますし、バテシバ役の
有沙瞳さんとも歌います。

さらに、ジョージアダンスは、礼真琴さ
ん、暁千星さんの両ダンサーと一緒に踊
ってみせてくれます。

綺城ひか理さんは、これが星組最後の公
演で花組に行ってしまうのはちょっと惜
しいですね。
まあ、元の花組でも活躍してくれるもの
とは思いますが……。

さて、次は、有沙瞳さん演じるバテシバ
です。


公演プログラムには、「ギオルギの妻。
地方の村の人妻だったが、ギオルギに見
初められ、宮廷に上がる。」と書かれて
います。
したがって、バテシバは、宮廷で歓迎は
されていなかったのだろうと思われます。

ルスダンもバテシバのことを嫌っていま
す。

原作では、ほとんど、登場しないバテシ
バですが、配役を見ると、なんと有沙瞳
さんが演じます。少しだけ出るという訳
にはいきません。

しかも、ほとんど、有沙瞳さんへの当て
書きになります。
どんなバテシバになるのか、と思ってい
たら、やはり、薄幸の女性という感じで
はなく、強く逞しく、ギオルギ王への愛
を貫く、という女性に描かれています。
「愛するギオルギを苦しめるのであれば、
例え王女であっても許さない」と。

このバテシバのギオルギに対する強い愛
が女王となったルスダンと王配ディミト
リが回りから認められないときに、男女
立場は逆ですが、ルスダンの心に蘇る事
になります。

ギオルギとバテシバの存在が、この物語
を最初に動かしていく重要な役割となり
ます。
その役割に応えた綺城ひか理さんと有沙
瞳さんの演技が素晴らしいと思います。