妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

星組公演『ディミトリ』登場人物別感想④(アヴァク・ザカリアン)

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


今回は、暁千星さん演じるアヴァク・ザ
カリアンです。


ジャラルッディーン(瀬央ゆりあ)がそ
れほど敵役に描かれていないので、この
作品で唯一の敵役といっていいでしょう。
原作では、必ずしも、アヴァク・ザカリ
アンが言った、あるいは、やったことで
はないことも、アヴァク・ザカリアンが
言った、あるいは、やったという演出に
なっているので、余計、アヴァク・ザカ
リアンが敵役、という感じが増していま
す。
さらに、そのやり方が陰湿で、まあ、暁
千星さんが憎まれ役を一手に引き受けた
感じになっています。
それが結構似合っているという……。


一応、星組3番手(格)ですからね。
宝塚の作品では、悪役、敵役は、大抵、
2番手、3番手がやることになっています
から。


ギオルギ王(綺城ひか理 )への尊崇の念
があまりにも強すぎて、それがギオルギ
王にバテシバ(有沙瞳) と別れることを
迫りますし、ギオルギ王の死の責任をデ
ィミトリ(礼真琴)に負わせようとしま
す。


ギオルギ王がモンゴルとの戦いで深手を
負って、亡くなった後、ギオルギ王の遺
言に従って、ルスダン(舞空瞳)が女王
となり、ディミトリと結婚しますが、当
然、最もそれが気にくわなかったのが、
副宰相のアヴァク・ザカリアン。
王配であるディミトリを議会への出席か
ら排除しようとします。


で、「もう一つ種を蒔いておくか」と目
を付けたのが、白人奴隷のミヘイル(極
美慎)。
一方で、ディミトリの動向も配下に探ら
せ、ディミトリがルーム・セルジューク
の間者と通じていることを付きとめます。


ルスダンは、アヴァク・ザカリアンが仕
掛けた罠にまんまと嵌まって、ディミト
リを古城に幽閉することになります。
まあ、こんな罠に嵌まる方も嵌まる方だ
とは思いますが……。


最後の方のジャラルッディーンからの書
状(多分、ディミトリの死の報せ)をア
ヴァク・ザカリアンが読もうとするのを
ルスダンが押しとどめて、ディミトリが
戻ったら、議会に出席してもらおう、と
言う場面は、原作にない話ですし、余り
意味のない場面で、蛇足だと思います。


「歌劇」の座談会で、演出の生田大和氏
が「アヴァク・ザカリアンは面白い存在
で。原作で誰が言ったか分からない台詞
を繋げていった時にアヴァクが言ってい
るのではないかという部分が沢山あって、
国のために行動はしているけれど、アヴ
ァクにとっての仕える国の対象は狭く深
く、自分が認めた王であって、そのギオ
ルギの死により、恐らく居場所を見失っ
てあがいている最中なんです。」と言っ
ています。


まあ、演出家がそう言っているのですか
ら、そうなんでしょうね。