今晩は、壽々（じゅじゅ）です。

月組公演『グレート・ギャツビー』では、
ギャツビーの葬儀の場面で、原作にはな
い、デイジーが墓地にやってくるシーン
が追加されています。

原作では、墓地で立ち会うのは、ニック
とギャツビーの父親とふくろう氏の三人
だけで、デイジーはやってきません。

原作では、こう書かれています。
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……ただ、ディジーがことづてもよこさ
ず、花一つ送ってよこさなかったことが、
格別の憤懣も伴わずに思い浮かんだばか
りだった。
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ところが、宝塚の舞台では、デイジーは、
トムの青い車でやってきて、白いバラの
花を一輪、ギャツビーの墓穴に放り込み
ます。そして、無表情のまま、トムの車
に乗り込み、墓地を立ち去ります。

ある方は、この場面の感想をこう書いて
います。
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ネタバレになるのですが、今回の舞台で
納得できたのは、ラストの海乃デイジー
のギャツビーの墓への花のたむけ方です。
7月に観た時は、冷たい投げ捨てるよう
な姿に少し疑問が生じたのですが、今回
は冷たい表情を見せながらも、ギャツビ
ーへの思いが伝わってきました。
見る側の私が変わったのか？海乃さんの
演技がかわったのか、わかりませんが、
その変化が面白いなと思いました。
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私は、この方が7月に観た時の感想の方
が正しいのではないかと思います。
確かに、デイジーは、白いバラの花を1本
ギャツビーの墓穴に「投げ捨てた」のだ
と……。
私も映画館のライブ中継で観た時には、
そのように感じました。

この場面と対をなす場面があります。
ギャツビーがデイジーに白いバラの花束
を花束を差し出したときに、デイジーは
その中から、1本だけバラを受け取ります。
これは、デイジーがギャツビーからの想
いを受け取る場面です。
そして、墓地ではその1本の白いバラの
花をギャツビーに返しに来たのだと思い
ます。
そして、バラを墓穴に「投げ捨てる」こ
とによって、ギャツビーと、そしてギャ
ツビーとの想い出とも決別しようとした
のではないでしょうか？
それは、デイジーがこれから、自分自身
だけのために、あるいは自分自身と自分
の娘だけのために強く、したたかに生き
ることを決意したということではないか、
と思います。
私は、あの場面をそのように感じました。

デイジーがバラの花をそっと墓穴に投げ
入れていれば、そのようには感じなかっ
たでしょう。

小池修一郎氏の演出には、そのような意
図があったのではないかと思います。