妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

月組公演『応天の門』で、海乃美月さんはヒロインではない?

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


月組公演『応天の門』の主な配役が発表さ
れて、海乃美月さんが昭姫役だというのに
は、少しガッカリしました。


現在、上演中の雪組公演『蒼穹の昴』で退
団する朝月希和さんがヒロイン役でない、
とのブログの記事を多く見かけますが、李
玲玲は、舞台ではあまりヒロインという感
じではないかも知れませんが、原作上では、
立派にヒロインです。
白太太が梁文秀と李玲玲に向かっていう言
葉に「おぬしとあの小娘とはふしぎな糸で
結ばれておる。」「わしには赤い糸が見え
る」
というのがあります。
だからこそ、梁文秀と李玲玲は一緒に日本
に亡命することになります。


ところが、『応天の門』の原作では、主人
公の菅原道真と昭姫との間に恋愛関係はあ
りません。
バディという意見の方もみえますが、菅原
道真と在原業平がバディで、昭姫はその手
伝いはしますが、バディではありません。


昭姫は、「 都の遊技場を束ねる女主人。
唐からやって来た渡来人で唐物に詳しいた
め、唐物が関わる事件の際には道真が相談
に訪れる。以来、何かと頼りにされる。元
は、唐の後宮の女官であった。」という人
物で、原作漫画では私の推定で30代くらい
かと……。
一方の、菅原道真は、まだ、文章生(もん
じょうしょう)という学生で、18歳~23歳
(23歳で一つ上の文章得業生になっていま
す)。昭姫とは、おそらく10歳以上の歳の
開きがあります。
さらに、道真には島田宣来子という12歳の
許嫁がいますし、業平と違って、学問一筋
で、他の女には目もくれません。
という原作ですから、昭姫がヒロインとい
うのは無理でしょう。


ところで、この『応天の門』の演出家は、
田渕大輔氏です。
あの華優希さんの退団作であった花組公演
『アウグストゥス-尊厳ある者-』の演出
をしています。
この作品で、華優希さんの演じたポンペイ
アは、ヒロインではありませんでした。


また、宙組トップ娘役であった実咲凛音の
退団作であった『王妃の館』が田渕大輔氏
の大劇場デビュー作です。
原作は、『蒼穹の昴』と同じ浅田次郎氏で
す。


大劇場演出2作目が宙組公演『異人たちの
ルネサンス—ダ・ヴィンチが描いた記憶—』
で、後にも先にも私が初めて劇場で居眠り
をしてしまった作品です。(真風ファンに
は悪いですが、私は、真風さんの作品で一
番の駄作だと思っています)


『応天の門』は、田渕大輔氏の大劇場演出
4作目です。
ただ、過去作が過去作なだけに不安が拭え
ないというのが正直なところです。


田渕大輔氏は、トップ娘役をヒロインにし
ないということでは、花組公演『アウグス
トゥス-尊厳ある者-』で前科があります。
しかも、華優希さんの退団作で、です。


これで、海乃美月さんが『応天の門』で退
団すると、トップ娘役3人の退団作を手掛け
ることになるのですが、さすがにそれはど
うでしょうね。
もし、この作品で海乃美月さんが退団だと
すると、それは、ヒロインでない作品で退
団ということになり、ちょっと気の毒です。


原作は、面白いんですけどね。
演出がダメにしてしまう予感がして……。
どちらにしても、『応天の門』は、ヒロイ
ン不在の作品になりそうです。