妻が宝塚ファンで……。

ミュージカル観劇や日々の時事問題などについて綴ります。

月組公演『応天の門』について原作に基づいて紹介①ー藤原氏対反藤原氏の権力争い。

今晩は、壽々(じゅじゅ)です。


月組公演『応天の門』は、作品紹介にも
あるとおり、
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学問の神様と称される菅原道真と、平安
の色男・在原業平が手を携え、都で起こ
る怪事件を次々と解決していく様を描く
歴史サスペンス。2017年に文化庁メディ
ア芸術祭マンガ部門で新人賞を受賞する
など、歴史漫画として高い評価を得るこ
の作品を、宝塚歌劇ならではの演出で舞
台化致します。
藤原良房とその養嗣子・基経が朝廷の権
力を掌握しつつあった平安初期。京の都
では、月の子(ね)の日に「百鬼夜行」
が通りを闊歩し、その姿を見た者を取り
殺すという怪事件が頻発していた。幼き
頃から秀才との誉れ高き文章生・菅原道
真は、ひょんなことから知り合った検非
違使の長・在原業平にその才気を見込ま
れ、この怪事件の捜査に協力する事とな
る。唐渡りの品を扱う勝気な女店主・昭
姫(しょうき)らの協力の元、次第に事
件の真相に近付いてゆく道真。だが学問
の神様と称される菅原道真と、平安の色
男・在原業平が手を携え、都で起こる怪
事件を次々と解決していく様を描く歴史
サスペンス。2017年に文化庁メディア芸
術祭マンガ部門で新人賞を受賞するなど、
歴史漫画として高い評価を得るこの作品
を、宝塚歌劇ならではの演出で舞台化致
します。
藤原良房とその養嗣子・基経が朝廷の権
力を掌握しつつあった平安初期。京の都
では、月の子(ね)の日に「百鬼夜行」
が通りを闊歩し、その姿を見た者を取り
殺すという怪事件が頻発していた。幼き
頃から秀才との誉れ高き文章生・菅原道
真は、ひょんなことから知り合った検非
違使の長・在原業平にその才気を見込ま
れ、この怪事件の捜査に協力する事とな
る。唐渡りの品を扱う勝気な女店主・昭
姫(しょうき)らの協力の元、次第に事
件の真相に近付いてゆく道真。だがその
背景には、鬼や物の怪の仕業を装い暗躍
する権力者たちの欲望が渦巻いていた…。  
==================
という話ですが、最後の方の「 その背景
には、鬼や物の怪の仕業を装い暗躍する
権力者たちの欲望が渦巻いていた…。」
の「権力者たち」が藤原氏、その藤原氏
に対抗しようとする反藤原氏との間の権
力争いを描いた作品でもあります。


作品のタイトルが『応天の門』ですから、
「応天門の変」に関係があります。
「応天門の変」とは、
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 貞観8 (866) 年,大内裏八省院の正門応
天門が炎上した事件をめぐる宮廷の政変。
応天門の炎上は放火とされ,最初は伴善
の証言により,源信の仕業とみられて
いたが,藤原良房の工作により,源信は
罰せられず,逆に伴善男が真犯人とわか
り処罰された。
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という事件です。
藤原氏による対抗勢力である伴氏追い落
としのための陰謀とする説が有力のよう
ですが、結果としては、伴氏らが一掃さ
れ藤原氏の権勢が増すということになっ
た事件です。


『応天の門』には、この「応天門の変」
より前の時代、したがって、まだ、藤原
氏と伴善男を中心とする反藤原氏の権力
争いが描かれているというわけです。


『応天の門』における藤原氏側と反藤原
氏側を分けて紹介します。
(【 】内は宝塚公演における配役です)


藤原氏も一枚岩ではありません。
二つに分けます。
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藤原氏①
藤原良房【光月るう】
 藤原北家の筆頭。伴善男と敵対し、太
 政大臣として幼い帝の代わりに宮中を
 牛耳ろうと目論んでいる。
藤原基経【風間柚乃】
 良房の養子で高子の兄。良房の補佐を
 しながら、島田忠臣を配下におき、善
 男暗殺を謀る。道真の兄と交流があっ
 た。
藤原国経【彩音星凪 】
 藤原北家、権中納言・藤原長良の長男。
 良房の甥で、基経・高子の異母兄。藤
 原家へ出入りする吉祥丸(道真の兄)
 を使い走り扱いし威張っていたが、出
 世は年下の基経より遅い。業平と駆け
 落ちした高子を、追っ手として連れ戻
 した。
藤原遠経【一星慧】
 藤原北家、権中納言・藤原長良の次男。
 良房の甥で、基経・高子の異母兄。藤
 原家へ出入りする吉祥丸を使い走り扱
 いし威張っていたが、出世は年下の基
 経より遅い。業平と駆け落ちした高子
 を、追っ手として連れ戻した。
藤原高子【天紫珠李】
 良房の姪。帝に嫁ぐため、良房によっ
 て屋敷に幽閉されている。基経の同母
 妹。過去に業平と駆け落ち未遂をした
 ことがある。
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藤原氏②
藤原良相【春海ゆう】
 良房の弟で、基経らの叔父。藤原北家
 の右大臣。藤原家以外とも交流がある
 穏健派と見られているが、高子に先駆
 けて娘の多美子を入内させるなど油断
 ならない面もある。
藤原常行【礼華はる】
 良相の長男。右近衛権中将として、同
 い年の従弟である基経と共に参議に召
 し上げられる。身分の低い女の許へ通
 うため夜道を微行し"百鬼夜行"に遭遇
 する。
藤原多美子【花妃舞音】
 右大臣・藤原良相の娘で帝の元に入内
 する。常行の異母妹にあたる。
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反藤原氏側です。
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伴善男【夢奈瑠音】
 正三位の大納言で、良房に次ぐ朝廷の
 実力者。藤原氏に代わり朝廷の実権を
 掌握しようとしており、様々な策謀を
 画策し、藤原氏と対立。
 道真の母は伴氏の出身で、遠縁にあた
 る。
伴中庸【柊木絢斗】
 善男の子。非藤原氏勢力の中で、自分
 より年下の道真を懇意に思っている。
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なお、菅原道真は、この作品では、中立
派。ただ、伴善男の命を中庸に頼まれて
救ったり、犯罪の嫌疑を掛けられている
ところを基経に救われたり、やや微妙な
立場です。
また、在原業平も一応中立派ですが、反
藤原派との宴会を催したりしているので、
やや反藤原派。